テクノロジー、デジタル、ITの違いは何?身近にあって意外に知らない用語を解説
テクノロジー、デジタル、ITは、私たちの生活に欠かせないものとなっています。しかし、これらの用語の意味を正確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
テクノロジー、デジタル、ITは、それぞれ異なる概念ですが、密接に関連しています。
テクノロジーは、デジタル技術やITを活用して開発されることが多く、デジタル技術やITは、テクノロジーを支える基盤となっています。
昨今ではDXへの取り組みが急務という風潮もありますが、本格的な取り組みをする前に、馴染みのない用語の多さに圧倒されてしまう方も多いようです。
この記事では、テクノロジー、デジタル、ITの違いやその周辺の用語について解説しています。
目次
テクノロジーとは?
私たちの生活はテクノロジーによって支えられています。
ここでは、テクノロジーの言葉の意味と具体例について解説していきます。
「テクノロジー」という言葉の意味
テクノロジーは、広範な意味で、人間が自然の問題を解決するために利用する全ての技術や方法論を指します。
これには、古代の石器や農業技術から、現代の人工知能やナノテクノロジーに至るまで、あらゆる産業や学問分野にわたる技術が含まれます。
「technology(テクノロジー)」という言葉が「技術」という日本語で訳されるように、広く一般的に「技術」という意味で使われますので、農業、コンピューター関連など、様々な分野にテクノロジーは存在すると言えます。
テクノロジーの具体例
テクノロジーは私たちの生活を根本的に変え、日々の生活の様々な側面に深く影響を与えています。
ここでは、その具体例として、SNS、スマートフォン、クラウドサービスの3つのテクノロジーを取り上げ、それぞれが私たちの生活にどのような変化をもたらしたかを探ります。
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、FacebookやX(旧Twitter)、Instagramといったツールを指します。
これらは、人々が情報を共有し、コミュニケーションを取る方法を大きく変えました。
【情報のアクセシビリティ】
SNSの出現により、情報は一部の人々だけのものではなくなりました。
誰でも情報を共有し、広めることが可能になり、情報が民主化したとの見方もできるでしょう。
これにより、情報の平等なアクセスが可能になったとも言えます。
【コミュニケーションの変化】
SNSでは、時間や場所を問わずに人々とつながることができます。
これにより、遠くの友人や家族と容易に連絡を取り合うことが可能になりました。
スマートフォン
スマートフォンは、コンピューターのような機能を持ちつつ携帯可能なデバイスとして、私たちの生活を一変させました。
【情報への即時アクセス】
スマートフォンが普及したことで、インターネットを利用してリアルタイムで情報を得ることが可能になりました。
これにより、ニュース、天気、地図などの情報をすぐに確認できるようになりました。
【モバイルアプリケーション】
スマートフォンは、バンキング、ショッピング、教育、エンターテイメントなど、さまざまなモバイルアプリケーションを使用することを可能にしました。
これにより、私たちの生活はより便利で効率的になりました。
クラウドサービス
クラウドサービスは、データの保存とアクセスを、インターネットを通じて可能にする技術です。
これにより、私たちのデータ管理と仕事の方法に大きな変化がもたらされました。
【リモートワークの可能性】
クラウドサービスにより、データはどこからでもアクセス可能になりました。
これにより、リモートワークやテレワークが可能となり、労働のパターンが大きく変わりました。
【データの安全性】
物理的なストレージから雲への移行により、データの紛失や破損のリスクが大幅に低減しました。
また、データのバックアップや復元が容易になり、データの安全性が向上しました。
テクノロジーの4つの種類
広く一般的に「技術」という意味で使われるテクノロジーという言葉。
現代では主に次の4つの分野で使われることが多いです。
●バイオテクノロジー
●ハイテクノロジー
●ナノテクノロジー
●インフォメーション・テクノロジー
順番に解説していきます。
バイオテクノロジー
バイオテクノロジーは、生物学的プロセス、生物体、細胞または細胞成分を利用して、新しい技術や製品を開発する科学です。
この分野では、
・医薬品の開発
・遺伝子工学
・クローン技術
・環境の保全
など、様々な応用があります。
近年では、CRISPR技術(特定の遺伝子をカット・ペーストができる技術)による遺伝子編集が注目を集めており、遺伝子治療や生物学的製造プロセスの革新が進んでおり、サステナビリティ、医療、農業など、人類の抱える多くの課題解決に寄与しています。
ハイテクノロジー
ハイテクノロジーは、先端技術や革新的な技術を指し、科学と工学の最前線に位置します。これには、
・人工知能(AI)
・ロボット工学
・量子コンピューティング
などが含まれます。
ハイテクノロジーは、高度な知識や専門的なスキルを必要とし、産業界や研究開発において、絶えず進化し続けており、私たちの日常生活やビジネス、社会の運営方法に大きな変革をもたらしています。
ナノテクノロジー
ナノテクノロジーは、ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)スケールでの物質の操作と管理を扱う科学技術です。
この分野では、原子や分子のレベルでの構造や性質の変更が可能となります。
ナノテクノロジーの応用範囲は広く、
・医療
・エネルギー
・材料科学
・エレクトロニクス
など、多くの分野で革新的な製品やソリューションが開発されています。
インフォメーション・テクノロジー
インフォメーション・テクノロジー(IT)は、情報の生成、収集、保管、処理、伝達に関する技術のことです。
コンピューターシステム、ネットワーク技術、データベース管理などが主要な要素となります。
ITは、インターネットの普及、クラウドコンピューティングの発展、ビッグデータ分析の進化など、急速に進展しています。
これにより、ビジネスプロセスの効率化、新しいビジネスモデルの創出、社会生活の質の向上など、様々な変化がもたらされています。
テクノロジーに乗り遅れないための技術用語
テクノロジーの進歩はまさに日進月歩です。
次々と新しいものが開発され、その技術が応用されていき、私たちも身近に「クラウド」「生成AI」「メタバース」といった新しい用語を毎日のように聞く機会がありますが、その言葉の意味はご存知でしょうか。
ここでは、テクノロジーの進化とともに聞くようになった新しい言葉について解説していきます。
クラウド
クラウドコンピューティングは、インターネットを通じてコンピュータリソースやデータストレージ、アプリケーションを提供するサービスです。
従来、企業は物理的なサーバーやデータセンターを保有・管理していましたが、クラウドサービスの利用によって、必要に応じてリソースを利用し、コストを抑えることができます。
クラウドは、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)など、様々なサービスモデルを提供しています。
企業は柔軟にスケーリングし、イノベーションを迅速に進めることが可能になりました。
生成AI
生成AI(Generative AI)は、新しいデータやコンテンツを生成する人工知能の一種です。生成AIは、画像、音楽、テキストなど、多くのメディア形式のコンテンツを生成することができます。
例えば、Deepfake技術は、生成AIの一形態で、既存の画像やビデオから人物の顔や声を合成し、リアルなコンテンツを作り出します。
生成AIの応用範囲は広く、クリエイティブ産業から医療、製造業まで多岐で活用できる技術になるでしょう。
メタバース
メタバースは、仮想空間内でのインタラクティブな体験を指す言葉で、リアルタイムの3Dインターネットとも言われています。
この仮想空間内では、ユーザーはアバターを通じてコミュニケーションしたり、活動したりできます。
メタバースは、ゲーム、ソーシャルメディア、ビジネス、教育など、多くの領域において新しい可能性を提供しており、リアルと仮想の境界を曖昧にしています。
ブロックチェーン
ブロックチェーンは、データをタイムスタンプ付きのブロックに記録し、それらを連鎖させていく分散型データベースの一種です。
このテクノロジーは、取引の改ざんが非常に困難であり、透明性とセキュリティが高いため、仮想通貨(例:ビットコイン・イーサリアム)において重要な役割を果たしています。
しかし、その応用範囲は金融分野に留まらず、世界的にはサプライチェーン管理、医療記録、不動産取引など、様々な分野での利用が進められています。
5G
5Gは、第五世代移動通信システムの略で、4G(LTE)の後継となる通信技術です。
5Gは、超高速・超大容量・超多接続・超低遅延といった特徴を持ち、インターネットの利便性と範囲を飛躍的に向上させます。
これにより、自動運転車、IoT(Internet of Things)デバイス、テレメディシン、スマートシティの実現など、新しいテクノロジーの普及と革新が進むと期待されています。
5Gの展開は、社会全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させる要因になり得ます。
「デジタル化」「IT化」という言葉の意味
テクノロジーの中の一形態としてIT(Infomation Technology)があると言いました。
技術全般がテクノロジーであり、その技術の中でも
・コンピューターシステム
・ネットワーク技術
・データベース管理
・ビッグデータの取り扱い技術
などに特化した技術をITと呼びます。
ITと似ている用語に「デジタル」や「デジタル化」といった言葉もありますが何が違うのでしょうか。
ITも「IT化」というように使われることがあります。
「~化」は変化(プロセス)を与える接尾語の働きをするものです。
デジタルとは?
「デジタル」という言葉は、元々はラテン語の「digitus」(指)から来ており、数指の10を基本とする数制を意味します。
今日では、情報が二進法に基づく0と1、つまりビット(bit)で表現・処理される形式や、それに関連する技術を指しています。
コンピューター、インターネット、スマートフォンなど、我々の日常生活の多くの側面で用いられています。
デジタル化とは?
「デジタル化」という言葉は、アナログの情報やプロセスをデジタルフォーマットに変換すること、またはデジタルテクノロジーを取り入れて業務プロセスやサービスを改善・効率化することを指します。
例えば、紙の文書をスキャンしてデジタルファイルに変換することや、従来の手作業の業務をコンピューターシステムに移行することなどがデジタル化の一例です。
ITとは?
ITについてはすでに書いていますが、Infomation Technologyの略称で、情報技術と訳されます。
一般的に、ITはコンピューターを中心としたテクノロジーを指し、データの収集、蓄積、処理、伝送、提供など、情報の管理と活用に関連する技術やサービス全般を含みます。
しかし、広義にはコンピューターを使わない情報の管理や処理手段も、ある意味で「情報技術」に含まれることができます。
例えば、名刺を「あいうえお」順に整理することは、情報(名刺上のデータ)を一定のルールに基づいて管理していることになります。
これは、情報を整理し、必要に応じて迅速にアクセスできるようにするという点で、原始的な形ではありますが、情報技術の一環と言えるかもしれません。
IT化とは?
「IT化」は、あるプロセスや活動、あるいは組織全体がITを導入または活用することによって、効率化、自動化、最適化されるプロセスを指します。
例えば、紙ベースで行っていた業務をコンピューターシステムに移行することや、オフラインのコミュニケーションをオンラインツールに切り替えることなどが「IT化」の例です。
このプロセスを通じて、業務の効率が向上し、コスト削減、新しい価値の創出が期待されます。
テクノロジーとデジタル(化)、IT(化)の違い
ここまでの内容から、テクノロジーとデジタル(化)、IT(化)の言葉の違いを整理すると次のようになります。
●テクノロジー
分野は関係なく、技術全般を指す言葉。
●デジタル
情報を、数字を使って表すことができるようにした概念。
●デジタル化
情報を数字で表すこと、またはそのプロセス。
●IT
情報を利活用するための技術全般を指す言葉。
●IT化
情報を利活用するための技術を活用して、実際に情報を活用すること、またはそのプロセス。
まとめ:
今回は、身近な言葉として、テクノロジー、デジタル(化)、IT(化)について取りあげ、その言葉の違いについて深く考察していきました。
ここで紹介した言葉の違いが大きな問題になることはないかもしれません。
ただ、これと同様に身近にあってもよく分かっていない用語がたくさんある可能性もあります。
「何となく聞いたことがある」「言葉は知っているけど、意味は分からない」という積み重ねが、DXのような変革を求められる際のアレルギーになっていることもあります。
DXの必要性が注目されている昨今ですが、DXに関連するものにも「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」のような似て非なる言葉が出てきます。
もちろん、それぞれで意味も違えば、取り組み方も異なります。
まずは言葉の意味を知り、全体像を把握するということはどんな分野でも重要であると言えるでしょう。
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