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KJ法を研修に取り入れよう! KJ法のやり方や研修手順を解説

チームの問題解決やアイディア出しを効率的に行うために、KJ法は非常に有効な手法です。この記事では、研修やワークショップでKJ法をどのように実施するかについて解説します。

初心者でも簡単に理解できるやり方から、効果的な研修手順まで、実践的なアドバイスを提供します。
KJ法を使って、チームのコミュニケーションと創造性を高め、より良い結果を出すための参考にしてください。

目次

KJ法とブレインストーミング

KJ法を実施する前に、ブレインストーミングについての基本事項を知っておく必要があります。
KJ法はそれだけで成り立つことはなく、ブレインストーミングとセットで応用される手法です。
まずは、KJ法とブレインストーミングの違いについて見ていきましょう。

KJ法とは?

KJ法とは、アイディアや情報を可視化し、分析する手法。
この方法は、個々の意見や考えを紙や付箋に書き出し、それらをグルーピングすることで、複雑なテーマや問題を体系的に整理します。
特にブレインストーミングセッションで有効で、多様な意見を効率的に収集し、分析するのに役立ちます。

KJ法の名前は、この手法を開発した文化人類学者、川喜田二郎のイニシャルから来ています。
彼が1967年に出版した「発想法」でこの手法を紹介したことで、幅広く普及しました。

組織やチームの中で、創造的なアイディアを生み出し、問題解決の手助けをするために、有効な場合があります。

ブレインストーミング(ブレスト・BS)とは?

ブレインストーミング、またはブレスト(BS)は、創造的な思考を刺激し、アイディア生成を促進する手法。
ブレインストーミングは、1950年代アメリカで開発され、チームメンバーが自由に、そして批判のない環境でアイディアを出し合うことを基本としています。
この手法の主な目的は、多様な視点から新しい解決策や革新的なアイディアを生み出すことにあります。

ブレインストーミングは、特にグループ設定で効果的であり、参加者が自分の思考に制限を設けずにアイディアを提案することを奨励します。
この自由な発想の流れが、思いがけないほど斬新なアイディアを引き出すことがあるのです。

また、KJ法と組み合わせることで、ブレインストーミングの成果をさらに高めることができます。
ブレインストーミングで生み出されたアイディアや意見を、KJ法を使って整理し、分析することで、より深い洞察や具体的な行動計画につなげることが可能になります。
二つの手法を組み合わせることで、アイディアをただ出すだけでなく、それらを実際の問題解決やプロジェクトの進展に結びつけることができるでしょう。

創造のブレスト・整理のKJ法

ブレインストーミングとKJ法の違いについて説明してきました。
ブレインストーミングが創造的なフェーズ、つまり「思いつき」の段階に集中しているのに対し、KJ法はその後の「整理と分析」のフェーズに焦点を当てていることに大きな違いがあります。

KJ法を実施するためにはその前段階でブレインストーミングのようなアイディアを出す工程を設けることが重要です。

定義 目的 プロセス 適用状況 参加人数
特徴
ブレインストーミング 自由にアイディアを出し合い、新しい解決策やアイディアを生み出すプロセス。 創造的な思考を促進し、新しいアイディアや解決策を生み出す。 参加者が集まり、ルールに基づいて自由にアイディアを出し合う。 アイディア生成の初期段階、新しい視点や解決策の探索。 通常10人以下のグループで行う。
KJ法 ブレインストーミングで生成されたアイディアや情報を整理し、分析する手法。 生成されたアイディアや情報を視覚化し、体系的に整理し、分析する。 出されたアイディアを視覚化し、類似点や関連性に基づいてグループ化。 アイディアの整理と分析、深い理解や有効な解決策の発見。 特に定められていないが、ブレインストーミングの成果に依存。

ブレインストーミングは少人数でのセッションに適しており、KJ法はブレインストーミングの成果に基づいて行われます。
細かい手法や手順については後述しますので、そちらを参考にしてください。

KJ法の前に重要なブレインストーミング

KJ法を実施する前にはブレインストーミングのようなアイディアを多く出すための取り組みが重要になります。
ここでは、ブレインストーミングを行ううえで重要な考え方、注意点と、実施手順についてまとめています。

ブレインストーミングを行う際の注意事項

ブレインストーミングを行う際には特に次の4つの点に注意しましょう。
①意見に対して批判をしない
②思いのままに発言する
③質より量を重視する
④アイディアの組み合わせを歓迎する

①意見に対して批判をしない

アイディアの提案時に批判や否定的なコメントを避けることで、参加者はよりオープンに、そして創造的に考えることができます。
他人の意見やアイディアを批判することは、自由な発想の流れを阻害し、参加者を萎縮させる原因になります。
特に、グループの中で権威のある人物が批判をすると、他のメンバーは自分の意見を表明することをためらうようになるでしょう。
これは、ブレインストーミングの本質である「多様なアイディアの探索」を妨げる行為です。

ブレインストーミングでは、全てのアイディアが価値を持つという前提のもと、各参加者が自分の考えを自由に表現できる雰囲気の醸成が重要です。

②思いのままに発言する

参加者が「もっと良いアイディアがあるかもしれない」といった先入観や、他人の評価を気にせずに意見を共有することが、ブレインストーミングの効果を最大化します。
発言する前に自己検閲をすることは、創造性に制約をかけることになるでしょう。
どんなアイディアも歓迎されるという安心感の中で、自由に考えを共有し、現実的でないと思われるアイディアでも歓迎されれば、それが新しい発想のきっかけになることがあります。

③質より量を重視する

ブレインストーミングの目的は、実行可能性や現実性よりも、とにかく多くのアイディアを生成することにあります。
ここで生成された多くのアイディアは、後の段階であるKJ法によって整理され、関連するアイディアがグループ化されます。
このため、ブレインストーミングでは、「質」を心配するよりも、「量」を意識して、可能な限り多くのアイディアを出すことに集中することが望ましいです。

④アイディアの組み合わせを歓迎する

ブレインストーミングの過程では、単独のアイディアだけでなく、異なるアイディアを組み合わせることで、全く新しい可能性が生まれることがあります。
例えば、一つのアイディアだけでは解決が難しい問題でも、複数のアイディアを組み合わせることにより、より効果的な解決策を見つけることができます。

アイディアの組み合わせを促進するためには、セッション中に多くのアイディアを出すことが重要です。
他の人の意見にも耳を傾け、自分なりの考えを付け足すことで革新的なアイディアへと変わっていくことも珍しくありません。

ブレインストーミングの実施手順

ブレインストーミングの実施手順は一般的には以下のようになります。

グループ分けとテーマ決め

解決すべき具体的な問題(テーマ)を設定し、その上でメンバーを集めます。
問題を明確にすることが、ブレインストーミングの目的を定め、参加者の焦点を合わせるのに役立ちます。
ブレインストーミングの参加者選びは、多様性を重視することが望ましいです。
異なる立場や性格の人々を集めることで、多角的な視点からの意見が集まり、より幅広いアイディアの生成が期待できます。
グループを作って実施する場合には、10人以下のグループを組成し、グループを作らずに個人で実施することも可能です。

司会者と書記を選ぶ

司会者:セッションの進行を管理し、全員が意見を表明できるようにします。
書記:提案されたアイディアを記録し整理します。

必要な物品の準備

ホワイトボードや大きな紙:アイディアの可視化に使用します。
カードや付箋:アイディアの記録に使用します。

意見の提出方法の決定

挙手制:自由に意見を発言します。
順番制:各参加者が平等に発言する機会を保証します。
グループを作らずに個人で実施する場合には、決められた時間内にできるだけ多くのアイディアを書き出し、まとめて意見を提出します。

時間を決めてアイディアを発表

決めた方法に従い、注意事項を守りながらアイディアを活発に出し合います。
時間を決めておかないとブレインストーミングそのものが目的になってしまう恐れもありますので、どのような状態になったら終了するのかを決めたり、制限時間を設けたりするようにしましょう。
時間を決める場合には10分~15分程度が適切と言われています。

KJ法のやり方・研修手順を解説

KJ法を会議時間や研修時間を使って実施することもあるかと思います。
ここでは、KJ法の具体的な実施手順について解説しています。

①ブレインストーミングとKJ法の概要のレクチャー

実施の前に、参加者メンバーにはブレインストーミングとKJ法の違いと概要を説明しておく必要があります。
多くの人にとってブレインストーミングは馴染みのあるものかもしれませんが、KJ法については初めて聞くという方も多いかもしれません。
まずは知識として知っておいてもらうことが重要です。

②意見を書き出すためのカードを作成する

KJ法を研修として成功させられるかどうかはブレインストーミングの段階で決まってきます。
ブレインストーミングの段階で、思いついたことは何でもカードや付箋、マグネットシートなどに書き出していきます。
インターネットでの調査結果なども含め、関連する情報はすべて記録します。

各カードには、一つのアイディアや意見を記載します。
これは、後の整理と分析を容易にするためです。
また、誰が見ても理解できるよう、具体的かつ簡潔な表現を心掛けることが重要です。

③カードのグルーピング

「カードのグルーピング」は、アイディアの整理と分析の核心をなすステップです。
アイディアの類似点や関連性に基づいて、複数のカードをまとめる作業から成ります。
メンバー全員が当事者意識をもってグルーピングに積極的に参加することによって研修の意義が高まります。
具体的な手順は以下の通りです。

小グループの作成

①最初に、内容が似ているカードをグルーピングします。これにより、類似したアイディアや意見をまとめることができます。

②各小グループには、2〜3枚のカードを用いて形成します。内容が近いカードを集め、グループには明確なタイトルを付けます。

③タイトルには異なる色のカードやペンを使用し、ラベルと区別しやすくします。
これにより、グループの内容が一目で理解できるようになります。

大グループの作成

①10以上の小グループが形成された場合、これらをさらにまとめて「大グループ」を作ります。

②関連性の高い小グループ同士を集め、より大きなカテゴリーを形成します。

③大グループにも新たなタイトルを付け、そのグループが表す全体的なアイディアやテーマを明確にします。

④グループ同士の関係を図解にする

複雑なデータや意見のパターンを視覚化し、新しい理論やアイディアの創出につなげるために重要です。

【手順1】
グループ化されたラベルを再配置し、関連性が高いグループ同士を近づけます。
この配置は、因果関係、類似性、対立関係などの基準に基づいて行います。

【手順2】
これらのグループ間の相関関係を図解化します。
この際に使われるフレームワークには、以下のような種類があります。

●ツリー型フレームワーク
用途
論理構造や階層関係を表現するのに適しています。

一つの中心アイディアから枝分かれするように、関連するサブアイデアを配置します。

●サテライト型フレームワーク
用途
相互依存的な関係を表現するのに役立ちます。

中心のアイディアの周りに複数の関連アイディアを配置し、それぞれが中心アイディアに影響を与える様子を表します。

●フロー型フレームワーク
用途
時系列や因果関係を示すのに用いられます。

時間の流れに沿ってアイディアを配置し、一連のアイディアがどのように進展するかを表します。

●サイクル型フレームワーク
用途
循環的な流れやプロセスを表すのに適しています。

アイディアが循環するプロセスを示し、各ステップが次のステップにどのようにつながるかを示します。

図解化する際は、以下のような矢印や記号を用いて、関係性を視覚的に表現します
●因果関係:単矢印(→)
●類似関係:直線(ー)
●対立関係:双方向矢印(←→)
●関係性の強度:太い矢印や破線などで強さを示す

関係性が一目で理解できるようになり、情報の整理や新たなアイディアの創出に役立ちます。
大きなグループから順に図解化を行うと、関係性の全体像を捉えやすくなるでしょう。

⑤文章化する

文章化は、視覚的に整理された情報を言葉によって体系化し、深い理解を促進するために重要です。
文章化する際のポイントは、グループに書かれたキーワードやフレーズを活用すること。
グループ化されたアイディアの本質を捉え、より明確に表現できます。
作業を効率化するためには、重要度が高いと思われるグループから順に取り組むといいでしょう。
最も関連性が高い情報から整理を進め、全体の構造を理解しやすくなるメリットがあります。

また、チームを複数に分けて文章化する方法も有効です。
異なる観点からの分析を行うことで、多角的な理解を促し、新しいアイディアが浮かびやすくなります。
各チームが異なる視点からまとめた文章を共有すれば、さらに豊かな内容の文章が完成するでしょう。

KJ法のメリット・デメリット

メリットの多いKJ法ですが、デメリットも存在します。
メリットとデメリットを理解したうえで研修の材料にしていきましょう。

KJ法のメリット

KJ法のメリットについてまとめました。

アイディアの可視化が可能

KJ法は、個々の頭の中にある抽象的なアイディアや意見を、具体的かつ目に見える形に変換します。
カードや付箋にアイディアを書き出し、これらをグルーピングすることで、複雑な情報が視覚的に整理されるからです。

この可視化により、メンバー間の情報共有が効率的に行われます。
KJ法のこの特徴は、特に複数のメンバーが関与するプロジェクトや会議で有効であり、創造的かつ生産的な意見交換を可能にするでしょう。

論理的に情報の整理ができる

KJ法では、情報はカテゴリーや主題ごとに整理され、それぞれの情報の間の関係性が明確になります。
さらに、これらのグループをさらに大きな構造内で整理することで、情報全体の論理的な流れやパターンが見えてきます。
このようにKJ法を用いることで、情報が視覚的にも理解しやすくなるだけでなく、その背後にある論理的な関連性や構造を明確に把握できるようになるメリットがあります。

メンバーの考えが分かり、情報が共有しやすい

各メンバーの考えやアイディアをカードや付箋に書き出し、グループ化することで、それぞれの視点や提案が視覚的に理解しやすくなります。
これにより、メンバーの思考や意見が明確になり、グループ内での意識の共有が促進されます。
特に、複雑な問題解決や創造的なアイディアを必要とするプロジェクトにおいて、このプロセスは非常に有効です。

KJ法を通じて得られた共通の理解は、チームの方向性を整え、目標達成に向けた一体感を醸成します。
KJ法はチームワークを強化し、効果的なコミュニケーションを促進する重要な役割を果たすのです。

新しい問題・アイディアが見つかる

ロジカルシンキングに基づいてアイディアをグループ化することで、それぞれの強みや改善点を明確に識別できます。
様々な視点からの意見やアイディアを一つのフレームワーク内で統合することにより、それまで見過ごされていた問題点や、新たなアイディアの可能性が浮き彫りになるでしょう。
KJ法研修を通じて、集団の中での新たな洞察を生み出す可能性が高まれば、より効果的な解決策や革新的なアイディアが生まれるかもしれません。

少数意見の活用ができる

通常の話し合いや会議では、多数決によって意見が決定されがちですが、KJ法ではこのような偏りが生じにくいです。

全ての意見が平等に扱われ、少数派の考えも多数派の意見と同様に重視されることで、グループ内の多様な視点やアイディアが表面化し、一方的な意見に偏ることなく、バランスの取れた結論に到達することが可能になります。

研修にスキルが要らず、気軽に実施もできる

KJ法は特別なスキルを必要とせず、誰でも気軽に実施できます。
ペンと付箋、もしくはカードさえあれば、どこでも手軽にKJ法を適用できます。
その手軽さと実用性は、チームビルディングや問題解決の研修で特に有効です。

KJ法のシンプルさとアクセスしやすさは、多様なバックグラウンドを持つメンバーを含むグループでの共同作業を促進し、新しい視点や洞察を得るための効果的な方法となります。

KJ法のデメリット

KJ法のデメリットについてまとめました。

情報整理が手間

KJ法においては、その手軽さと汎用性にもかかわらず、情報の整理が手間となることが一つのデメリットです。
出された意見を付箋やカードに書き出し、これらを適切にグルーピングする作業は、時間と労力を要します。

また、この手法を効果的に実施するには、一定数の人員が必要になることがあり、特に小規模なチームや個人での作業には不向きな場合も。
グループでの討論と意見の整理には、十分な時間を確保する必要があり、これがプロジェクトの進行に影響を与えることもあることは知っておきましょう。

参加者のアイディアに限定される

参加するメンバーの知識、経験、視点によって提供されるアイディアは大きく異なり、これによって得られる結果に偏りが生じる可能性があります。

参加者の特性に依存する性質は、特に多様性の欠如したグループで明らかになります。
例えば、特定の社会的背景を持つ人々が多い場合、そのグループのアイディアは一部の視点に偏る可能性が高くなります。
また、マイノリティの意見が過小評価されたり、無視されたりするリスクもあります。

これを克服するためには、参加者の間での力関係を平等にし、オープンな意見の出し合いができる雰囲気を作らなければなりません。

準備が手間になることもある

特別なスキルが必要ないとはいうものの、最低限の準備はどうしても必要です。
●カードや付箋の準備
●参加者を集めること
●日程の調整
●研修の内容構成を考えること
これらは決して片手間でできることではありません。

KJ法を実施する際は、十分な時間的余裕を見ておくことが重要であり、効果的なKJ法を研修で行うためには、これらの準備段階を軽視しないことが肝心です。

まとめ:課題解決のための手法は多く知っておこう

問題解決の手法の一つとしてKJ法によるアイディアの出し方、整理の仕方について解説しました。

変化の激しい時代と言われている現代では、トップダウン式の経営でスピードを重視することも大切ですが、判断内容の質を向上させるために多くのアイディアを募っておくことも同じぐらい重要です。

アイディアの出し方、整理の仕方の一例としてKJ法を参考にしてみてはどうでしょうか。

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