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失敗しない人事考課を考える 人事考課の注意点を考察

「人事考課の種類と方法」

「人事考課で失敗しないための考え方」

「経営ビジョン実現に特化した人事評価方法」

社員の給与や昇進などを決める判断をすることを人事考課と言いますが、適切な人事考課を進めていかないと社員からの不満につながる可能性もあります。
しばしば、人事評価とも混同されることもありますが、能力や配置転換などの、幅広い分野での評価をするときには「人事評価」という言葉を使うことが一般的です。

はっきりとした違いはありませんので、あまり気にする必要はありませんが、いずれの場合も、どのように社員の能力や仕事上の成果を判断し、社員への還元とつなげていけばいいのか、悩まれている人事担当者が多いようです。

人事考課に関わる人に見て頂きたい内容を紹介しています。

人事考課の種類と方法

一口に人事考課と言っても、様々な方法があります。
まずは、その種類を知り、自社に導入できそうな考え方と、導入するのは難しいと思えるものを分けておくことも大事です。

社内での人事考課をコンサルタントに依頼して、制度を確立させるという考え方もありますが、人事考課が上手くいっている企業ほど、コンサルタントに提案された方法からアレンジを加えながら独自の人事考課へと発展させています。

人事考課には、成果評価・能力評価・情意評価の3種類があり、細かく見ていくと、業績評価・習熟度評価などに分かれていきます。

人事考課その1:成果評価

人事考課の対象となる期間の業績と、その業績に関わった貢献度合いを考えた方法です。
評価を下す側の感情を極力排除し、客観的な数値を基準として評価することが重要になります。

数値の判断基準としては、社内の業績目標達成度合い(予算達成度合い)、個々人の目標達成度合い、通常の業務の達成度合いなどがあります。

◆社内の業績目標達成度合い(予算達成度合い)
社内予算と実際の業績を比較します。
そして、実際の業績に、評価対象となる個人がどの程度の貢献を見せてくれたかを軸にして判断していきます。

◆個々人の目標達成度合い
人事考課の際には、上司との面談を通してフィードバックを受けることがほとんどであると思います。
面談のときには、会社から期待されていることの他に、各自の目標設定についても考えていきましょう。
ここで大まかに決めた目標を次回の人事考課の対象項目とし、その目標の達成度合いに応じて数値にしていきます。

◆通常の業務の達成度合い
売上や利益にはつながらない、あるいは見えにくい業務もあります。
そのような業務に対して、業務ごとにポイントや数値化させることもできます。
イメージとしては、欧米式の職務記述書に似ています。
業務ごとに報酬が決まっているという感覚です。

人事考課その2:能力評価

成果評価の項目で記載した「通常の業務の達成度合い」に似ています。
個人のできること、能力に応じて評価をしていくのが能力評価です。

能力評価では、仕事上必要な提案をどのぐらいしてくれたのか、実際に決まったことをどの程度実行に移すことができたのかなどの項目があります。

人事考課その3:情意評価

情意態度は簡単に言ってしまえば、社員の勤務態度のことです。
組織として仕事をしているので、どれほど企業全体の業績がよかったとしても、問題のある社員の評価は下げておくべきです。

主観的な要素も含まれやすいのですが、ハラスメント関連の問題がある社員には厳しく対応することが目的です。

組織として働く上で欠かすことができない協調性、仕事に前向きに取り組み、チームを引っ張ることができたかどうかのリーダーシップ性、計画にあったことをやり抜く力などが評価の対象となります。

人事考課で失敗しないための考え方

人事考課をすべて点数化しようとすると失敗します。
また、他の企業に相応しい人事考課の方法が自社にも応用できるとは限りません。

従業員数や規模によっても人事考課の仕方は変わってくるのが自然です。
客観的な数値目安があり、それを公開することによって社内からの不満は出にくいと思われるかもしれませんが、そうでもありません。

人事考課の項目でもご覧いただいた通り、「やり抜く力」「協調性」などの項目を加える以上は、主観的要素が少なからず含まれてしまうのです。
この点を理解した人事考課を行っていくことが大切になります。
人事考課を行う以前に失敗しないための心構えを紹介しています。

人の承認欲求を満たす

人事考課は給与や賞与などの金銭に関わる要素を含みますが、それは仕事への評価と表裏一体です。
そして、仕事の評価をするのはどれだけ制度化した場合でも、人が最後に判断をします。

評価する時には、「相手のことを認めている」というシグナルをしっかりと送ることができているかどうかが重要です。
人間には本来、承認欲求が備わっています。

待遇が今よりも良くならなかったことが、認められていないと感じ取られることは、不満につながりやすくなります。
企業側にそのつもりがなかったとしても、従業員には、そのように感じてしまうものなのです。

人事考課・人事評価は社員への罰則のために存在するのではありません。
社員の成長意欲の喚起、日々の仕事への承認を行うためのものです。
給与や賞与をはじめとする金銭的な内容はその副産物にすぎません。

相手の頑張りを正面から認めてあげることが大切です。

社員と企業のベクトルの一致

同じ企業で働いていても、その人たちが大切にしているものも、重視するものも違います。
価値観を統一することは難しいのです。

しかし、完全に価値観を一致させることはできなくても、ある程度は重なっている部分を見つけていくことも大切です。

能力のある集団であっても、方向性が揃わないことによって、業績が思うように伸びていかないこともあります。

人事考課でも価値観の統一は重要です。
一方的に決められた不透明な人事考課よりも、社員の価値観から、「この人事考課は自社であれば正当である」と思える部分を少しずつ広げていくことが失敗しにくい人事考課と言えるでしょう。

求める人物像を掲げる

学生の就職活動期には、その企業の求める人物像を注意して見ています。
その企業の求める人物像に近い人物であると思われるために、学生はPR内容を考え、準備してから採用選考に臨むでしょう。

企業側は仮に、完璧な人材でなくても、将来性を感じれば、そこへの投資と考えて採用することもあります。
しかし、入社した社員は、入社後に求める人物像に近づこうとはしているでしょうか。
採用面接の時だけで終わらないように、社内で、もう一度求める人物像、あるべき姿を追求する姿勢も必要かもしれません。

求める人物像という表現は抽象的ですが、人事考課が不透明である場合には、その方向性を見せておくことはとても重要です。

経営ビジョン実現に特化した人事考課方法

人事考課について考えると、その評価の仕方や仕組みに目がいきがちですが、企業には経営のビジョンがあるはずです。
そのビジョンを実現するために人材が必要であれば雇用を促進し、従業員にもっと頑張ってもらうために評価制度があります。
何が目的で何が手段であるのかを間違えないようにしたいところです。

人事考課は賃金査定とは違う

人事考課は単なる賃金査定ではありません。
企業の経営ビジョンに賛同して、ついてきてくれた従業員に対して感謝をしているというシグナルであるべきです。

そのためには、企業の経営理念を評価する側がしっかりと理解していないといけません。
経営者自らが従業員の評価をする場合にはいいのかもしれませんが、直属の上司が部下の評価をするときにも、経営者の理念を深く知っておくことは欠かせません。

人を育成する人事考課

人事考課は、人の成長につなげていくことが目的です。
人の成長につなげるという意味では、「人事評価」という言葉を使うことが多いですが、しばしば「人事考課」とも混同されています。

人が育つ条件は「自らの積極性・成長意欲」です。
外的要因もありますが、結局のところは、各自の努力ということになるでしょう。
そこで大切なのは、「自らの積極性・成長意欲」をどのように芽生えさせるかです。

企業によって育成の風土が異なると思いますが、人事考課を手段として上手く活用したいところです。

経営計画と育成計画の作成

企業によっては、経営計画を幹部以上の人たちだけが把握しているケースもあります。
数値目標はもちろん、細かい経営方針を従業員にも周知させることによって、その会社の目指すべき方向が見えてきます。

経営計画の中に、人材の育成計画を組み込むことも良い方法です。
人の成長には各自の目標も大切ですが、その目標も企業の経営ビジョンに重なっているのかを確認することも大事です。
点でバラバラな目標を掲げるのではなく、従業員の成長がそのまま企業の成長につながるような評価基準も考えてもよいでしょう。

まとめ:失敗しない人事評価・人事考課の運用

人事考課に正解はありません。
企業ごとに運用の仕方も違いますし、もちろん、その内容にも差があります。
特に、経営者の世代交代がある場合には、人事考課制度は問題として取りあげられやすく、コンサルタントへ依頼される方も多くいます。

一度で正解を導き出すよりも、やってはいけない方法を探していくことも検討すべきでしょう。

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