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DXとデータ活用の違いは何?DX推進によるデータ利活用との違いを解説

DXはデジタル技術とデータを活用した新しい価値創造を行い、企業変革をおこすことで競争優位性を確立させることを目的にした取り組みです。

そこで、「デジタル技術の活用」と「データの活用」について、デジタル技術は最新のものを使っていて、顧客データなどもしっかりと管理しているからDXは終わっていると思う方もいるのではないでしょうか。
あるいは、DXと現状の違いが分からないという方もいるかもしれません。

DXの目指すデジタル化とデータの活用は、従来の価値観から見たデジタル化とデータの活用とは性格が違うものです。
ここでは、DX推進によるデータ利活用の意味と、その利活用の方法や注意点を解説していきます。

DXの最終ゴールはデータを活用すること?

DXが目的とするものは、変わりゆく環境の変化に対応するためにデータを活用しながら顧客へ新しい価値提供をし続けることです。
しかし、単にデータを蓄積・分析して実行に移すような考え方とは違います。
データに基づいた正確で論理的な判断が行えるデータドリブン経営が求められています。

DXとは?

そもそも、DXとはどのような状態を指していうのでしょうか。
DXそれ自体は海外発祥の考え方ですが、日本経済産業省はDXを以下のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

ここにもあるように、DX推進のためには「データ」と「デジタル化」、この二つがキーワードになりますが、従来のデータ収集とデータの利活用とは大きな違いがあります。

もっと詳しくDXについての概要や必要とされる背景を知りたいという方は、以下の記事も参考にしてください。
「DXとは何?デジタル化の先にあるDXを詳しく解説」

日本のDXとデータ利活用の認識

ガートナージャパンが2021年に調査した「DXとデータ、アナリティクス」との関係に関する内容から、日本のDXにおけるデータの利活用には世界基準で俯瞰すると大きなズレがあることが分かっています。

日本ではデータ、アナリティクスリーダーを設置しないままDXへの取り組みを進めている企業が多いのに対して、海外企業でDXを推進している企業の実に8割近くがDX推進を行うのにデータ、アナリティクスリーダーが牽引している状態という統計があります。

海外ではDX推進をするにあったて、DX推進の責任者とは別にデータを管理する責任者を設けているのが一般化してきていることから、日本ではDXをデータの利活用と同一視しているという認識があるようです。

DXと従来のデータの利活用との違い

「DX=データの利活用」でもなければ、DXで意味するデータの蓄積は従来の方法とも違います。

DXを推進していない企業であったとしても、顧客データなど、数多くのデータを集めている企業はたくさんあります。
しかし、それらのデータには
●信頼性
●汎用性
●検索性
こういった観点での扱いやすさはどうでしょうか。
少なくとも、これらの項目において不安視される項目があれば、それはデータの利活用は難しいでしょう。
どんなデータも活用してこそ意味があります。

「どこかにはあるけど使い方が分からない」
「蓄積はされているはずだけど、どこにあるのか分からない」
こういった整理できていないデータはデータがとれていないことと同義です。

「DXによるデータ利活用」とは、
●人為的にデータを収集する必要がほとんどない
●自動でデータを集める仕組みが構築されている
●適切なタイミングで適切なデータを使ってデータに基づいた経営判断ができる
状態になっているものを指します。

今まで、「データ」と思っていたものは単なる「情報」でしかなく、使い方が分からないものになっている可能性があります。
市場での競争優位性を確保するための有効なデータの蓄積と活用がDX推進のうえで求められているデータの利活用です。

 

DXによるデータの収集と利活用が大事な3つの理由

DXによるデータの収集と利活用が行えると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、DXによるデータ収集・利活用が重要である理由を3つ紹介します。

適切なリソースの分配ができる

企業の労働力確保を困難にしている大きな要因は少子化です。
少子化トレンドが継続していけば、働き手を囲い込むことにも工夫が必要になります。

人的リソースの確保が難しく、黒字であるにもかかわらずに人手不足倒産をする企業もゼロではありません。
企業は自社のリソースを無駄なく最も生産性が高いと思われるように配分することが求められるのです。

そこで重要になるのがDXによるデータの蓄積・利活用の考え方になります。
データ収集など、コンピュータが得意な分野に人的リソースを分配するのではなく、従業員がコア業務に集中できるような人員配置を検討することが求められています。

データドリブン経営につながる

データを活用することでデータに基づいた分析と課題の発見ができます。
漠然とした「業績が悪い」という抽象的な分析から、「○○の業績が悪く、全体的な業績に影響をしている」というような具体的な分析を行えるようになります。
データの解像度を高めていくことで、「○○の業績が悪いのは●●が悪いから」というような「原因の原因」を追究することもできるようになります。

集めたデータをグラフ・表などにまとめることで視覚化して整理することで多様な視点からの分析も容易になるでしょう。

現状を数値から判断し、数値ベースで経営の方針を立てるデータドリブン経営が可能になれば、感情で判断を誤らない合理的な経営に近づける大きなメリットが得られます。

ビジネスチャンスが生まれる

データの蓄積が進むと、分析して利活用する段階へと進んでいきます。
そのデータ分析を人が行う場合とその分析さえも自動化させる場合とがありますが、ECショップなどでは自動化しているケースが多いように思えます。

DXのデータの利活用で例としてよく取りあげられるのはNetflixの例です。
同社は自社で制作したコンテンツの多くをヒットさせていることで有名です。
しかし、同社の従業員が自分たちの趣味や趣向でコンテンツを制作しているわけではなく、その制作を行う根拠を明確にデータの中から見出しているからこそ、成功につなげることができていると言えます。

同社が集めているデータの種類や項目は非常に多岐にわたり、消費者がどんなコンテンツを見ているかはもちろんのこと、
●一時停止・早送り・巻き戻しのタイミング
●コンテンツを視聴している曜日
●コンテンツを視聴している時間帯
●コンテンツを視聴しているデバイス(PC、スマホ、タブレットなど)
●サイト内のヒートマップ(どのページをどのぐらいの時間をかけて閲覧しているか)
など、どのようなコンテンツを配信すればいいのか、データドリブン経営を軸に経営判断を行っています。

これによって、従来は気が付かなったニーズの発掘ができます。
消費者の動向をつかむことによって、まったく異なったビジネスモデルの開発につながるかもしれません。

そもそも同社はレンタルビデオサービスという形態から事業をスタートさせており、それが今ではネットで全国・海外配信を手掛ける事業へと成長しました。
これには、「インターネットが世界と個人をつなぐ」という市場の変化に柔軟に対応することができた結果であることは間違いありません。

データの利活用はビジネスチャンスを生み出すことはもちろん、ビジネスの在り方そのものを変革させる可能性も秘めています。

DXで集めるデータの種類

DXによるデータ蓄積と利活用の重要性について解説したところで、データの種類について触れていきます。
必要なデータの種類や属性は事業内容によって大きく異なると思いますが、参考にしてください。

顧客データ

企業にとっての生命線ともいわれる顧客データ。
これを重要でないという経営者はいないと思います。

江戸時代の商人は店が火事になったときに、真っ先に顧客台帳(取引先の顧客リスト)を井戸に投げ込んでいたそうです。
顧客台帳は水で濡れても文字が消えないという特殊な加工が施してあったことは有名です。

事業経営における最大の資産とは、
●商品
●現金
●土地や家屋
これらのものではなく、顧客リスト・顧客データであるということを今から数百年前の時代から分かっていたのです。

今の商売がダメになったとしても、顧客リストさえあればまた商品やサービスを買ってもらえる可能性は高くなります。

従来は(見込み)顧客リストはハウスリストと呼び、企業間でリストの売買を行うこともありましたが、現代では個人情報保護法によって禁止されています。
これほど貴重な顧客リストを集め、管理を自動化できるツールの導入は積極的に検討するべきかもしれません。

顧客リストを大きな手間暇をかけることなく蓄積される仕組みを作ることが重要なのは間違いありません。

経理データ

経理データも自動化させるツールがたくさんあります。
経理データを蓄積するべき理由は、事業の課題分析・事業の方向性を決めるのに役立つからです。

それ以前に法律で保管を義務付けられているデータもありますので、多くの企業で問題なく蓄積はされていることかと思います。
経理データは、蓄積よりも有効に利活用できる状態を目指していきたいデータの一つです。

商品・サービス販売データ

商品・サービス販売に関するデータも企業にとって貴重な財産に成り得ます。
これらのデータは、
●商品・サービスが売れた日時や時期
●商品・サービスを購入した人の性別や年齢
●商品・サービスを販売した店舗の立地
などが対象です。

大手コンビニ店では、商品の売れるタイミングや時間に関するビッグデータをもとにして、どの時期に、何を、いくらの値段で、販売するかを決めて利益が最大化するようにマーケティング戦略を立てます。

店舗を出店させる場合にも、立地条件や駐車場のスペースなどの膨大な統計データに基づくデータドリブン経営は一般化されつつあります。
商品・サービスの品質向上への取り組みも重要ですが、商品の品質以外の戦略の部分で誤った判断をしていないか振り返ることも重要です。

在庫・入出庫データ

在庫を抱えることはリスクになります。
在庫を最適化しておくためにも、在庫・入出庫データを適切に管理することが重要になる業種もあります。

社外データの活用も重要

社内にデータが蓄積されていない場合、社外データの活用を考えることも有効な選択肢の一つです。

ただし、社内にデータが蓄積されていない企業にもタイプがあります。
①実際には社内にデータがあるのに、それに気が付いていないタイプ
②情報として断片的には集められているが、検索機能がないなどの不便があるタイプ
③実際に社内に顧客データを集める仕組みがないタイプ

①と②のタイプである場合、社外データを活用するのと同時に自社でデータを蓄積し、利活用する仕組みを整えることにも投資した方がよいときがあります。

③の場合には、すぐに自社でデータを蓄積・利活用することは難しいと思われるので、社外データを活用することからスタートすることをおすすめします。

DXによるデータ利活用の手順

DXによるデータ利活用を行うまでの手順を紹介していきます。

改善点の調査・集めるデータの明確化

自社で抱えている改善点をピックアップします。
すでにデータがある場合にはデータとともにその根拠もリストアップするといいでしょう。

課題が見つけられたら、その課題を解決するために必要な情報にどのようなものが必要かを考えます。
●営業成約率
●制約に結び付く時間帯
●担当者情報
●顧客情報
など、必要と思われるものは特に深く考えずにどんどん列挙していきます。
データの種類を一通り洗い出すことができたら、その中から本当に必要と思われるデータに厳選していきます。

データを蓄積する

実際にデータを蓄積していくためのツールを検討します。
データを蓄積する際には、
●生データでの管理(データレイク)
●時系列や目的ごとに検索できる状態で保存する(データウェアハウス)
●データを加工して分析者が利用しやすい状態して保存する(データマート)
の3つを意識したデータの蓄積ができることが理想です。

本格導入する前に、データを集めた後の利活用にまで目を向けてツールの導入を考えていきましょう。

データから課題を分析する

データから課題の分析を行います。
データを多く集めて、そのデータを表計算ソフト(Excelなど)に起こすのは効率が悪く、DXに逆行する作業になりかねません。

蓄積したデータを分析する際にはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどを使うことが一般的です。
ツールの導入が難しい場合には、専門的なデータサイエンティストにデータの分析を依頼することも方法の一つです。

※BIツール
Business Intelligence(ビジネスインテリジェンス)の略。
売上情報や財務情報、営業や売上、人事データなど様々な分野の数値分析を行えるツールの総称。

データを根拠にした意思決定をする:データドリブン経営

データの蓄積・分析まで進んだら、実際にどのように数値改善に動いていくのかを考えるフェーズに到達します。
データの蓄積と分析が単なる数字遊びで終わってはもったいないです。

数字を基準にどのような方針で動くことが重要なのかを考え行動していきます。

データ蓄積・分析と利活用時の注意点

データ分析・利活用時には注意すべきことがあります。
●データ蓄積時のデータ形式の統一
●個人情報
●信憑性
についてみていきます。

データ蓄積時のデータ形式の統一

企業にとってのデータと、情報は異なります。
データは分析、利活用を考えて集めるべきであり、そのためにはデータ形式を統一することは必須です。
一部を紙で保存、一部をクラウド上に保存するなど、保存方法の統一性がないことはもちろんのこと、データの形式や得られている情報の不均一さなどもなくすことが求められます。

個人情報

個人情報の取り扱には特に気を付けましょう。
信頼を大きく傷つける可能性もあり、データの利活用による恩恵を大きく上回る損害につながる可能性があります。

信憑性

集めたデータは客観的に信頼できるものなのか、考えるようにしましょう。
データドリブン経営は重要ですが、データを使いこなすのではなく、データに振り回されるような経営判断は致命傷を招くこともあります。
データを蓄積する際の信憑性は気を付けるべき最重要項目です。

データ蓄積・利活用のときに導入したいツール

最後に、データ蓄積・利活用に有効なツールを紹介していきます。

SFAツール

SFAとは、Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)の略です。
文字通り、営業を自動化するアシスタントツールになります。

見込み顧客の管理はもちろんのこと、外部営業での商談状況の管理、取引先へのアプローチ段階などの情報を組織で一元管理することができます。
外部営業では、「担当者」をつけることによって「属人化」を招くリスクがありますが、SFAツールを使うことで営業段階が可視化されます。

CRMツール

CRMはCustomer Relationship Management(カスタマーリレイションシップマネジメント)の略です。
SFAツールが外部の営業管理ツールとして注目されているのに対して、CRMツールは内部ですでに抱え込んでいる顧客を管理する際に役立つものとして注目されています。
顧客との関係性構築・向上や、(見込み)顧客教育の促進に役立ちます。

BIツール

先ほど少し触れましたが、蓄積したデータを用途ごとに取り出せるツールです。
データドリブン経営を行うために欠かせないツールの一つです。

まとめ:データ利活用には積極的になるべき

減り続ける労働力、限られた時間の中で行えるトライアンドエラーには限界が訪れます。

無限に時間や人のリソースがあるように感じた過去は、これから一度も見ることはできないでしょう。
膨大なデータの分析、利活用を通じて必要なトライアンドエラーを最小限にしながら正しい方向で企業努力をすることが求められる時代になってきています。

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