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DX推進に必要なデジタル免疫とは?DXに欠かせないセキュリティ課題

「デジタル免疫」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「免疫」という名前の通り、企業が導入しているシステムに関するセキュリティ面の強さ、自己修復機能の高さなどをまとめて表した言葉ですが、ここ最近ますます「デジタル免疫」の重要性に注目が集まっています。

その理由の一つが、経済産業省がまとめているレポートにもあるDX推進です。

「2025年の崖問題」とあるように、レガシーシステムからの脱却を求め、クラウドで管理できるシステムを導入する企業も増えており、それに伴いサイバーセキュリティの問題も軽視できなくなりました。

※2025年の崖問題など、DXが必要になる背景などについては以下の記事を参考にしてください。
「DXとは何?デジタル化の先にあるDXを詳しく解説」

今回は、「デジタル免疫」とDXとの関連性についてまとめていますが、社内で使っているデジタルツール全般のセキュリティ面で重要な考え方ですので、参考にしてください。

デジタル免疫とは何か?

デジタル免疫とは、システムに対する脅威(サイバー攻撃やウイルスなど)からシステムを守ったり、正常な状態に回復したりする能力のことです。

「免疫」というのは生物学の用語で、体内の遺物に抵抗して排除できる能力とされていますが、これをデジタル分野に当てはめてつくられた用語が「デジタル免疫」です。

日本全体の課題でもある企業のDX推進によって、業務・サービスのデジタル化が推進されればされるほど、システムが脅威にさらされるリスクが高くなることは否めません。
このような問題に対応するためにデジタル免疫についての考え方が重要になります。

現代では、人体だけでなくシステムにも免疫機能を備える必要があるのです。

デジタル免疫のための6種類の重要指標

デジタル免疫を高めるためには6種類の重要な要素があり、いずれもバランスよく備えておく必要があります。
システム用語の解説になりますので、簡単に6種類を紹介します。

システムを導入する際にはデジタル免疫について知っておくことがセキュリティ問題に対してのリスクヘッジにつながります。

オブザーバビリティ(可観測性)

オブザーバビリティとはシステムの可視化のことです。
システムを「見える化」することによって、開発エンジニアが
●どこに問題があるのか
●どこのシステムと連動しているのか
などの問題の本質を突き止めることができるようになります。
オブザーバビリティの向上は、システムに異常が発生したとき、正常な状態に戻すまでの時間に影響すると考えられます。

AI拡張型テスト

AI技術を活用することで開発エンジニアに頼ることなく、そのソフトをテストする仕組みを構築することです。
ソフトのテストを自動で行うだけでなく、
●どのような計画で
●どのようにテストをするべきなのか
●テスト結果はどうなっているのか
など、分析までを自動化します。

カオスエンジニアリング

ソフトウェアシステムに事前にカオス実験・障害実験を組み込むことを指します。
人間の免疫機能を高めるためのワクチン予防接種の考えをシステムに応用したものです。
これによって、システムを本稼働させる前に問題点を明確にしたうえで改善することができ、システム障害が発生した時の迅速な対応方法を検討することができます。

自動修復

オブザーバビリティによって、開発エンジニアが問題点を突き止めることは重要です。
しかし、効率的な修復とは、免疫機能のように何も意識せずとも自動で回復してもらうことです。
システムの修復をAIによって自動化させることができれば、エンジニアを含めた人間の関与を極力減らすことができます。

24時間体制で人間がシステムを管理するのは難しいですが、それを自動で行うことができるのであれば、コストパフォーマンスとしては申し分ありません。
AI拡張型テストが、「自動実行」であるのに対して、「自動修復」は自己再生に特化した要素です。

サイト・リライアビリティ・エンジニアリング(SRE)

システムの管理者が手動で行っていた内容を自動化するという考え方です。
この考え方はDX推進によってシステムを導入するユーザー企業も知っておく必要があるものです。
自分たちが運用するべき範囲をできるだけコア業務に絞り切ることで通常サービスの品質向上と業務効率を高めることにつながるからです。

SREはGoogleがもちはじめた考え方で、先ほど紹介した「AI拡張型テスト」や「自動修復」の考え方も含まれます。

ソフトウェア・サプライチェーン・セキュリティ

ソフトウェアに対する攻撃に備えるセキュリティです。
ソフトウェアシステムは互いに密接につながっており、その関係を破壊しようとする悪意ある攻撃から守ることをいいます。
ここでは、外部からの攻撃に備えるためのセキュリティ対策であるという理解で十分です。

DX推進においてデジタル免疫が重要になる3つの理由

DXを推進することによって、社内での業務がデジタルツールと一体化して進んでいくことは珍しくありません。
だからこそ、デジタルツールや、それを導入したシステムに対しての外部からの攻撃、システム異常に対してのリスクヘッジの必要があるわけですが、デジタル免疫が必要になる理由はそれだけではありません。
ここでは、デジタル免疫が必要になる3つの理由についてまとめています。

DX推進の課題(人材不足)が解決できるから

DX推進を目標としても、実際には思うように進んでいないという企業も多くあります。
その理由の一つには、DX人材がいないというものです。
●システムを導入するにしても運用の仕方が分からない
●どのようなシステムを運用すればいいのか分からない
●システム障害が起きた際の代案や対応方法が分からない
など、コア業務とは違ったところで豊富な知識が求められるので、社内でDX人材を育成するというのは難しい場合もあります。

システムの運用数が多くなり複雑になればなるほどDX人材も多く必要になるのが普通です。
社会問題にもなっている少子高齢化の影響もあり、労働人口の確保が難しくなっていることも逆風となり、どの企業にとってもDX人材は貴重な人材となっています。

デジタル免疫機能を備えたシステムであれば、コア業務への運用方法に集中することができ、そのシステム管理にユーザー企業から管理責任者を選ぶ必要もなければ、システム開発をしたベンダー企業も一度開発したシステムの管理・監督が最小限で済むというメリットがあります。

※DX人材育成を自社で考えたい場合には以下の記事も参考にしてください。
「DXに必要な人材はどうする?DX人材育成とリスキリングの重要性」

DX推進の目的(顧客満足度の向上)が達成できるから

DX推進の目的は単に業務をデジタル化することとは異なります。
DXでは、優良な顧客体験(UX/CX)を通して顧客満足度の向上を目的としています。
これを実現させることによって、企業は市場での競争優位性が保たれ、利潤を生みだし、活動が維持できるという流れを理想としています。

その顧客体験の向上に使われるはずのデジタルシステムの不具合によって優良な顧客体験が損なわれてしまった場合、どうなるでしょうか。
満足度の向上どころから、不満をもらう結果になることでしょう。

導入しているデジタルシステムの安全性も顧客への宣伝につながることがあります。
安全と信頼は企業の顧客満足の基盤です。
利便性と安全性を両立させたシステムの導入・構築が顧客への満足度を大きく向上させる鍵になることは間違いありません。

DX推進の目的(レガシーシステムからの脱却)が達成できるから

何度かふれているレガシーシステムからの脱却を求めるうえで必要になるのがデジタル免疫の考え方になります。

レガシーシステムとは、システムを導入してから長い年月が経ち、そのシステム構造がベンダー企業ですら把握できない状態になっているシステムの総称です。
数々のシステムがサポートを終了していることをみても、この問題が如実に表れていることが分かります。

古いシステムを使い続けることは、使用している企業にとってもシステム改修費などの維持費が重くのしかかり、これらは生産力の向上には大きく寄与しないため、経済損失につながることが懸念されています。

今では、クラウドソフトウェアでのデータの管理・運用が主流になっていますが、こちらはシステムの自動アップデート機能が備わっているものも多くい、まさしくデジタル免疫の考え方に即したものになっていると言えます。

「新しいシステムを導入して何かをするつもりがない」という消極的な考えからDXを推進しないというのはリスクです。
何もしなくても発生する費用の存在を忘れてはいけません。

デジタル免疫はレガシーシステムからの脱却の後押しになるものです。

デジタル免疫システムの具体例

デジタル免疫システムが実際にどのようなものであるか具体例を交えて紹介します。

AIが自動劣化を修復する技術

生体内の免疫機能は万能ではなく、長い時間を経て、いずれは衰えていくものです。
デジタル免疫も例外ではありません。

人工知能によって自動化して最適化したセキュリティ問題やアップデート機能なども、使用していくにつれてその精度は劣化していきます。
この精度劣化を最小限にとどめるための研究が国内でも行われており、民間の企業が精度劣化プロセスを発見して、その劣化を自動で修復するプログラムを開発しました。

免疫の劣化を自動で検知して自己修復できるということは人の手の介在が不要で半永久的にシステムが機能し続けることを意味します。
システム改修やメンテナンスの手間かかりません。

サイバー攻撃に自立対処する自己学習型AI

海外に拠点をおく、ある企業では、サイバー攻撃に自立対処する自己学習型AIを開発しました。
マンパワーに頼らないシステム開発によって世界で初めてAIをサイバーセキュリティ対策に応用した企業として注目を集めています。

AIが自己のネットワークの正常状態を認識し、異常を感知した場合には元に戻そうと働くこのシステムはまさに生体内の自己免疫システムの応用と言えるでしょう。

まとめ:デジタル免疫が備わったシステムを導入しよう

DX推進のために必要なデジタルツールを導入する際に注目するポイントは何でしょうか。
●利便性はどうか
●自社の負担は増えないか
●コストはどうか
●顧客への満足度向上につながるか
●セキュリティには問題がないか
など、様々な検討材料があります。

今回は、セキュリティの側面からデジタル免疫を例にして紹介しました。
セキュリティ問題は対策をしても企業の利益に直接貢献しないように思われるため、軽視しがちな項目です。
しかし、万が一のリスクが現実のものになり、顧客へ損害を与えた時の信頼損失による遺失売上が計り知れないものになる可能性もあります。

セキュリティ面を重視したデジタルツールの導入を考える時にデジタル免疫を軸としたセキュリティの考え方をしてみてください。

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