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DXと生産性向上の関係は?生産性向上とDXとのつながり、事例も解説

DXとは?

DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略で、企業がデジタル技術を活用してプロセスを変革することを指します。
DXの導入は、企業のプロセスを効率化し、収益を増大させるための重要な手段です。

様々な考え方がありますが、DXについて、経済産業省は次のように発表しています。

あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネス・モデル を展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、 競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められている。

世界的にもDX推進の傾向がありますが、日本国内ではまだまだDXに向けた取り組みが不十分な企業も多いです。

DXの全体像についての詳細は次の記事を参考にしてください。
「DXとは何?デジタル化の先にあるDXを詳しく解説」

DXと生産性・業務効率の関係性

生産性を高めるために、今後はDX推進が必須といわれていますが、そもそも生産性とは何でしょうか。
DXは単なる業務の効率化ではないともいわれますが、生産性と業務効率化との違いとは何でしょうか。
ここでは、当たり前に使われている用語について確認していきます。

生産性と業務効率化

生産性と業務効率は似た言葉ですが、少し異なった意味をもっています。
生産性とは、同じ資源を活用してどのぐらいの成果物が生産されたのかを測定する用語で、業務効率とは、より少ない資源で同じ成果物を生み出すことを前提にしています。

生産性を高くするということは「レパレッジをかける」という意味に近いかもしれません。

DXで求められるのは生産性の向上であって、単なる業務効率化ではありません。
しかし、生産性の向上を目指すにあたって、その途中経過に業務の効率化があるということもまた事実です。

業務効率化と生産性向上の相乗効果で企業の競争力を高めていくことがポイントです。

生産性の種類

生産性には、次の3つの分類があります。
●労働生産性
●資本生産性
●全要素生産性
どのような生産性を指しているのかを解説していきます。

労働生産性

労働生産性には付加価値労働生産性と物的労働生産性という2種類の労働生産性が含まれています。

付加価値労働生産性とは、生み出した成果物にどの程度の付加価値を与えることができたのかを示す数値です。
この数字は以下のように計算することができます。

付加価値労働生産性=(付加価値額 - 原材料費など諸費用)÷(労働者数×時間)

付加価値とは、生産過程で与えられた価値の向上度合いのことを指します。
商品に手を加えて価格を高く設定することは、手を加えた分だけの付加価値を価格に反映させているからです。

それに対して、物的労働生産性とは、付加価値を考慮せずに単純に成果物の数や量だけを指標にしたもので、以下のように計算されます。

物的労働生産性= 成果物 ÷(労働者数×時間)

一般的に、ビジネスで「生産性」という言葉を使うときには付加価値労働生産性を指します。

資本生産性

資本生産性とは、企業が保有している機械や設備などの資本がどのぐらいの成果物を生み出したのかを数値化したもので、以下の計算式で数値化できます。

資本生産性 = 付加価値額 ÷ 投下資本金

全要素生産性

全要素生産性とは、成果物を生み出すために投じた費用に対する成果物の付加価値の割合を示したものです。

全要素生産性 = 付加価値 ÷ (労働者×労働時間+資本+原材料+・・・・)

成果物ができあがるまでのコストを漏れなく計上し、その成果物が企業の利益になっているかをより正確に数値化したい場合に使うことが多い指標です。

DXの段階と生産性の関係

DX(デジタルトランスフォーメーション)への途中には、
・デジタイゼーション
・デジタライゼーション
という2つのステージがあります。

デジタイゼーションは、業務の一部分の効率化を目指し、デジタル技術を導入することや、アナログ管理をしていたものをデータ化することをいいます。
これは、業務の効率化を目的としており、生産性の向上には直接つながることはあまりありません。

デジタライゼーションは、デジタイゼーションからさらに一歩先に進んだ状態です。
業務単独でのデジタル化ではなく、業務フローをデジタル化し、生産性につなげようとする段階です。
データの蓄積を進めることによって、データを活用する準備も整えます。

DXは蓄積したデータを活用して、ビジネス・モデルを変革させ新しい価値を提供することが目的です。
付加価値を付けるDXは、生産性を意識した取り組みといえるでしょう。

業務の効率化から少しずつスタートさせ、生産性の向上へとシフトしていくのがDXへの取り組みです。

日本企業の労働生産性

公益財団日本生産性本部が2022年12月に公表した「労働生産性の国際比較2022」では、OECDデータに基づく日本人の労働生産性についてふれられています。
2021年の日本の労働者の1時間あたりの付加価値生産性は5,006円であり、アメリカの8,534円に大差をつけられています。
また、OECD加盟国の中でのこの結果は38か国中27位という結果です。

コロナウイルスの流行によって低迷していた経済は回復に向かいつつも、日本の経済回復は他国と比べても水準を下回る結果になっていることから、今後も生産性に関する課題に取り組む必要があることが分かります。

労働生産性が低くなる3つの理由

労働生産性が低くなる3つの理由について解説していきます。
・コストパフォーマンスの誤認
・長時間労働によるパフォーマンスや意欲の低下
・人事制度によるパフォーマンスや意欲の低下
について焦点を当てています。

コストパフォーマンスの誤認

「コストパフォーマンス」という言葉を聞くと、多くの方はコストを削減することをイメージされるのではないでしょうか。

しかし、「コストパフォーマンス」は生産性に対するコストを評価するので、生産性が高ければコストもそれに見合う分だけ高くても問題ありません。
問題になるのは、生産性が低いことに高額なコストをかけている状態です。

コスト削減を意識するあまり、生産性低下を招いてしまうようなコストパフォーマンスの考え方には注意が必要です。

長時間労働によるパフォーマンスや意欲の低下

長時間労働が美徳とされていたのは過去の話です。
今では、より少ない労働時間でより多くの生産性を求められる時代になっています。

過去の価値観にとらわれている経営体質であると、長時間労働をすることが当たり前の企業風土になってしまい、従業員のモチベーションやパフォーマンスの低下を招くことが心配されます。

長時間労働が定常化してしまうと、それによって生産性の低下を招いていることに気が付かず、さらに労働時間を増やすことで生産性をカバーしようとする悪循環に陥ります。

長時間労働は慢性化する前に是正した方が結果的に生産性の向上につながる場合が多いです。

人事制度によるパフォーマンスや意欲の低下

人事制度は従業員のモチベーションに大きな影響を与える場合があります。
労働時間を基準にして高い評価を出す企業もあれば、成果を基準にして高い評価を出す企業、年功序列を採用している企業など様々です。

売上・利益の貢献が大きい優秀な従業員になればなるほど、成果や生産性と連動した評価をされていないと不満を感じるかもしれません。

企業全体で生産性を向上させるためには、その方向性にあった人事制度を採用することも重要です。

DX推進による生産性向上が求められる背景

DX推進による生産性向上が求められている背景について
・労働力不足
・法制度の問題
・旧ツールからの脱却の必要性
の観点から解説していきます。

労働力不足

日本は、言わずと知れた少子高齢社会です。
少子化が進むことは、将来の労働人口が確実に減少していくことを意味します。

少子高齢化が今後も同様のペースで進む場合、2050年時点での労働人口は、2021年時点からおよそ29%の減少値である5,275万人になる見込みであると総務省が発表しています。
平均寿命(健康寿命)が延びていることを上手く労働力の確保つなげていかなければ、とっても人手不足倒産のリスクを背負う企業がでてくることも予想されます。
(出典:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」)

この労働力不足問題を解決するためには主に次の2つが重要です。
①企業での就業が可能な年齢上限を引き上げる
②DX推進によって少ない労働力でも生産性を伸ばしていけるような仕組みを構築する

①は従業員の意思に依存するので、根本的な解決にならない可能性がありますが、②のDX推進であれば、たとえ労働人口が減少しても企業の生産性を維持できる体制を整えることが可能です。

このように、企業の生産活動を維持・持続するためにもDXは重要な課題となっているのです。

法制度の問題

政府が推進している「働き方改革」に関連する法律の整備は今後も強化されていくことが予想されています。

労働時間の短縮・最低賃金の底上げなどワークライフバランスを重視することによって労働生産性が高まるという考えが政府の基本方針です。

労働力の不足が懸念されているうえに、さらに労働時間の縮小、厳密な管理を強いられるとすれば生産性への意識、とりわけ従業員のスキルに依存しないような生産性の向上を期待できる方法を考えなくてはならなくなります。
これがDXに注目が集まる理由でもあります。

旧ツールからの脱却の必要性

旧ツールとは、ベンダー企業がそれぞれの企業に応じて個別にカスタマイズして導入したいわばオンリーワンのツールのようなものです。
このような個別化されたシステムツールも、時間の経過とともにメンテナンスが必要になりますが、そのメンテナンスを行える人材がベンダー企業側に残っていない場合があります。
当時担当していたベンダー企業の従業員が定年によって退職している場合や、純粋に離職している可能性があります。
すると、メンテナンスを行うベンダー企業は個別のシステムの内容を分析できる人材を用意する必要があり、時間もかかり人件費が高騰する傾向にあるのです。

時間もかかりコストも膨れ上がるような仕組みでは、ベンダー企業にとってもユーザー企業にとっても双方の生産性が落ち、デメリットしかありません。

そこで、今ではクラウド上で使えるシステムツールが一般的になっています。
クラウド型システムとはオンライン上のサーバーで提供されるサービスを、インターネットを通じて受けられるシステムサービスの総称です。

ユーザー企業側はインターネットに接続できる環境が整ってさえいれば、個別にカスタマイズした自社サーバーをもつ必要もなくなり、サービスを受けることができます。
サブスクリプション契約のサービスが多く、初期導入費用と毎月の利用料を負担するケースが最も多いです。

毎月の利用料は会計関連のシステムであれば数百円から利用できるものもあり、かなりリーズナブルな価格設定になっているツールも多く使い勝手も良いと評判が高いものがほとんどです。

クラウド型のサービスの最大のメリットはシステムの改修メンテナンスの費用負担がユーザー企業には必要なく、ベンダー企業は必要に応じて随時アップデートをしてくれることです。
ベンダー企業がどこまでそのサービスを運用するかによって、「今後はアップデートをしない」という判断をする場合もありますので、広く一般に利用されていて、自社でも使い勝手がいいとう両方のバランスがとれたツールを選択することが大切です。

DXによる生産性向上への5つの手順

DXによる生産性を向上させていくためのステップを段階ごとに解説しています。

①業務の可視化と棚卸

DXを行う前段階で通常の業務をデジタル化するという工程はどこかで必ず必要になります。
まずは自分たちが行っている業務を正確に把握するところから始めましょう。

誰が、どこで、どのような作業を、どのように行っているのか、これを全員で確認するところからスタートします。
これを、業務の可視化と棚卸といいますが、経営者も含めて自分たちの業務の一連のプロセスを再度把握し直すところから効率や生産性を追求する議論が始まります。

②リソースの確認

業務の棚卸が終わったら、社内のリソースとその割り振り方の見直しに移ります。
社内でのリソースというのは一般的に、
・人材
・モノなどの物理的資源
・キャッシュなどの経済的資源
・情報
を指します。

適切な人材を適切な部署に配置することができているか、予算の割き方は適切であるか、その部署に必要な情報は伝えているかなどの見直しをすることがこの段階です。

③外注業務の検討

社内リソースを補う場合には、外注業務を検討することもオプションの一つになります。
資源としての「カネ」は必要になってしまいますが、経営資源のコストパフォーマンスは総合的な評価が大事ですので、一時的なコスト上昇だけで判断するべきではありません。

外注したことによってコア業務に従業員を割くことができ、それによって生産性が高くなる場合には、得策かもしれません。
特に、
・単純なデータ処理
・経理・請求
・電話対応
などは、アウトソーシングに頼り、外注やクラウドサービスを活用した方がいいケースがほとんどです。

自社業務のどこまでの従業員に任せるのか、その範囲を明確にすることが大切です。

④業務フローの再統一

ツールの利用や外注業務など、従来と異なるシステムで仕事を行う場合には、再度業務フローを統一し、新しい流れをマニュアル化する必要があります。

仕事のやり方を変えたことによってどこかに過度な負担がかかっていないか、業務全体を俯瞰しながら、新しい業務フローへ再統一していきましょう。

⑤データの蓄積と活用の方法を探る

業務の効率化はDXの本質ではありません。
ツールの導入によって単純作業での効率化が達成できたら、コア業務におけるデータの活かし方、利益拡大の方法についても考えていきます。

コア業務に活かせるデータの収集は自社に最適な方法を見つけるのに時間がかかるかもしれませんが、経営戦略と相性のいいツールを使いこなさえれば相乗効果の期待もできます。

DX推進による成功事例

DXによって成功できた事例を業種や分野ごとに紹介していきます。

小売業の事例:実店舗とオンラインショップの併設

「DX」と聞くと、デジタルツールで画期的な仕組みをつくることのような響きを与えますが、それだけではありません。
すでにあるビジネスにDXの考え方を取り入れることによって成功している場合もあります。

小売業界では、ECショップと実店舗の両方を運営していることがほとんどです。
DXのゴールがデジタル化であれば、実店舗をなくし、オンラインで買い物ができるECショップのみを残すでしょう。
実際にはそうはなりませんでした。

実店舗に足を運んだ消費者も購入するときにはECサイトを通して購入するケースも増えています。
手触りや外見の詳細、商品アドバイスを直接店員さんに聞きたいというニーズに実店舗の存在は応えていますし、購入した商品を持ち歩きたくないというニーズにECサイトであれば解決できます。

従来は実店舗とECサイトで購入できる商品は同じで販売の形態だけが異なるというのが一般的でしたが、ここ最近ではこの常識も変わってきています。

実店舗では商品の閲覧、試着や商品に関する細かいアドバイスを受けることをメインにし、購入にはすべてECサイトを通して購入してもらう工夫も見られます。
こうすることで、企業は店舗ごとに在庫を管理する必要がなくなり、在庫を抱えるリスクを減らすこともできます。

マーケティングの事例:DX推進によるデータでの理論武装

マーケティング分野でもDXが活かされています。
営業部門では、売上成績が高い営業マンとそうでない営業マンの差を埋めることが重要になります。

優秀な営業マンがもっている「勘」を数値化して落とし込むことで、課題が明確になり、全体としての底上げが可能となります。
営業成績は、個人の能力の他にも
・消費者の住んでいるエリア
・扱っている商品の種類や価格
・契約される,購入される時期
・消費者の年齢
など、挙げればきりがないほどの複数の要素が重なって、営業成績となって表れることがほとんどです。

DXを推進させることによって、曖昧であった情報を可視化し、再現性の高い営業力を身に付けることにつながります。

バックオフィスの事例:事務作業やコミュニケーションコストの削減

バックオフィス業務(労務や勤怠管理、経理・会計など)に積極的にクラウドツールを活用する企業が増えています。
経理や会計は専門的なスキルを必要とする場合が多いうえに、細かい数値入力などもあることでミスが生じやすいからです。

「経理はDXが進まない部署」といわれることも多く、必要な書類が会社にあることで出社せざるを得ない場合や、承認・確認作業に多くの時間がとられることもしばしば。

クラウドツールを導入すれば、ミスなく時間が短縮でき、場合によっては人件費の大幅な削減にもつながる可能性があります。

バックオフィス業務に関する内容は以下の記事も参考にしてください。
「経理部門のDXは急務!?事例で学ぶ経理のDX推進ポイント」

DX推進による生産性向上の具体的事例3選

DX推進によって生産性を向上させた成功事例を3つ紹介します。

Netflix

もともとは宅配型のDVDレンタルサービス事業を営んでいたNetflix。
インターネットを活用したこのレンタルサービスでは、消費者が次の注文をする際に「おすすめ」として消費者に表示させていました。
これは、今では私たちがネットショッピングでよく見かけるパーソナライズ化に他なりません。
今ではストリーミング配信という在庫を抱えるモデルでは不可能に近いほどの作品数を幅広い消費者に向けてサービスを展開する企業にまで成長しています。

Uber

2009年にアメリカで誕生した自動車配車アプリUber。
配車アプリを開発していますが、自社では配車する車はもたないという当時の常識では考えられないモデルで急成長した企業です。
一般の人の乗用車が空いた時間にはタクシーになり、それを利用したい人をアプリで結びつけるという画期的なサービスです。
日本でもUber Eatsが有名で、DXの代表的な事例と言えます。

ソニー損保

テレビCMでもよく見かけるソニー損保。
自動車保険では、スマーとフォンで継続される運転特性データを取得することで、保険加入者ドライバーの自動車事故リスクを分析し、その分析結果に応じてキャッシュバックで実質保険料が変わる保険を販売しています。
ドライバーの情報を詳細に集められる仕組みによって誕生した商品設計であり、データの蓄積と活用という点でまさにDXのお手本といえるでしょう。

まとめ:DXは労働生産性を確実に高くする

DXの推進は間違いなく企業で働く従業員の業務効率を上げ、生産性も高くします。
効率化を考え先には、生産性を考えることも大切です。

DXに取り組んだ分だけ比例して生産性が向上するわけではありません。
ただ、何もしていないアナログ業務から一部分をデジタル業務へと移行させることができれば今よりも生産性は確実に高くなります。

・デジタイゼーション~デジタライゼーション → やや業務の効率化が目的
・DX(デジタルトランスフォーメーション) → 生産性の向上が目的
という関係です。

今後の少子高齢化を考えれば、「仕事のための仕事」をする余裕はなくなります。
従業員がこなすべきコア業務とそれ以外の業務とコストバランスを考えたDXへの取り組みが求められる時代になっています。

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