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週休3日の生産性は大丈夫?「週休3日制は生産性が高い」は本当?

「週休3日制」という言葉をよく耳にするようになりましたが、その生産性についてはどうなのでしょうか。
「週休3日制は本当に生産性を高めるのでしょうか?」この質問についてアンケートの結果や実際に導入(テスト導入含む)した企業の実例も交えて見ていきましょう。

この記事では、週休3日制の導入が生産性に及ぼす影響、それがビジネスにどのようなメリットやデメリットをもたらすのか、詳細にわたり解説しています。
働き方改革が進む中で、より良い労働環境を作り出す手段として週休3日制が注目されていますが、その実態について深堀していきたいと思います。

週休3日制は昔からあった!?

週休3日制は、日本では新しい類の仕組みに思えるかもしれませんが、海外ではすでに週休3日制の考え方があった国もあります。

週休3日制とは?

週休3日制とは、従業員が週に3日の休日を取得する労働制度のことを指します。
従来の週休2日制に比べ、休養日が1日増える形となります。この制度の導入により、従業員の働き方やライフスタイルが多様化し、ワークライフバランスの向上が期待されます。また、企業にとっても、従業員の満足度や生産性の向上が期待できる可能性があります。

ただし、週休3日制の導入は、給与の調整や労働時間の見直し、さらにはデジタルツールを活用した業務プロセスの効率化など、様々な面での調整が必要になることが多く、それに伴う変更点や新たな取り組みについて、企業と従業員双方が十分に理解し、協力して進めていかなければなりません。

イギリスで行われた大規模な週休3日実験

イギリスでは2022年6月に「給与の維持」と「労働時間短縮」を条件にして試験的に週休3日制の導入をしました。
この試験的導入に参加した企業はイギリス国内の90社にのぼり、試験期間は6ヶ月でした。

週休3日制の導入方法は様々ですが、日本では「労働時間を減らすにつれて給与も減少させる」「1日あたりの労働時間を増やして給与を維持する」という選択が取られることが多い一方で、今回イギリスで行われた試験的導入では、「給与の維持」と「労働時間の短縮」という二つが条件。

2023年4月には、このプログラムに参加した企業の9割以上が継続して週休3日制を導入することを表明したとして話題になりました。
従業員満足度も95%以上が「満足」と回答しています。

総合的な労働時間の短縮につながったものの、実際にはイレギュラーな対応などで週休3日を維持することが難しかったケースも見られましたが、生産性に関する報告では、労働時間を短縮させても業績は下がらなかったという回答が大多数でした。

中国の996システムは非効率かつ社会問題に発展

過去に中国で社会的問題にまで発展した「996システム」という働き方をご存知でしょうか。
中国の実業家がこの働き方を擁護する姿勢を見せたことで国内全体に波紋が起きました。

「996システム」とは、中国の一部の企業で採用されている(た)労働体系のことを指します。
その働き方は、朝9時から夜9時まで、週6日働くというスケジュール。
中国内の法律でも禁止されているこの働き方で過労死に追い込まれてしまった従業員もいました。

生産性に関わる時間はごくわずかという現実

タスク・プロジェクト管理ツールを開発・提供しているAsana(アメリカ)とSapio Research(イギリス)が2019年に、1万人以上の知識労働者(就業時間の大半をオフィスで過ごす、またはタスクを完了させるために50%以上の時間をコンピュータデバイスに向かって作業をする時間に充てている専門職)を対象に生産性に関わるアンケート調査を行いました。

この調査は日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドの6か国の知識労働者を対象に行われており、日本の従業員の生産性に関する課題が見えてきます。

この調査の日本の回答結果を見ると、
「1日の仕事の何割を生産的と感じるか」
→54%
「自分の仕事が組織の目標達成に役立つものだと認識できている」
→19%
となっており、その他の項目でも世界平均を大きく下回る結果となりました。

また、2022年にもAsanaは1万人以上の知識労働者を対象に調査を行っていますが、専門職では通常の業務時間の58%が小さなタスクや事務作業に充てられていることが分かっています。
さらに驚くべきことに、特殊技能(専門職のスキルが要する技能)に関わる仕事に集中できる時間は全体の33%、主な戦略的目標の達成に向けられた時間話全体の9%程度であるということも分かっているのです。

これらの調査結果をもとにすると、生産的な労働時間は週に5日間の8時間勤務も必要なく、労働時間だけを切り取れば週休3日制はすでに実現可能ということになります。
日本の職場では「仕事のための仕事」が多いと感じている従業員も多くおり、会議やメール・細かい事務作業が生産性につながらないにも関わらず、企業の文化として残っているとの見方も多いようです。

政府も推進している「選択的週休3日制」

日本政府が「選択的週休3日制」を推奨している背後には、主に「多様な働き方の推進」と「少子化対策」という二つの理由があります。

多様な働き方の推進

週休3日制の導入により、従業員は自身のスキルや興味に基づいて副業やリスキリングに時間を充てることができます。
この制度の充実化は労働者一人ひとりが自らの能力を最大限に発揮し、さまざまな業界や職種で活躍する道が開かれるでしょう。
また、特定の業界や職種で人手不足が問題となっている現状も解消に寄与する可能性があります。

育児をしている人たちへの支援

週休3日制を選択することで、育児に時間を割くことができます。
これは、子どもとの関わりを深めるだけでなく、家庭内での家事や育児に関することなど、さまざまな場面で余裕をもたらします。
子育てをしながら働く親の負担が軽減され、少子化問題の解決にも一役買うことが期待できそうです。

週休3日制に対する従業員の感想

「週休3日制」という言葉に現代の社会人はどのような印象を持つのでしょうか。
現在職をもつ社会人589人を対象にJob総研がインターネットでアンケートを行っています。

週休3日制への賛否


(出典:Job総研週休3日制への意識調査『週休3日制への賛否』)
多くの企業では週休2日制であることが分かり、週休3日制に対して肯定的な意見が多いという結果になっています。
ここでの週休3日制の条件は、「労働時間や賃金の調整をしない」ことです。
つまり、週に5日、1日8時間の労働であった状態が週に4日、1日8時間となり、週の労働時間は単純に32時間で1日分の休日が増え、収入の減少もないということになります。
収入が保障されているのであれば休日が増えることに賛成する従業員が多くいることが伺えます。

収入が減ることへの賛否


(出典:Job総研週休3日制への意識調査『収入が減る場合の賛否』)
一方で、労働時間の減少に伴い収入が減る場合については週休3日制への反対の傾向がみられています。
プライベートな時間が増えても、収入の減少は避けたいと考えている人が多く、週休3日制や従業員のプライベートな時間を多くとってあげたいと企業が考える際、収入面での待遇を維持できるかどうかがカギになりそうです。

労働時間が増えることへの賛否


(出典:Job総研週休3日制への意識調査『労働時間が増える場合の賛否』)
週休3日制の場合、労働時間調整のために他の日の勤務時間を増やすことがあります。
例えば週に40時間仕事をしていて、1日8時間で週に5日間の労働の場合、週4日の労働日数で同じ労働時間を確保しようとすると、1日あたり10時間となります。
今の業務の効率化がこれ以上は難しいなら、仕事の量が減らない限り労働時間を減少させられないかもしれません。

1日当たりの労働時間の増加については肯定的な意見が過半数を占めています。
毎日のルーティンがすでに決まっている場合、1日の労働時間を増やすことに否定的な方もいるでしょう。
先ほどの収入面のアンケート結果と合わせると、収入が維持できれば1日の労働時間が増えることは仕方がないという消極的賛成の立場をとっている人も考えられます。

週休3日制の3つのタイプと休日の取得方法

週休3日制には3つのタイプがあります。
●単純給与維持タイプ
●給与・労働時間維持タイプ
●給与・労働時間減少タイプ
それぞれの特徴を見ていきましょう。

単純給与維持タイプ

「単純給与維持タイプ」の週休3日制は、従業員がより柔軟な休日を取得しつつも、給与の安定を保ちます。
このタイプでは、従業員は一日8時間、週に4日間働きます。
これにより、週の総労働時間が従来の40時間から32時間へと削減されますが、給与は変わらず維持されるため、従業員にとっては安心でしょう。

ただし、労働時間が減るため、同じ給与を維持するには企業として生産性の向上が求められます。
給与を維持するためには、従業員一人一人の働きが従来よりも効率的でなければならず、企業全体の生産性向上が不可欠です。

給与・労働時間維持タイプ

「給与・労働時間維持タイプ」の週休3日制は、従業員が週に3日休みを取得する一方で、1日当たりの労働時間が長くなる制度です。

通常の週休2日制の場合、従業員は1日8時間、週合計で40時間働くことが一般的です。
しかし、労働時間維持型の週休3日制の場合、週の労働日数は4日に減りますが、1日あたり10時間働くことで、週合計の労働時間は依然として40時間とします。
この制度の利点は、労働時間の総量が変わらないため、従業員の給与が影響を受けない点です。

給与・労働時間減少タイプ

「給与・労働時間減少タイプ」は、労働時間が短縮され、それに伴い給与も減少する形です。
この制度では、従業員がより柔軟な働き方を選べる一方で、収入はそれなりに影響を受けます。

通常の週休2日制での週40時間労働から、週休3日制を採用することにより週32時間労働へとシフトするので、給与も従来の80%相当に調整される可能性が高いでしょう。

休日の取得方法

週休3日制の休日の取得方法にはいくつかの選択肢が存在します。
まず、全従業員が同じ曜日に休む方法です。
これは組織全体で定休日を増やすことになりますが、業務の進行が一時停止する可能性があります。

次に、部署ごとにローテーションで休む方法があります。
業務が常に進行する利点がありますが、コミュニケーションの取りづらさがデメリットとなる可能性があります。

また、従業員が個人で希望する日に休む方法もあり、これは従業員の満足度を高めますが、予想外の人手不足に繋がる恐れもあります。

それぞれの休日の取得方法のメリットやデメリットを考慮すると、現実的には部署ごとにローテンションで休日を取得するか、従業員が個人間でシフトの調整を行いながら休日取得をしているケースが多いです。

週休3日制を導入するメリット・デメリット

週休3日制を導入するメリットとデメリットについて解説していきます。
企業にとってのメリット・デメリットと従業員にとってのメリット・デメリットは異なりますので、この点にも注意が必要かもしれません。

週休3日制のメリット

まずは週休3日制のメリットから見ていきましょう。

生産性と創造性の向上

週休3日制の導入は、生産性と創造性の向上に大いに貢献します。
休日が1日増えることで、従業員は十分な休養を取ることができ、心身ともにリフレッシュすることが可能です。
これにより、稼働日に集中力を高め、効率的にタスクをこなすことができます。

また、十分な休息は創造性の源泉でもあります。
リラックスした状態で仕事に取り組むことで、新しいアイデアが生まれやすくなり、革新的な提案や解決策が見つかる可能性が高まります。
このような環境は、企業の競争力を高め、業界内でのリーダーシップを確立する一助になるでしょう。

離職率の低下

私生活での負担が重い場合でも、週休3日制ならば働き続けられる可能性が高まります。従業員はリフレッシュする時間が増え、ストレスの軽減が期待できます。
その結果、仕事への意欲や満足度が向上し、離職率の低下が期待できるのです。

また、企業側から見ても、離職率の低下は人材の安定に寄与し、長期的な人材育成や業務の継続性が保たれる大きなメリットとなります。
長期的な人材育成が可能となり、人材が定着すれば組織全体の生産性向上に寄与することは言うまでもありません。

リクルート効果の期待

少子高齢化が進む中で労働人口が減少し、多くの企業が人材不足に悩んでいます。
週休3日制であれば、週5日勤務が難しいと感じる人々も企業に応募しやすくなるため、より幅広い層からの求人応募が期待できます。

また、週休3日制を導入する企業は、福利厚生が充実している優良企業として、労働市場で高い評価を得られる可能性があります。
その結果、より質の高い人材を確保できるようになり、組織全体の生産性や効率も向上するでしょう。

コスト削減

週休3日制の導入は、企業にとってコスト削減の大きなチャンスとなります。
オフィス全体を休日する場合に限られますが、オフィスの光熱費の削減が代表的です。
稼働日数が減少することにより、電気や水道、暖房や冷房などのエネルギー使用量も自然と減り、その結果として経費を抑えることができます。

また、生産性の向上によるコスト削減の観点も忘れてはいけません。
週休3日制の下では、従業員は1日あたりの業務効率の向上が求められます。
これにより、従業員一人一人の働き方が意識的かつ計画的になり、時間を無駄にすることなく、より集中してタスクを完遂できるようになります。
結果として、企業全体の生産性が向上し、人件費等のコストも効率的に使われるでしょう。

総合的なコストが変わらなくても、コストを効率よく配分することによって費用対効果を高めることもコスト削減と捉えることが重要です。

週休3日制のデメリット

週休3日生には魅力的なメリットがある一方で、デメリットも存在します。
ここからはデメリットについてまとめていきます。

ビジネス機会の減少

週休3日制の導入は、ビジネス機会の減少を招く可能性があります。
例えば、自社が週休3日制を採用している場合であっても、取引先や営業先が週休2日制を採用しているかもしれませんし、どちらかと言えば週休2日制の企業の方が普通かもしれません。
企業同士の休日や休日日数のズレは、ビジネスの接触機会を減らすことになってしまいます。
取引先からの連絡に対応できない場合や、担当者が不在の場合、ビジネスチャンスを逃失するリスクも考えられます。
最悪のケースでは、取引先を失ってしまう可能性もあるでしょう。

取引先とのコミュニケーションを密に取り、理解を得る努力が求められ、休み中でも緊急時に対応可能な体制を構築することも重要です。

業務が滞る可能性

一週間の労働時間が短縮されるため、同じ業務量をこなすのに時間が限られるようになります。
特に、締め切りの厳しいプロジェクトやタスクがある場合、計画的に作業を進める必要があります。

また、従業員が同時に休む場合、連絡が取りづらくなる日も出てくるでしょう。
これにより、意思決定の遅延や業務の進行が滞る可能性が生まれます。
週休3日制を上手く機能させるために、業務の効率化や計画の最適化、また柔軟なコミュニケーション体制の構築が必要です。
週休3日制が業務にマイナスの影響をもたらさないよう、戦略的なアプローチが求められます。

コミュニケーション課題の浮上

従業員・プロジェクトメンバー内での休日日数があわなくなれば、情報共有の遅れやミスの原因となることもあり、職場の雰囲気やチームの一体感の形成にも影響を与えかねません。

また、週休3日制では、リモートワークの導入が進む可能性も考えられます。
リモートワークは便利さもありますが、顔を合わせてのコミュニケーションが難しく、感情やニュアンスの伝わりにくさが課題となります。

これらの課題を解決するためには、定期的なミーティングの設定や、コミュニケーションツールの活用が有効です。
週休3日制をうまく機能させるために、効率的なコミュニケーション方法を模索し続ける必要があります。

テレワーク導入ではコミュニケーションの課題はたびたび指摘されています。
以下の記事も参考にしてください。
「テレワーク導入後のコミュニケーション課題を解説!変わりゆくコミュニケーション課題」

減収につながる不安

週休3日制に移行することで、労働時間が短縮され、それが収益の低下につながる可能性があります。
これは企業にとっては売上や利益の減少を招くことになる一方で、従業員にとっては報酬の減少につながるかもしれません。

働く時間は短縮されるかもしれませんが、業績の期待は変わらず、時にはそれ以上の成果が求められる場合もあるでしょう。

ジョブ型雇用に慣れていない従業員の場合、労働時間の減少はそのまま報酬の減少につながるという不安もあれば、成果報酬へのプレッシャーを過度に感じることもありえます。
労働時間の減少が報酬にどのような影響を与えるのか、企業が従業員に対して導入前にしっかりと説明することが重要です。

導入できないエリアや職種もある

週休3日制の導入は、ビジネスモデルや業界、地域によって異なる影響をもたらします。特に、医療業界やメディア業界のように、24時間365日対応が求められる職種では、週休3日制の適用は困難な場合があります。
これらの業界では、常に人手が必要であり、人員不足が深刻な問題につながりかねません。

また、人口が少ない地域では、週休3日制の導入によって、労働力が更に不足し、地域社会に悪影響を及ぼします。
サービスの質や効率が低下し、地域経済にもネガティブな影響があるかどうかを十分に考えることが重要です。

従って、週休3日制の導入を検討する際には、その労働環境や業務内容、地域特性を十分に考慮する必要があります。

週休3日制を試した日本マイクロソフトの生産性と労働日数の関係性

過去に日本マイクロソフト社が試験的に週休3日制を導入し、その生産性をについて考察しています。
結論としては、この制度を導入したことで「生産性は向上した」とのことです。

会議の時間に注目すると、「30分以内で終わる会議」が46%増えたということで、決められた時間を有効活用するために、重要度や優先順位の意識が芽生えたとの好評もありました。


(出典:日本マイクロソフトより引用)

会議の時間短縮以外にも、労働生産性(1ヶ月の売上を従業員数で割る)は39.9%、リモートやテレワークを含む遠隔会議の割合は21%増加しています。


(出典:日本マイクロソフトより引用)

顧客が多くなる平日に休むことは難しく、その分の「シワ寄せがある」といった批判的な意見もありましたが、生産性や成果という観点だけで議論すれば、「労働時間を減らしても成果物には影響が出ない」、あるいは「生産性は向上する」という結論にはなりそうです。

まとめ:成果は労働時間に比例しないという意識が重要

週休3日制の是非を問う前に、企業も従業員も成果を生み出している要因が何であるのかということに向き合うことが重要です。

従業員個人から見れば、成果(=給料・報酬)の多くは労働時間という結論に落ち着くかもしれませんが、企業の利益の源泉は言うまでもなく従業員の労働時間ではありません。
労働時間を増やすだけで企業の利益が右肩上がりをし続けることは難しいでしょう。
従業員が長時間労働の末に健康を害してしまえば、もっと大きなリターンを見過ごすことにもなります。

「成果の源泉がどこにあるのか」を考えると、企業のビジネスモデルや地域によっては週休3日制を導入する価値があるのかもしれません。

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