1on1ミーティングの効果測定は?1on1の効果測定方法や使えるツールの特徴を紹介
1on1ミーティングは、従業員とマネージャー間のコミュニケーションを強化し、チームの成長を促進する重要なツールです。
しかし、その効果をどう測定するかは多くのリーダーにとって頭の痛い問題。
本記事では、1on1ミーティングの効果を効果的に測定する方法と、そのための便利なツールを紹介します。
マネージャーと従業員双方にとって有益なフィードバックループの構築方法を探求しましょう。
目次
1on1ミーティングについて
1on1ミーティング(ワンオンワンミーティング)は、上司・マネージャーと従業員が個別に行う面談の形式です。
このミーティングの主な目的は、従業員のキャリア発展、業務上の課題、目標設定、フィードバックの交換などを話し合うことであって、人事評価が関係する面談とは性格が違います。
●開催頻度やミーティング時間
●テーマの決め方
など、1on1ミーティングに関する基本事項をおさらいしておきましょう。
1on1ミーティングについての詳細や、テーマ決めの際の注意点などについては、以下の記事も参考にしてください。
「1on1ミーティングのテーマは何?1on1で役立つテーマの一覧を紹介」
開催頻度やミーティング時間
1on1ミーティングは、部下と上司の間で直接的なコミュニケーションを図るために実施されるものです。
その開催頻度や所要時間は、組織の目的や個々のニーズに応じて異なります。
最適な頻度は、週1回が一般的。
この頻度であれば、進行中のプロジェクトや業務の進捗を定期的に確認し、必要に応じて迅速なフィードバックを提供することができます。
ミーティングの所要時間に関しては、目安としては30分から60分が適切。
部下の成長や業務上の課題について十分な議論を行うのに、過不足ない丁度よい時間とされています。
特に、直属の上司が中間管理職、部門長の場合、60分程度を確保することで、より深いレベルでの対話が可能になります。
また、ミーティングでは部下の話を中心にすべきです。
部下が自らの考えや問題点を自由に話せるようにすることで、より実りある議論を行うことができます。
具体的には、話の割合として部下が90%、マネージャーが10%程度を目指すと良いでしょう。
テーマの決め方
テーマの設定は、部下が主体的に関与し、自身のキャリアや業務に関する懸念をオープンに話せるようにすることが重要です。
1on1ミーティングのテーマ決定には、以下のアプローチが有効です。
まず、部下に対し、事前にミーティングで話し合いたいトピックのリストアップを依頼します。
部下にとっては、自分の現在の状況や関心事について考える良い機会となるでしょう。
そして、部下からのフィードバックを基に、マネージャーが主要な議題を決定します。
ミーティングの目標を明確にするために、事前にメールなどで主要な議題を共有することも効果的です。
テーマ決めの詳細については以下の記事も参考にしてください。
「1on1ミーティングのテーマは何?1on1で役立つテーマの一覧を紹介」
記録を残す
1on1ミーティングの成果を最大化するには、会議の記録を残すことが不可欠。
これにより、話し合われた内容を振り返ることが可能となり、将来的なアクションプランの策定やフォローアップが容易になります。
会議中には、部下の意見や提案、さらには問題点や懸念事項など、話し合われた重要なポイントをメモするようにしましょう。
また、上司として提供したアドバイスやフィードバックも記録しておくことで、部下の成長過程を追跡しやすくなります。
これらの記録は、後日のミーティングでの参考資料として使用することができ、部下の成長や業務の進捗状況を確認する際の基準となります。
1on1ミーティングは一回で終了するものではなく、継続的に実施していくものです。
「その場しのぎ」のミーティングにならないように、将来につながるミーティングの仕方を考えることが1on1の成否を決めていきます。
面談とは違う
ここまで見てきたように、1on1ミーティングと面談は違います。
以下の表に1on1と通常の面談との違いをまとめました。
特徴 | 1on1ミーティング | 面談 |
---|---|---|
目的 | 部下の成長支援、フィードバックの提供、業務進捗の確認 | キャリア開発、評価、昇進、給与交渉、総合的なパフォーマンスレビュー |
頻度 | 比較的頻繁(例: 週に1回) | 定期的だが頻繁ではない(例: 年に1~2回) |
内容 | 現在進行中のプロジェクト、短期的な目標、チーム内の問題 | 長期的なキャリア目標、パフォーマンスの評価、将来のキャリアパス |
形式 | よりカジュアル、対話中心 | よりフォーマル、評価や目標設定に焦点 |
参加者の役割 | 双方向のコミュニケーション、部下の意見や感想が重視される | 主に管理者が評価やフィードバックを提供 |
結果の取り扱い | 直接的な行動計画や即時の問題解決に繋がる | キャリアの進路決定や年度末の評価に影響を与える |
1on1ミーティングにはデメリットもある
1on1ミーティングには、部下育成上の大きなメリットがある一方で、デメリットもあります。
デメリットとしてあげられるのは、大きく以下の3点です。
上司と部下の時間を奪う
1on1には、上司と部下双方の時間を必要とします。
特に忙しい業務環境では、このミーティングに割く時間が、その他の重要な業務からの時間を奪うことになる可能性があります。
定期的なミーティングはスケジュールを圧迫し、日々の業務効率に影響を与えることを忘れてはいけません。
効果が得られるまでに時間がかかる
1on1ミーティングの効果は即時には現れないことが多く、部下の成長や改善を感じるまでには時間がかかることがあります。
結果がすぐに見えないことに対して、上司や部下がモチベーションを維持することは難しい場合もあるでしょう。
定量的な効果が見えづらい
1on1ミーティングの成果は、しばしば定性的であり、定量的な指標で測定することが難しいです。
このため、ミーティングの効果を組織全体の成果として評価しにくい場合があります。
1on1ミーティングの効果7選
1on1ミーティングの効果に期待されているものを7つ取りあげました。
効果測定をするにあたっては、どのような効果が見込まれるのかを事前に知っておくことが重要です。
後に紹介する「効果測定の具体的な方法」を合わせて参考にしてください。
①部下と上司の信頼関係の構築
1on1の実施形式は、従来の面談よりも気軽な雰囲気で行われるため、両者がよりオープンにコミュニケーションを取ることができます。
このような環境は、仕事の進捗だけでなく、個人的な目標、プライベートや懸念についても話し合いやすくなります。
1on1ミーティングは、相談できる上司と部下という理想的な信頼を築き、強化するための重要な手段となります。
長期的には、この信頼関係が組織全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。
②部下の主体性向上
部下が話題の中心となり、自らの業務上の課題や感じていること、さらには個人的な目標や困難について率直に話す機会を与えることによって、部下は自分自身の業務とキャリアに対してより主体的な態度を育んでいきます。
はじめは戸惑いや不慣れさを感じるかもしれませんが、定期的な1on1ミーティングを通じて、自信を持って自分の意見を述べる能力が養われていくでしょう。
③部下の仕事へのモチベーション向上
部下にとって、上司と1対1で話をするというのは、高揚感につながります。
評価に関係なくとも、業務にまじめに取り組んでいる従業員ほど、上司と時間をとって話をすることはモチベーションの向上になるもの。
モチベーションが上がらない原因としては、
●チームの課題に気が付いても、言い出せない
●業務上抱えている問題を相談できる相手がいない
なども考えられます。
上司は相談に乗り、部下が自分で課題を解決できるようコーチングに徹していくことで、部下の成長が促されていくでしょう。
④離職率を下げられる
従業員が組織に対して高い帰属意識を持ち、職場での自己実現を感じることができる環境は、離職の可能性を大幅に減少させます。
1on1ミーティングによって、従業員は自身の業務に対する意見やキャリアに関する悩みを直接上司と共有する機会が得られます。
上司は部下のニーズに耳を傾け、適切なサポートやキャリアパスの提案を行うことができます。
特に、部下の中には将来を機にしたキャリアを心配している人もいるでしょう。
将来に向けた安心感を提供できるか否かによっても離職率は変わってきます。
退職者数や離職率は1on1ミーティングの効果測定でも重要な指標になりえます。
⑤生産性向上
ここまでのメリットで紹介した
●主体性の向上
●モチベーションの向上
●離職率の低下
から、業務における生産性向上も期待できます。
主体的でモチベーションの高い従業員の生産性が高いことは言うまでもありません。
離職率が低下しているということは、社内で能力の高い従業員を囲い込めているということでもあり、新人教育に時間とコストを割く必要も少なくなるでしょう。
結果的に、企業としての生産性向上を果たしていることになるのです。
⑥人事評価の質向上
人事評価の質を向上させることができるの1onミーティングのメリットの一つ。
従来の評価方法が成果主義に重きを置いていたのに対し、1on1ミーティングを通じて上司は部下の業務遂行のプロセスや、直面している困難について深く理解することができます。単に成果だけでなく、その達成に至る過程も評価の対象となります。
定期的な1on1ミーティングを通じて収集される具体的なフィードバックや観察は、評価プロセスをより透明で公正なものにします。
従業員は自分の評価が公平に行われていると感じ、組織への信頼と満足度の向上にもつながるでしょう。
⑦上司のマネジメント力の向上
個々の従業員の特性を理解し、それに基づいて個別に対応することは、マネジメントの質を大幅に向上させます。
上司は部下の仕事の進捗だけでなく、その性格、働き方の傾向、職業的な志向性やプライベートに関する事柄まで深く理解することができます。
このような包括的な理解は、効果的なチームマネジメントと個々の従業員のポテンシャルを最大限に引き出す上で不可欠でしょう。
従業員一人ひとりの特性や能力を正確に把握することは、彼らを適切な役割に配置し、それぞれの強みを活かすマネジメントを可能にします。
1on1ミーティングは部下にとってだけでなく、上司にとっても有意義なものです。
1on1ミーティングの効果測定方法
1on1ミーティングの効果は数字として明確に評価することが難しいところですが、雰囲気だけで効果測定をすることはおすすめできません。
ここでは、具体的に1on1ミーティングの効果測定の仕方について言及していきます。
アンケート集計
もっとも簡単な効果測定方法がアンケート。
アンケートは、1on1ミーティングが従業員の仕事の満足度、モチベーション、キャリア発展への影響をどの程度もたらしているかを理解するために有効な手段です。
●ミーティングの頻度
●内容の充実度
●コミュニケーションの質
●具体的な変化や改善点
などの項目は盛り込んでおけるといいでしょう。
アンケート結果を分析することで、1on1ミーティングの効果を定量的に捉えられます。
従業員からの直接的なフィードバックは、ミーティングの形式や内容を改善するための貴重な情報源です。
肯定的な意見だけでなく、批判的な意見も収集することで、組織の潜在的な課題を発見し、それに対応する戦略を練ることが重要です。
退職者数・離職率の比較
ミーティング実施前と実施後の退職者数や離職率を比較することで、その効果を具体的に評価することが可能です。
もし離職率が低下していれば、1on1ミーティングが従業員の職場への満足度を高め、組織への長期的なコミットメントを促進していると考えられます。
一方で、離職率に大きな変化が見られない場合、ミーティングの頻度や内容、対話の質などを見直す必要があります。
また、従業員の悩みや要望が適切に取りあげられ、解決に向けた具体的なアクションが取られているかを再評価する機会となります。
エンゲージメントスコアの比較
アンケートに似ていますが、エンゲージスコアに注目した1on1の評価方法もあります。
エンゲージメントスコアは、従業員の職場への熱意や情熱、忠誠心を数値化したもので、ミーティングの影響を具体的に理解するのに役立ちます。
このスコアは、従業員からのアンケート結果に基づいて算出されます。
アンケートでは、「1on1ミーティングを行ってみて感じた変化」や「続けたい・続けたくない理由」など、従業員の感じている変化やエンゲージメントの度合いを問うことが重要です。
従業員が職場にどれだけ熱心であるか、また1on1ミーティングが彼らのモチベーションや職場への満足度にどのような影響を与えているかを把握できるでしょう。
360度調査の実施
360度調査の実施も効果測定には有効です。
対象となる従業員の上司、部下、同僚、さらには関連他部署のメンバーからの評価を集め、対象者の職場での振る舞いやコミュニケーションスキル、リーダーシップ能力などを多角的に評価します。
360度調査を1on1ミーティングの効果測定に用いることで、そのミーティングが従業員の行動や職場内の関係性にどのような影響を及ぼしているかを客観的に評価できます。
具体的には、ミーティングの前後で対象者に対する評価がどのように変化したかを分析することで、ミーティングの効果の可視化に近づけられるのです。
この調査により、
「経営側や人事部は1on1ミーティングが効果的に実施されているか」
「そのミーティングが従業員の職場でのパフォーマンスにどのように貢献しているか」
を把握することが可能になります。
異常値や特に目立つ変化があった場合、それらをさらに深く探求し、ミーティングのアプローチを改善するための貴重な洞察を得ることもできるでしょう。
eNPSスコアを測定する
eNPS(Employee Net Promoter Score)スコアの測定も有効な効果測定の一つです。
eNPSは、従業員が自社を友人や知人に推薦する確率を測定するための指標であり、従業員の会社に対するロイヤルティやエンゲージメントを反映します。
1on1ミーティングの実施前後でeNPSスコアを測定することにより、これらのミーティングが従業員の会社に対する姿勢や満足度にどのような影響を与えたかを明確に理解することができます。
eNPSの質問は通常、「あなたは友人や知人に自社を転職先として推薦しますか?」という形式で行われ、その確率をスコア化して回答します。
eNPSスコアの変動を追跡することにより、1on1ミーティングが従業員のモチベーション、職場への満足度、会社への忠誠心にどの程度影響を与えているかを測ることが可能です。ポジティブな変化が見られる場合、1on1ミーティングが従業員エンゲージメントの向上に寄与していることが示唆されます。
1on1ミーティングを成功させるための上司の必須スキル
1on1ミーティングは定期的に行うものであるため、導入してある程度の時期が経過した、あるいは1on1が文化となっている企業であっても形骸化していることがあります。
1on1ミーティングを成功させるためには上司にも求められるスキルがあることを理解しておく必要があります。
マネジメントスキル
1on1ミーティングは定期的(週に1回程度)に30分~60分程度の時間を上司、部下ともに使うことになります。
部下にも上司にも、各自が抱えている仕事があり、それぞれのスケジュールもあることでしょう。
上司、部下ともに仕事のスケジューリングができていなければ、1on1ミーティングに対してネガティブな印象を持たれてしまう可能性があります。
上司は自分だけでなく、部下の仕事の進捗などにも気をかけなくてはなりません。
コーチングスキル
上司にとってのコーチングスキルは不可欠です。
コーチングスキルとは、部下の潜在能力を引き出し、自己成長を促進するための対話技術です。これは、部下が直面している課題に対し、解決策を提示するのではなく、質問を通じて部下自身に考えさせ、答えを見つけさせるスキルです。
優れたコーチングスキルを持つ上司は、部下の話を丁寧に聞き、適切な質問をすることで、部下が自らの問題や課題に対する洞察を深める手助けをします。
これにより、部下は自己解決能力を高め、より自立した働き方を身につけることができます。
アクティブリスニングスキル
アクティブリスニングとは、ただ話を聞くのではなく、部下の話に真摯に耳を傾け、理解し、共感するものです。
このスキルを身に着けている上司に対して、部下は自分の意見や感情が尊重されていると感じ、よりオープンにコミュニケーションを取りやすくなります。
アクティブリスニングには、話し手の言葉を注意深く聞くだけでなく、非言語的なメッセージや感情も読み取ることが含まれ、部下の本当の悩みやニーズを理解し、適切なアドバイスやサポートを提供できるようになります。
1on1ツールに役立つツールの機能
数値にして可視化しにくい1on1ミーティングの効果測定。
効果測定のためのツールも多くありますが、それらのツールでどのようなことができるのでしょうか。
ツールによって機能は異なりますが、どのような機能があるのか紹介しましょう。
目標・評価管理の効率化
目標の設定、進捗の追跡、評価のプロセスをシームレスかつ効率的に行える機能が搭載しているツールもあります。
共有のプラットフォーム上で目標を設定し、その進捗状況をリアルタイムで追跡することで、目標達成に向けた具体的な行動計画を作成し、必要に応じて調整を行うことが可能になります。
目標の透明性が高め、部下が自己の責任と成果に対して明確な認識を持たせることも大切です。
目標達成の進捗状況などもツールで一元管理をすれば、評価の公平さも担保できます。
内容の充実、1on1頻度の管理
内容充実のために、
●議題の設定
●事前の質問準備
●過去の会話の記録へのアクセス
を容易にするツールもあります。
上司と部下は事前にミーティングの目的と焦点を明確にし、具体的かつ生産的な対話を実現できるでしょう。
また、1on1ミーティング頻度の管理機能は、定期的な対話を確実に行うために必要です。スケジュールの統合とリマインダーを提供し、ミーティングの設定や調整を簡単に行うことができるので、上司と部下はミーティングを定期的に行い、連続性と一貫性を保つことができます。
部下のコンディションの管理
コンディション管理機能を備えたツールは、部下のウェルビーイング(幸福感)やストレスレベルを把握し、その情報をミーティングの効果的な運用に活かすために不可欠です。
このタイプのツール・機能は定期的な気分やウェルビーイングに関するアンケートを提供し、上司は部下の精神的、感情的状態を把握できます。
部下が直面しているストレスやプレッシャーを理解することは、ミーティングでのコミュニケーションの質を高めるだけでなく、部下のパフォーマンスを最大化するための支援を適切に行うためにも重要です。
まとめ:1on1の効果測定は「可視化」がポイント
1on1ミーティングの効果測定は数字にできないことがボトルネックになりがち。
●部下のモチベーション
●離職率
●目標達成度や仕事の進捗状況
など、自社にぴったりの指標を見つけ、実施することが大切です。
場合によってはツールの力に頼ることを検討してもいいかもしれません。
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