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DXがうまくいかない理由とは?失敗の原因と成功の要因を分析

「DXに向けて動き出したけど、思うように進まない」
「以前よりも業務効率が落ちたような気がする」

DXの重要性は多くのニュース・メディアで取りあげられるようにもなり、社内の業務を取り仕切っている方なら、なぜ重要なのか、ご存知のことでしょう。

DXが重要であるとは分かっていて、いざDXに向けて舵を切ったのはいいものの、期待していたほどの効果がなかったどころか、以前よりも生産性が落ちてしまったというような声も聞きます。

DXを成功させるための必勝法はありませんが、失敗には共通点があります。

失敗パターンを事前に知ることで、消去法的にDXを成功させる可能性が高くなります。
DXの失敗パターンとは、具体的には次の7つに集約されます。
①DXが目的になっている
②IT導入で満足してしまう
③社内のDXの理解不足・知識不足・人材不足
④予算不足
⑤事業や顧客とのミスマッチ
⑥ベンダー企業への依存
⑦社内カルチャーの変革が追い付かない

DXが本当に必要なのか?
失敗しないのか?
このような心配をしている方の指南書としてお役に立てるはずです。

※本記事では、DXという言葉に「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」の意味を混同させて用いることがあります。

DXはそもそも必要?DXはうまくいくの?

「失敗をする可能性のあるDXを率先して取り組むべきなのだろうか?」
このような疑問を抱くことは自然なことだと思います。
しかし、失敗をする可能性があってもDXを目指すことが必要な理由が確かにあります。

DXは必要

DXを推進させずに、現状維持を続けていくとどうなるのでしょうか?
従来のシステム管理とその維持を続けていくと、将来的に莫大なコストがかかることが予想されています。

システムを売り出すベンダー企業の社員の退職に伴い、システムメンテナンスに対応できる人が減ることが大きな要因です。

また、自社内での労働力の確保も難しくなることを考えると、人に依存した仕組みでは先行きが不透明であると言わざるを得ません。
業種や業界に関わらずに、DX推進は社会からの要請なのです。

DXは失敗することの方が多い

DXには失敗という可能性がついてきます。
実際のところ、世界的に見ればDX推進に果敢に挑戦した企業の9割以上の企業が「DXに取り組んだが、失敗した」と感じていることが分かっています。

ここでの失敗とは、望んでいたほどの成果が出なかったという意味で、個人の感想に左右されるところはありますが、日本においても、DXの前段階であるデジタイゼーション、デジタライゼーションの成功率でも3割程度であると言われています。

DX失敗のよくある共通パターン7選

DXの成功率は極めて低いということを前述しましたが、事例分析をすると、失敗にはある程度の共通点があることも分かっています。

共通している失敗ケースを学び、そのパターンを回避することで成功確率を高めていくことが期待できます。
よくある失敗パターンについて解説していきます。

DX推進の課題:経済産業省DXレポートの数値を引用

①DX推進が目的になっている

DXは手段であって、目的ではありません。
DX推進のためのDXを推進しないように気を付けたいものです。
効率化を求めるあまり、人が担った方がいい業務までデジタルにする必要はありません。

後述しますが、顧客との最初のチャネルはデジタルにした方がいいかもしれませんが、実際の対応そのものは、人と人とのやり取りの方がよい場合もあります。

「何のために」という目的を明確にしてから「どうすればよいか」という手段の思考へと切り替えていきましょう。

どのような業種でどのようなサービスを提供しているかにもよりますが、DXは必要に迫られて推進するものではなく、社内でのしっかりした目的を実現させるために行うべきものなのです。

②IT導入で満足してしまう

IT関連ツールを導入したことで、DXをやり切ったという気持ちになっている人たちは少なくありません。
ITツールを導入したものの、ツールを使いこなそうとせずに、同じ業務でもITツールを活用する場合と、活用しない場合とで混在しているケースまであります。
これでは、何のためにITツールを導入したのか分からなくなり、効率は逆に落ちます。

DX実現にはステップがあり、
デジタイゼーション→デジタライゼーション→DX
の流れで進んでいくのが普通です。

IT関連ツールの導入は初期のデジタイゼーションの段階です。

導入して終わりではなく、その先の目的が何であったかをもう一度振り返ることが大切です。

③社内のDXの理解不足・知識不足・人材不足

社内にDXに精通した人がいないというのも課題です。
デジタル人材の育成はとても難しく、なかなか思い切った施策を打ち出せない場合も多いのではないでしょうか。

ITツール一つとっても、導入した後に使いこなすのは社員です。
便利になったと言っても、それを使いこなせなければ生産効率は落ちていきます。

正しく理解し、知識を常にアップデートしていくことが常に求められます。
テクノロジーを開発するのも、それを活用するのも人間だということを忘れてはいけません。

④予算不足

デジタルツールに詳しい人が社内にいない場合、人材育成に力を入れなくてはならないときがあります。
ただし、人材育成には時間も費用もかかり、思い切った投資と考えることができない経営者もいます。

「DX人材を育てていくためにかける予算はない」
このような状態が定常となっている場合、次の2つの方法を参考にしてください。

①デジタル分野を統合するCIOやCDOという役職の設置
経営陣がDXに対して消極的な場合、企業のDX実現は遠いと思われます。
予算や費用投下に関する強い決定権をもつDX推進を担当するCIOやCDOの役員を設置することによって、企業カルチャーの変革を狙うことができます。

②助成金の利用
DXは経済産業省も注力している課題です。
社内での人材育成やデジタルツールの導入を検討する場合には助成金制度もあわせて考えましょう。
社内だけでの育成には時間も費用もかかるという場合には活用をおすすめします。

助成金については、次の記事でも解説しています。
デジタル人材の育成には助成金の活用を!これだけは知っておきたい助成金

⑤事業や顧客とのミスマッチ

デジタル化しない方がいいものもあります。
DXは世界的にも、日本にとっても重要な課題です。

ただし、自分たちの事業やターゲットにしている顧客、提供しているサービスのすべてをデジタルにすればいいという単純な話ではありません。

事業や顧客との根本的なミスマッチは大きな時間と費用を失うだけでなく、既存の利益までもを失ってしまう可能性があります。

現代では、ネットの記事や動画で多くの情報が無料で手に入ります。
では、対面で行うようなコンサルティング、会議、セミナーはもはや時代遅れで、一切必要のないものなのでしょうか。

答は「いいえ」です。

能動的に動くことでネット記事や動画から独学で学びきることができる人たちがいることは事実ですが、中には、目の前で人に教わりたいというニーズもあります。

それが効率的かどうかの議論はさておき、このような対面で教わりたいというニーズがあることは事実です。
どの部分を残し、どの部分でビジネスのすそ野を広げるのかの選択も大切です。

顧客とITツールの相性が悪い場合は、顧客が離れていくことも十分に考えられます。
DXを成功させるためには、顧客ファーストの考え方が根本にあるかどうかを問う必要があるのです。

⑥ベンダー企業への依存

DX失敗理由で見落としがちなのが、ベンダー企業への依存によるものです。
社内でDX推進を目指した場合、自社内では知識や技術が及ばないものが出てきます。

そんなときに、コンサルタントをお願いしたり、どのようなツールを導入すればいいのか相談をしたりするでしょう。
ベンダー企業の協力を得ながらDXを推進していくことには問題はありませんが、ベンダー企業に過度に依存してしまうことが失敗の要因にもなり得ます。

やっかいなことに、ベンダー企業に依存しきってしまった場合、自分たちが失敗しているということに気が付きにくいものです。
専門家に任せているから安心しきってしまうのはよくあることで、自分ごとのようにとらえられなくなってしまうのです。

外からの知見を取り入れることは大事ですが、それを妄信して自分たちで考えなくなってしまうことは失敗につながります。

自分たちの課題が何なのかをはっきりさせ、何をどうするべきかを考え抜くことが大切です。

⑦社内カルチャーの変革が追い付かない

予算不足の項目でも少し紹介しましたが、社内風土が変革に後ろ向きであればあるほど、デジタル化は進みません。
特に経営者・経営陣の意識は重要で、社内階層のトップ層の意識が低い場合には、社員のDXへの意識は薄くなると思った方がいいでしょう。

社内カルチャーが醸成されていない状態で、表面的なDXを目指しても、失敗する確率が高くなるだけです。

DXはやらない方がいい?やらないリスクと失敗リスク

失敗したときのことを考えると、「DXはやらない方がいいのでは?」という声が聞こえてきそうです。
冒頭で書いた通り、DX推進はすべての企業が取り組むべきテーマであり、ここでもその答は変わりません。

リスクには失敗したときのリスクもあれば、何もやらなかったことで生じるリスクもあります。
どちらのリスクが高いのかを天秤にかけてみましょう。

DXに取り組まなかった場合のリスク

DXに取り組まなかった場合のリスクを
①生産性低下
②時間・費用の損失
③競争力低下
の3つの観点からまとめています。

生産性低下リスク

今まで通りに紙ベースでの情報、顧客リストの管理を行っている場合、情報の検索力・保管の点でデメリットがあります。
このデメリットは、情報を探そうとしたときの時間が想定以上にかかってしまうことにつながります。

一つの想定外の出来事が玉突き事故を引き起こすことは日々の仕事でも経験された方が多いのではないでしょうか。
紙媒体の方が一覧性に優れている側面もありますが、そう何度も繰り返し参照する情報よりも、時々参照するような情報の方が多いのではないでしょうか。

その時にスムーズに検索することができなければその後の本来の仕事に支障をきたします。
紙媒体を多く扱う業務がある場合には、総合的に判断して生産性が低下する傾向が見られます。

時間・費用損失リスク

最も深刻な課題の一つであるのが、時間・費用損失のリスクです。
紙媒体の情報検索による時間損失のリスクについては言及しましたが、それ以上に、サーバーやハードウェアのメンテナンスなどを外部に依頼している場合には要注意です。

今後はシステム改修費用の高騰、メンテナンスにかかる期間の長期化が予想されます。
新しいシステムの導入は、最初こそ手間を感じますが、慣れてしまえば業務の効率化を体感できるはずです。

目先の手軽さだけでなく、将来的な目線をもつことが大切になります。

競争力低下リスク

DXが上手く機能すれば、膨大なデータを解析し、顧客ニーズやその傾向を把握するのに大いに役立ちます。
何もしなければ、ターゲットにしていた顧客層のニーズを他社に先に把握されてしまい、その結果プロダクトの製造が追いつかずに競争に負けてしまう可能性があります。

マーケットインを実践するためにも市場のニーズを明確にしたデータを蓄積し、分析することは必須です。
デジタル格差がそのまま企業の競争力に直結することが考えられます。
DXを目指さない場合には市場での競争力が低下するリスクがあります。

DXに失敗したときのリスク

DXに取り組まなかった場合のリスクを
①生産性
②競争力
③情報面
の3つの観点からまとめています。

生産性低下リスク

DXを推進しても、しなくても生産性の問題はついてきます。
例えば、紙ベースで行っていた業務を、社内でデジタルツールを使って部分的にデジタル化した場合を考えてみましょう。

ある部署では紙媒体で保存しておき、別の部署ではデータで保存するなど、一貫性がない場合、部署をまたいで作業を行うときにストレスになることがあります。
また、部署が違っても似たようなツールを導入することによって、行っている作業自体が重複し、業務の効率化につながっていないケースもあります。

デジタルツール活用のメリットは、作業を簡易的かつ効率的にすることです。
導入によってどの部署が管理するのがよいのかも検討する必要があるかもしれません。

競争力低下リスク

競争力の低下はDXに取り組まずとも起こりうるリスクです。
DXへの取り組みが失敗してしまっては、顧客ニーズの把握、有益な情報をマーケットに活かすことができなくなってしまいます。

情報面でのリスク

顧客データ、社内の機密情報など、外部に渡してはいけない情報の管理には慎重になる必要があります。
中途半端にDXを推進してしまうと、情報の管理が一元化できなくなり、煩雑になりがちです。
この煩雑さが情報の漏洩につながることは少なくありません。

また、セキュリティに詳しくない人が社内でツールを運用すると、サイバー攻撃などのアクシデントが発生したときの迅速な対応ができない場合があります。

企業が抱えていた情報が外部に流出したとすれば、関係する企業や顧客からの信頼を落とすことにつながります。

DXを成功させるための5つのポイント

これをやればDXが成功するという必勝法はありませんが、必敗法はあります。
そのパターンを避けて通ることが成功への近道です。

ニュースや経済新聞で目にする表面的な部分だけを取り入れようとするのではなく、本質が大事です。

DX成功のためのポイントは次の5つです。
①目的の明確化
②組織構造を活かしたトップダウン的な指示
③DX投資の覚悟を持つ
④自分たちでDXを推進していくという気持ちで運用する
⑤知識を常にアップデートさせる

目的の明確化

失敗の要因の一つに、「DXのためにDXを推進している」というものを紹介しました。

「何のためにDXを推進する必要があるのか?」
この質問に対する回答を用意し、企業で浸透している状態をつくる必要があります。

組織構造を活かしたトップダウン的な指示

経営陣の指示出しがDXを成功に大きく導きます。
会社の目標設定、投資金額の設定など、経営陣は多くの決定権を持ちます。

したがって、経営陣のDXへの関心や知識の豊富さがDX推進には必要不可欠です。
DXはすぐに完成するものではなく、少なくとも数年の時間を要することがほとんどでしょう。

経営陣が一斉にDXを推進させる方向を向くことが会社全体に方向性を示すことにつながり、企業カルチャーが変わっていくことに通じます。
企業カルチャーを変えるために、ときにはトップダウン的な強い指示出しも必要です。

DX投資の覚悟を持つ

DX推進への投資を大規模に行える体制を整えることも大切です。

「失敗するかもしれないから少額投資」
「まずは試運転から」

このようにリスク管理をすることは重要ですが、小さく始めたら将来のリターンを先読みすることも重要です。
うまくいくイメージが持てたら、大きく投資をして最短で結果につながるような動き方を目指しましょう。

自分たちでDXを推進していくという気持ちで運用する

ベンダー企業に依存しきってしまうことはDX推進を失敗させる要因の一つでした。
外部にDX推進を手伝ってもらいつつも、主役は常に自分たちであるということを忘れないようにしましょう。

システム運用を直接行うことがなかったとしても、基礎知識は必須です。
デジタル人材として活躍したいキャリアを選ぶ場合には、DXに関わる資格勉強をし、資格を取得するこ
も選択肢の一つです。

DXに関連する資格の紹介は、「DXに関わる資格と難易度を比較!キャリアにあったおすすめの資格」でも行っています。

知識を常にアップデートさせる

デジタルツールの進化は速いです。
それに伴って自分たちの知識をアップデートしていく必要があります。

ベンダー企業に任せている場合でも、依存しすぎているのは良好な関係とは言えず、正しいし知識を持っていないと、ベンダー企業がしっかりと目的にあったものをつくっているのか判断することができません。

システム内部の細かい知識は不要でも、外観や大枠を知っておくことはと大切です。
知識は常にアップデートするように心がけましょう。

まとめ:DXの失敗要因と成功要因

DXの失敗要因と成功要因について解説してきました。

DXの失敗要因・成功要因はそれぞれ次の通りでした。
【失敗要因7つ】
①DXが目的になっている
②IT導入で満足してしまう
③社内のDXの理解不足・知識不足・人材不足
④予算不足
⑤事業や顧客とのミスマッチ
⑥ベンダー企業への依存
⑦社内カルチャーの変革が追い付かない

【成功要因5つ】
①目的の明確化
②組織構造を活かしたトップダウン的な指示
③DX投資の覚悟を持つ
④自分たちでDXを推進していくという気持ちで運用する
⑤知識を常にアップデートさせる

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