中小企業の人事評価はシステム化するべき?人事評価システム導入のメリットを解説
中小企業における人事評価システムの導入は、ビジネスの効率化と成長を促進する重要なステップ。
従来の評価方法は時間がかかり、主観的な要素が強いことがありました。
しかし、システム化により、客観的かつ迅速な評価が可能になり、従業員のモチベーション向上と公平な評価制度の実現を目指すことができます。
この記事では、人事評価システムを導入することのメリットと、それによって中小企業がどのように変革できるのかを解説します。
効率的な運用と成果の最大化に向けて、人事評価システムが果たす役割を探っていきましょう。
目次
人事評価と人事評価システム
まずは、人事評価と人事評価システムの基本的な内容をまとめました。
人事評価とは?
人事評価は、企業において従業員の業績や行動を評価すること全般を指します。
従業員の成果や企業の目標達成への貢献度を客観的に評価し、適切なフィードバックと報酬を提供することを目的としているケースが一般的です。
人事評価が従業員のキャリアパスや昇進、給与の決定に直接関わることもあるため、公平かつ透明な評価基準が求められます。
また、人事評価を通じて従業員の強みや改善点を明らかにすることで、個人のスキルアップやモチベーション向上につながります。
正確な評価は、従業員の満足度を高め、組織全体の生産性向上につながるだけでなく、人材の適正配置や育成計画の策定にも役立つでしょう。
企業の持続的な成長と競争力の維持には、効果的な人事評価システムの導入が不可欠です。
人事評価と人事考課の違い
人事評価と似ているものに、「人事考課」があります。
人事評価は、従業員のスキルや業績を評価することに重点を置いています。
これは従業員の成長を促進し、その潜在能力を引き出すことを目的としています。
人事評価は継続的なフィードバックと指導に焦点を当て、従業員の自己実現とキャリアの進展を支援するために行っているという意味合いが強いのが特徴です。
一方、人事考課は、従業員のパフォーマンスに基づいて賃金、昇進、その他の待遇を決定するプロセス。
これは従業員の過去の成果に基づいて行われ、報酬や昇進の決定に直接的な影響を与えます。
このように、人事評価は従業員の成長と発展に焦点を当てており、人事考課は組織内での位置づけや報酬の決定に重要な役割を果たすという厳密な違いがあるものの、現代では混同されて使用されているのが普通です。
人事評価システムとは?
人事評価システムとは、従業員の業績管理と評価プロセスをデジタル化し、自動化するソフトウェアのこと。
このシステムは従業員の目標設定、パフォーマンスの追跡、評価の実施、そして上司からのフィードバック提供を一元的に行うことを可能にします。
これにより、評価プロセスが簡素化され、時間の節約と透明性の向上が図られます。
また、多くの人事評価システムでは、目標管理、面談記録、従業員データの一元管理、組織図の作成など、人事管理に関連する幅広い機能が搭載されており、組織の意思決定を容易にし、戦略的な人材管理を可能にしています。
人事評価業務のよくある課題
従来の人事評価業務では、
- 人事担当者の負担
- 不公平感がある
- 従業員のスキルと業務のミスマッチ
- 人事評価が形骸化している
といった課題を抱えることが多々ありました。
人事担当者の負担
人事評価を行う際、人事担当者は膨大な量の作業に直面します。
評価シートの作成、配布、回収、そしてそれらの集計作業は、著しく労力と時間がかかります。
特に、手作業で行われる場合には、誤りのリスクを伴い、効率性に欠けることも。
また、評価制度の更新があるたびに、これらのドキュメントを修正しなければなりません。
しかし、評価関連の事務作業が多すぎると、これらの重要な業務に十分な時間が割けません。
本来のコア業務に充てるための時間の確保も課題になるケースが多いです。
不公平感がある
人事評価制度における最も一般的な問題点の一つは、評価の不公平感。
評価者ごとに基準が異なる場合や、評価基準が不明瞭な場合、従業員は自分の評価結果に納得できなくなることがあります。
評価者の個人的な価値観や経験が評価に影響を与えると、評価プロセスは主観的かつ不均一になりがちです。
従業員が自身の努力や成果が適正に評価されていないと感じると、職場のモチベーションの低下や優秀な人材の流出リスクも高まります。
また、不公平な評価は、従業員の能力開発やキャリア進展の機会を妨げる可能性があり、組織全体の成長にも悪影響を及ぼす恐れがあるでしょう。
従業員のスキルと業務のミスマッチ
適切な人事評価システムがない場合、従業員の能力やスキルが正確に評価されないことがあります。
その結果、従業員の本来の才能や強みが見過ごされることが多く、従業員が担当する業務とそのスキルセットとの間にミスマッチを生じさせる可能性も。
従業員が自分の能力を最大限に活かせない状況では、生産性の低下はもちろん、職場での満足感やモチベーションの低下にもつながるでしょう。
個々の従業員の特性とポテンシャルをより良く理解することで、スキルと業務のミスマッチを防ぐことが大切です。
人事評価が形骸化している
人事評価がただの形式的な手続きに過ぎない「形骸化」している状況に直面しているケースもあります。
これは、設定された目標が現実的でない、または評価面談が単なる手続きとして行われることによって起こります。
形骸化の結果、人事評価はその本来の目的、すなわち従業員のモチベーション向上や能力開発を支援することから離れ、単なるルーチン作業となりがちです。
人事評価システムの3つのタイプ
人事評価システムには、
-
- オンプレミス型
- クラウド型
- パッケージ型
の大きく3種類があります。
それぞれの特徴を理解しておきましょう。
オンプレミス型とクラウド型のメリット・デメリットの比較については以下の記事も参考にしてください。
「オンプレミスとクラウドは結局どっちがいい?比較でわかるメリット・デメリット」
オンプレミス型
オンプレミス型とは、自社の物理的な施設内にサーバーを設置し、運用するシステムのスタイルです。
このシステムの最大の利点は、セキュリティの管理と制御が容易であることです。
企業は自社のサーバー上でデータを直接管理するため、外部からのアクセスリスクを最小限に抑えることができます。
また、オンプレミス型ではシステムのカスタマイズが自由に行えるため、独自のニーズに合わせて、柔軟なカスタマイズも可能です。
特定の業務プロセスや要件に完全に合致したソリューションを構築できます。
しかし、このタイプのシステムには高い初期投資が必要になることも。
サーバーの購入と設置、維持管理にかかるコストが他のタイプに比べて高くなりがちです。自社での運用と管理が必要となるため、専門のITスタッフが不可欠です。
専門のITスタッフを社内で育成・確保することができない場合には、システムの構築を外部に委託することになりますが、ベンダーロックインのリスクを背負う必要が出てくることには注意しましょう。
ベンダーロックインについては、以下の記事も参考にしてください。
「ベンダーロックイン脱却でDX推進へ!ベンダーロックインからの脱却方法を解説」
クラウド型
クラウド型は、インターネットを介してサービスが提供されるモデルです。
インターネット接続があれば、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの多様なデバイスから利用することが可能です。
クラウド型の一つの大きな魅力は、コスト効率の良さにあります。
このタイプのシステムでは、物理的なサーバーや専用のハードウェアを購入する必要がなく、高額な初期投資を抑えることができます。
企業は、クラウドサービスプロバイダーにサービス利用料を支払うことで、システムの使用権を得ます。
通常、これらの費用は月額または年額ベースで発生し、利用規模や機能に応じて調整されるため、企業は自社のニーズに合わせたプランを選択できます。
ただし、利用規模が増加するにつれ、月額や年額の料金も増加する可能性があるため、長期的なコストを見積もる際には、将来の利用シナリオを慎重に考慮しましょう。
パッケージ型
パッケージ型は、あらかじめ開発されたソフトウェアを購入し、企業のパソコンにインストールして使用する形式。
このタイプの最大の特徴は、初期購入による一括支払いで全機能を利用できる点です。
継続的なサブスクリプション料金や月額費用が発生しないため、長期的に見るとコスト効率が良い場合があります。
パッケージ型システムの利点は、インストール後すぐに使える点にあります。
既に多くの標準的な機能が組み込まれているため、迅速な導入が可能です。
また、インターネット接続が不安定な環境でも、オフラインで機能するため、アクセス性が高まります。
しかし、このタイプのデメリットはカスタマイズ性の低さ。
パッケージ型システムは汎用性が高く設計されているため、特定の企業の独自のニーズに合わせたカスタマイズが難しい場合があります。
そのため、特殊な要件や独自のビジネスプロセスを持つ企業には向かないかもしれません。
人事評価システムの主な機能・できること
従来のアナログ形式の人事評価の課題は上述した通りですが、人事評価システムでは、どのようなことができるのでしょうか。
人事評価システムの機能もまとめましたので、参考にしてください。
従業員の情報管理
人事評価システムは、従業員の情報管理ができるものが多くあります。
社員の持つ資格、経験、スキルといった重要な情報を簡単かつ効率的に管理でき、
人事担当者は個々の従業員の能力や業績を適切な評価やキャリアプランニングの策定に役立てることができます。
さらに、一部の人事評価システムには、従業員のパーソナリティや行動特性を分析する機能が含まれていることもあります。
評価基準の明確化
人事評価システムを使えば、評価プロセスにおける基準を明確に定義し、保存し、共有することが可能になります。
評価の一貫性と透明性が保証され、異なる評価担当者間での客観的かつ均一な評価が実現するのです。
基準を一度明確化してしまえば、人事担当者が変更となった場合でも、既存の評価基準を容易に確認して引き継ぐことができます。
目標設定と進捗・評価の管理
人事評価システムにおける目標管理と進捗管理機能は、従業員と組織が設定した目標の達成度を追跡し、評価するために重要です。
上司や人事担当者は、部署や個々の従業員が掲げた目標の進行状況を一目で確認できます。目標達成に向けた具体的な進捗が可視化されるため、必要に応じたフィードバックやサポートが提供しやすくなるメリットも。
従業員にとっても、この機能は自身の目標達成に向けた進捗を定期的に記録し、振り返ることができる貴重なツール。
蓄積されたデータをもとに、自己評価や自己成長の道筋を明確にすることにつながるでしょう。
MBO評価機能
MBO(Management by Objectives、目標に基づく管理)とは、組織の大きな目標を各部門や個々の従業員の目標に落とし込む管理手法です。
この方法は、個人の目標達成が組織全体の目標達成に直接貢献するという考えに基づいています。
MBOは企業の方針と従業員の個人的な目標を一致させることで、より効果的な組織運営を目指すためのもの。
多くの現代の人事評価システムでは、MBO評価機能が組み込まれています。
この機能を使えば、企業は従業員が設定した目標の進捗を追跡し、評価することができ、個々の目標が企業の大きな目標にどのように貢献しているかを明確にすることが可能です。
360度評価機能
360度評価は、従業員のパフォーマンスを多角的に評価する手法です。
このシステムでは、従業員は単に上司からの評価だけでなく、部下、同僚、場合によっては顧客やビジネスパートナーなど、複数の異なる関係者からフィードバックを受け取ります。
よりバランスの取れた、客観的な評価に有効です。
360度評価機能を持つ人事評価システムは、従業員に対する包括的な視点を提供し、個人の強みや改善点をより正確に特定するのに役立ちます。
また、従業員自身が自己のパフォーマンスを多角的に理解し、個人の成長やキャリア開発に役立てることもできるでしょう。
ワークフロー管理機能
ワークフロー管理機能は、人事評価プロセスの進行状況を可視化し、効率的に管理するための重要な機能です。
人事評価には、面談の実施、評価シートの作成、集計、そして結果のフィードバックといった多くのステップが含まれます。
従業員の数が多い場合、一つ一つの進行を管理することは特に困難になりがちです。
ワークフロー管理機能を利用することで、各ステップの進捗状況が一目でわかり、評価プロセスの効率化が図れます。
また、評価プロセスの進行中に発生し得る遅延や漏れを防ぎ、全従業員に対して公平かつ一貫した評価を行うことが可能です。
ほとんどの人事評価システムでは、このワークフロー管理機能が搭載されており、人事担当者が評価プロセスをスムーズに進めるのをサポートしています。
他のシステムとの連携
現代の人事評価システムは、他のビジネスシステムとの連携機能を備えていることが多いです。
勤怠管理システムや給与管理システムとの連携により、従業員情報の一元管理が実現します。
データの二重入力を避けることができ、時間と労力の削減が可能になります。
また、人事評価の結果に基づく昇給や降格などの人事決定があった際、評価システムと給与管理システムが連携していると、給与の変更を自動的に反映することができます。
人事担当者の負担を大幅に軽減し、ヒューマンエラー防止につながります。
中小企業が人事評価システムを導入するメリット
中小企業が人事評価システムを導入するメリットは多くありますが、ここでは、特に注目されているメリットをまとめました。
手間と時間がかからない
中小企業での人事評価システムの導入は、労務管理に関わる時間と労力を大幅に削減します。
従来、手動で行っていた従業員の評価作業、データの集計、分析などが自動化されるため、人事担当者の負担が軽減されるでしょう。
評価業務にかかっていた時間を他の重要な業務に再割り当てすることが可能となり、企業の全体的な生産性向上につながります。
公平に評価できる
従業員が設定した異なる目標でも、その達成度を数値化し、公平に評価することが可能になります。
人事担当者や上司の主観による影響を最小限に抑え、各従業員の実績や達成度を客観的に判断するのに役立ちます。
主観的な評価によるモチベーションの低下や管理層への反発などのリスクを回避するためにも、人事評価システムの活用は非常に効果的です。
従業員のモチベーションにつながる
人事評価システムにより設定される客観的な評価基準と透明な評価プロセスは、従業員が自身の成果と評価の関連性を明確に理解することを可能にします。
自己の成果を適切に評価されていると感じることで、仕事に対する満足感とモチベーションの向上に期待できます。
また、公平な評価システムは、優秀な成果を出した従業員に適切な認知を与えるとともに、改善が必要な領域を具体的に示します。
従業員のモチベーション向上は、人材の定着にも大きなメリットになるでしょう。
人材育成に活用できる
人事評価システムを利用することで、従業員の目標達成に向けた進捗を細かく確認し、定期的な面談を通じて個々の成長を支援できます。
面談記録をシステム上で都度記録することにより、従業員は自身の成長過程を振り返りやすくなり、行動の改善につながるでしょう。
さらに、目標設定から評価に至るまでのプロセスを一元管理できるため、部門を越えたプロジェクトにおいても、直属の上司以外の管理者が面談記録を参照し、有益なアドバイスを提供できるようになります。
これは、次世代のリーダーを発掘し育成する上で大きな利点です。
フィードバックが早く行える
従来の評価プロセスでは、上司から役員、さらには審査会を経てフィードバックが行われるため、評価結果を受け取るまでに長い時間がかかりがちでした。
しかし、クラウドやオンラインベースの評価システムを用いることで、このプロセスが大幅に短縮されます。
オンラインシステムによる評価は、評価結果を即座に評価対象者に届けることができます。これにより、業務実施と評価の間のタイムラグを解消し、従業員がフィードバックを受けてすぐに行動に移すことが可能になります。
迅速なフィードバックは、従業員のパフォーマンス向上や職務への理解を促し、より効果的な成長と進歩を支援するでしょう。
素早いフィードバックは従業員のモチベーション・満足度にもかかわる大切な要素です。
仕事と人のミスマッチが減る
人事評価システムを導入することで、従業員のスキルや実績をデータベース化し、これに基づいて人材を適切に配置することができます。
従来は人事部や経営幹部の記憶や直感に頼っていた人事異動の判断が、システムに蓄積された客観的なデータによって行われるようになるのです。
これにより、従業員とプロジェクトや部署間のミスマッチが減少し、個人とチームの両方にとってより成果を出しやすい環境が整います。
人事情報の一元管理ができる
従業員の個人情報、職務経歴、異動履歴、過去の評価結果などの人事情報を一元化できることもメリット。
従来は紙やExcelで管理されていたこれらの情報を、一つのシステム内で管理することで、情報の検索やアクセスが非常に容易になります。
情報の探索にかかる時間と労力が大幅に削減され、効率的な人事管理が実現するでしょう。
さらに、クラウドやオンラインベースのシステムによる情報集約は、物理的な書類の保管スペースを削減し、よりフレキシブルな情報管理へ移行できる機会です。
この点は特にテレワーク環境において重要であり、リモートアクセスが可能な人事システムは、新しい働き方にも柔軟に対応できます。
人事評価システムのデメリット
人事評価システムにはメリットも多いですが、デメリットもあります。
導入する前にはデメリットも確認しておきましょう。
コストがかかる
人事評価システムの導入には、避けられないコストが伴います。
初期の導入費用だけでなく、システムの維持・運用に関わるランニングコストも含まれます。
利用する機能の範囲やユーザー数に応じて、これらのコストは大きく変動することが多いため、導入するシステムを選ぶ際には、必要な機能を慎重に選定し、コストパフォーマンスを検討することが重要。
また、システムを導入した後の運用方法についても、十分な計画が必要です。
効率的な運用が行えない場合、導入コストは組織にとって単なる負担となり、投資の正当化が難しくなるでしょう。
システムの利用方法や組織内での適応プロセスを事前に計画することで、このリスクを最小限に抑えることが大切です。
従業員が慣れるのに時間がかかる
新しい人事評価システムの導入は、従業員にとって大きな変化をもたらします。
システムのルールや操作方法を学ぶ必要があるため、初期段階では業務負担が一時的に増加する可能性も。
特に、テクノロジーに不慣れな従業員にとっては、新システムの習得に時間がかかる場合があります。
この変更により従業員の間で混乱や不満が生じることも考えられるでしょう。
導入の目的や運用ルールを明確にし、従業員に対して丁寧な説明とサポートを提供することが重要です。
また、導入後のフォロー体制を整えることで、従業員が新システムに慣れる過程をサポートし、効果的な運用を促進できるようにしましょう。
既存の評価制度の見直しが必要になる可能性
人事評価システムを導入する際、多くの企業は既存の人事評価制度を根本から見直す必要に直面します。
これは、新しいシステムが従来の評価方法やプロセスに適合しない場合があるためです。評価の考え方やメカニズムは、時代とともに進化し、従業員のニーズに応じて変化するもの。
そのため、新システムの導入は、企業にとって人事評価の仕組み全体を再検討する絶好の機会です。
しかし、既存の制度を見直し、新しいルールや仕組みを導入することは、時間と労力を要します。
また、変更には従業員の理解と協力が必要であり、場合によっては一定の抵抗に直面することもあり得ます。
このように、人事評価システムの導入は、既存の人事評価制度の大幅な見直しを必要とする可能性があり、これは導入プロセスの中で考慮すべき重要なデメリットの一つです。
従業員が、評価されない仕事をしなくなる可能性
評価システムが具体的なタスクや目標に重点を置く場合、従業員は評価されると思われる仕事のみに集中し、それ以外の貢献を避ける傾向が出ることも。
この結果、組織内の協力やチームワークに重要ながら直接評価されにくい活動が軽視される恐れがあります。
さらに、評価制度が競争を促す構造を持つ場合、一部の従業員が他の従業員の評価を意図的に低下させようとする行動に出ることも懸念されます。
職場の雰囲気や文化を考え、慎重に評価制度を設定する必要があるかもしれません。
新しい評価制度に不満が出る可能性
人事評価システムの導入は、従業員間に明確な評価の序列を作ることもあるでしょう。
努力と貢献度が高いと判断される従業員の評価は上がり、そうでない場合は低くなる傾向があることは否めません。
評価が低くなった従業員にとって、たとえ評価が適切であっても不満の原因となることも。
特に、従来は明確な評価基準が設定されていなかった組織においては、新しい評価制度に対しての不満や反発が生じる可能性が高まるでしょう。
一部の社員からは、「評価基準が公平でない」あるいは「自分の貢献が適切に評価されていない」と感じる声が出ることも予想されます。
このように、人事評価システムを導入する際は、新しい評価制度に対する従業員の不満や反発に対応するための対策を講じることが重要です。
評価プロセスの透明性を確保し、従業員の理解と受容を促進するためのコミュニケーション戦略を立てることが、組織内でのスムーズな移行と正当な評価システムの定着に不可欠です。
まとめ:人事評価システムはメリットの方が大きい
人事評価システムには、デメリットはあるものの、従来は手間と時間がかかっていた業務を自動化できるなど、数多くのメリットがあります。
人事評価だけでなく、労務管理などその他の業務も一元管理できるという管理の面でも有用であることがほとんどです。
企業風土や従業員にとって、メリットが大きいと感じたら導入を検討してみるといいでしょう。
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