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DXを始めるならワークフローから!中小企業のワークフローDXを解説

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の重要性が説かれるようになってから時間も経過し、その取り組みが少しずつ広がっています。

DXとは、語弊を恐れずに言うならば、いわゆるIT化に近いことであり、IT開発関連企業を筆頭に業務を効率化し、その収益性を高めることに始まりました。
そして、その後を追うように大企業を中心に事業の効率化や規模の拡大を視野に入れて取り組みをスタートさせています。

今では、「DX人材がうちの会社にいないから無理」と言ったり、「今まで通りのやり方でも問題なさそう」と言ったりなど、「できない」理由を探している状況ではなくなりつつあります。

DXの重要度を理解し始めた企業に訪れる次の試練は、「どのようにDXを進めていくべきなのか」ということになると思います。

そこで、今回はDXへの取り組みを始めるなら、「ワークフローシステム」からであるべき理由と、その取り組みの手順について書きました。

目次

そもそもDXとは何?

DXとは、将来の成長・企業の市場における競争優位性の確保のために、新しいデジタル技術を活用して新しいサービスを顧客に提供しながらビジネスモデルを創出・変革させていくことを言います。

単に、ITツールを導入して完結する取り組みではなく、企業が生き残るために変革をし続けていくということがポイントです。

社内に残っている既存のシステムはすでに幾度となくメンテナンスを繰り返すことによって、ベンダー企業(システム開発企業)の社員にもその構造が分からずにブラックボックス化されているものもあります。

今後、担当者が退職した後には、メンテナンスを行える人材が少なくなり、システムを維持していくだけでも莫大なコストがかかることが予想されています。
この経済損失規模は年間で12兆円にまでになると経済産業省は警鐘を鳴らしており、国の経済にとっても企業の収益性にとっても不利になると考えられているのです。
DXが必要と言われている背景について、詳しく知りたいという方は以下のリンク先の記事も参考にしてください。

「DXとは何?デジタル化の先にあるDXを詳しく解説」

DXへの3ステップ

DXに向かう多くの企業が踏むDXへの3つのステップ
◆デジタイゼーション
◆デジタライゼーション
◆デジタル・トランスフォーメーション(DX)
について、その概要を解説します。

デジタイゼーション

業務を抜本的に変えるのではなく、管理ツールや使用していたツールを変えていく段階がデジタイゼーションです。

紙媒体など、アナログで管理していたものをデータで管理することでペーパーレス化を図ったり、クラウドツールの導入によってリストをクラウド上で管理したりすることが含まれます。

「市場での競争優位の立場をとる」というのは抽象的でまだ難しいと感じていても、一つ一つの社内業務のデジタル化なら取り組みやすいのではないでしょうか。

デジタライゼーション

個々の業務をデジタル化したら、それらの業務をある程度まとめたデジタル化を視野に入れていきます。
この段階がデジタライゼーションです。

データをばらばらに管理するのではなく、部門・部署ごとにまとめて管理する仕組みを整えることや、部門や部署をまたいで一つのデータを組織全体で素早く共有できる仕組みを整えることをしていきます。

従来の業務のやり方を抜本的に変えていかなくてはならないことも出てきますが、導入したツールのメリットを最大限活かすことができると思われます。
業務のスマート化を実感できればデジタライゼーションは成功したと言えるでしょう。

DX:デジタル・トランスフォーメーション

業務のデジタル化だけでなく、ビジネスモデルのデジタル化を目指していく段階です。
提供するサービスもデジタルツールを中心に考え、内容を変えていきます。

コンビニ各社の商品の配置・新店舗出店には、
膨大なデータによる裏付けがあります。
・いつ
・どのような立地の場所で
・どのような商品が
・どの時間帯に
売れるのか、これらのデータを分析した結果、「あの場所に」「あの商品」を並べたコンビニが出来上がります。

これは一種のDXのモデルケースですが、このように、提供するサービスの裏側にもデジタルツールの存在があることを忘れてはいけません。

ビジネスモデル、サービスの提供にデジタルツールが大きく関わるのがDXです。

また、DXは「デジタル変革」であり、その段階での最適解がいつまでも続くとは限らないことにも注意が必要です。

業務の効率化であれば、ある程度長く続きますが、ビジネスモデルは時代のトレンドとともに変化していくことを前提にしておかなくてはいけません。
その時々に相応しいツールの導入も必要になるかもしれません。

DXを始めるならワークフローシステムから

DXまでの大きな流れを紹介しました。
いきなりビジネスモデルの変革に着手することは困難を極めます。
まずはデジタイゼーション~デジタライゼーションに分類されるワークフローシステムからDXへのスタートを切れるといいでしょう。

ワークフローとは?

ワークは「仕事」、フローは「流れ」を意味する英語で、ワークフローで「仕事や業務の流れ」を意味します。

「ワークフロー」は仕事の一連の流れを表わす用語です。
業務A → 業務B → 業務C ・・・・
というように、一つの仕事が終わると、次の担当者に仕事が引き継がれていくようなイメージです。

途中で仕事が滞ってしまった場合には、それ以降の仕事を担当する予定であった人に影響を与えてしまうことに注意しなくてはいけません。
特に、社内での申請書の承認問題がよく注目され、
申請書を作成 → 上司の承認 → さらに上級職の人の捺印・承認 →
担当部署へ提出

の流れは非効率であるという声が多いです。
このようなワークフローの改善ツールがワークフローシステムになります。

ワークフローシステムを導入すべき理由

ワークフローの改善に効果が期待できるワークフローシステム。
導入すべき理由を以下の順で紹介していきます。
・ペーパーレス促進
・申請から承認までの時間短縮・コスト削減
・申請状態の可視化
・リモートワーク推進に貢献
・結果のフィードバックが蓄積可能

ペーパーレス促進

紙ベースで決裁権限を持つ人に依頼しなくてはならなかった業務をデジタル化することによってペーパーレス促進につながります。

紙での保管でスペースの確保に困っていても、データでの管理であれば保管場所に困ることもありません。

申請から承認までの時間短縮・コスト削減

書類で備品購入や企画申請を行う場合、承認権限がある担当者が近くにいれば、時間やコストのことをあまり深く考えないかもしれません。

しかし、部署が離れていたり、同じオフィスにいなかったりする場合には書類を郵送することもあり得ます。
デジタルツールが発達した現代においても、書類を郵送する文化が残っている企業も少なくありません。

また、自社サーバーを構築しデータでの保管もしながら、やはり紙での保管も並走して行っているという声もよく聞きます。

一度の郵送で承認されればいいのですが、棄却され再考が必要な場合の郵送のやり取りはやはり時間的にも費用的にも大きなコストになります。
捺印・承認をもらうことが仕事の時間の大部分を占めているということにならないように注意しましょう。

申請状態の可視化

申請状態の可視化は、
・不正防止
・業務効率上の課題の発見
にもつながります。

ワークフローシステムを導入すると、申請状態が可視化されます。
これによって、紙ベースの書類で起きやすい不正な申請・承認に対する抑止力が期待できます。

また、申請後の流れで業務を停滞させている問題点がどこにあるのかも明確になります。
意思決定に時間がかかっているのか、単純に承認するだけのことに時間がかかっているのかが明るみに出ることになります。

リモートワーク推進に貢献

リモートワークが推進される中、書類への捺印をもらうため、申請業務をするため、経費の精算をするためだけに出社しなくてはならない人たちもいました。

ワークフローシステムを導入することで、クラウド上でこれらの業務を行うことが可能になり、リモートワークのさらなる推進が期待できます。

結果のフィードバックが蓄積可能

ワークフローシステムには、その流れそのものをデータとして蓄積することができるという利点があります。

フィードバックを蓄積していくことで、意思決定の基準がぶれにくくなります。
ある申請が棄却された場合、申請する側には申請が棄却された理由が分かるため、次回以降の申請に活かすことができます。
承認する側は、何を基準に棄却したのかが分かるため、次回以降の判断に迷うことが少なくなります。

「流れ」が可視化され、そのやりとりが蓄積されることで未来の申請にかかる時間や意思決定にかかる時間を短縮することができます。

DXを始めるならワークフローシステムの導入からである理由

ワークフローシステムを導入するべき理由について紹介しましたが、DXに取り組むにあたって、どうしてワークフローシステムの導入からが望ましいのでしょうか。

部分最適化ができる

ワークフローシステムの導入は部署ごとに行うことができます。
組織全体の意思決定を待つ必要はなく、まずは部署・部門内のことを優先して考えて実行することで、その効果が実感できます。

部署・部門内で最適化をしてから組織全体に広げていくことでリスクを抑えながらの展開が可能です。

小さく始めればすぐに戻れる

デジタルツールを活用したビジネスモデルの変革は高額な初期投資が必要であったり、デジタル人材の確保や育成であったり、いくつもの障壁があります。

それと比較して、ワークフローシステムの導入にはほとんどリスクがありません。
小さく始めて、自分たちに合わないツールであれば元の方法に戻すこともできます。
部署・部門単位で始めれば、組織全体への影響も少ないと言えるでしょう。

ワークフローシステムの導入は少しずつし進めていくことが重要です。

ワークフローシステムのデメリット

ワークフローシステムには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。
ここでは、ワークフローシステムのデメリットについて解説していきます。

新しいツールに適合できない従業員の可能性

ツールに限らず、新しい方法へ変わると、従来の方法がやりやすかったと話す従業員は必ずいます。

そうした従業員が自己判断で業務の方法をツール導入前の従来のやり方に戻してしまう可能性があります。

ツールの使い方をレクチャーすることは大事ですが、どうしてこのようなシステムに切り替えたのか、その本質を伝えることが重要です。

ツールの導入による適切な効果測定をするために、不慣れなことがあったとしても、しばらくは新しい仕組みで業務を継続していく必要があります。

システム連携ができないツールを導入してしまう可能性

部署ごとにワークフローシステムを導入しても、部署間でお互いのシステムを連携させた方が、都合がいいこともあります。

それぞれが独自にデータの管理を行っている場合には、そのデータの受け渡し方法(CSVファイルによる共有など)がスムーズに行われるかどうかを確認しておく必要があります。

すでに組織内で活用しているシステムツールがある場合には、そのツールとこれから導入するツールとの連携がどうなるかを考えておくことも大切です。
導入した後にシステム間で連携がとれないことに気が付くケースも少なくありません。

ユースケースがベンダー企業目線になっている可能性

ユーザービリティに関わる問題ですが、ツールの使用方法がベンダー企業目線で作成されていることがあります。

導入時にベンダー企業が従業員へのツールの使い方などをレクチャーしてくれるところがほとんどですが、導入後どのようなイメージで使用したいのか、何を目的としてツールの導入を検討しているのかを伝えなくては広く一般的なレクチャーで終わってしまいます。

ユースケースを自社目線にしてもらうためにも、ケーススタディを細かくベンダー企業に要求する姿勢が求められます。

ツールの融通が利かない可能性

ワークフローシステムには、融通が利かないものも存在します。
・決済の承認ルートを複数登録することができない
・モバイル機器との連携がとれない
など、これらは業務を効率化しようと思って導入した目的を成し遂げてくれるものではありません。

活用するシステムにもよりますが、期待以上の効率化が得られないケースがあるというのはデメリットになり得ます。

社内でのワークフローDXの大きな流れ

社内でワークフローシステムを導入し、DXへの第一歩を踏み出すための大きな流れを紹介します。

「自社サーバー」から「クラウド化」

サーバーのサポートが次々と終了している昨今において、自社サーバーを持ち続けると言うことはそれだけでリスクになります。
機能面や長期的な運用コストの面を考えてもプラスになる要素は見当たりません。
自社サーバーを保有して、それを中心にシステムを構築している場合には、まずはクラウド化することを検討しましょう。

システムは「統一」ではなく「統合」

業務の内容や部署によって導入するツールも異なれば、それぞれのベンダー企業でも異なるのが普通です。
すると、社内に多くの業務フローができあがってしまい、データの管理もバラバラになるという問題が生じます。

あるデータはクラウド上に管理され、また別のデータはソフトウェアパッケージを使って管理しているなど、煩雑化していきます。

クラウドならクラウドに統一するべきかという疑問もありますが、システムを統一する必要はありません。
ただし、それぞれのデータが一か所に集められるプラットフォームを設けておくことは効果的です。

ワークフローシステムの導入時には共通のプラットフォームに情報が集められるようなツールの選択も重要であり、各システムによって集められたデータを統合する場を設けることを考えてみましょう。

データ処理・蓄積は「プロセス」ではなく「活用」

データを蓄積することは重要です。
社内に蓄積されたデータは、企業活動を続けるにあたっての羅針盤になります。

しかし、そのようなデータも活用できなければ意味がありません。
DXで最も難易度の高いステージがデータドリブン経営(膨大なデータ・数値を基にして経営を行うこと)になります。

どのように「活用」するかを意識したツール選定を視野に入れることも大切です。

中小企業のワークフローDXへの5つの手順

中小企業が最初に取り組むべきワークフローDXをさらに細かく5つの手順に分けて解説しています。
具体的なシステムの導入の前に参考にしてください。

手順①:組織内の業務の流れを確認

普段は意識しないで進めることができる業務かもしれませんが、ツール導入前にはどのような流れで仕事が進んでいくのか客観視してみましょう。
仕事の流れを確認することで、効率化できるとこをピックアップしていきましょう。

手順②:問題点の優先順位をつける

複数の問題点があっても、一度にすべてを解決しようとするのではなく、優先順位をつけていきます。
優先順位をつける際のポイントはテーマを決めておくことです。
・コスト削減重視
・作業効率重視
など、軸がぶれないように解決の優先順位を立てましょう。

手順③:DX人材の確保と育成

ツール導入後の運用を行うにあたって、社内で運用の責任者を決めることは効果的です。
DX人材を確保したら、他の従業員への教育も行っていくといいでしょう。

マインド面と技術面の双方から育成をすることによって、社内での業務の変革に違和感や抵抗感をなくしておきましょう。
DX人材を社内で確保することが難しい場合には、ベンダー企業に従業員への指導をお願いすることも選択肢の一つです。

手順④:最適なツールの導入と運用

問題解決に必要な最適なツールを選定し、導入します。
導入後に、何をもって成功とするのかを明確にしておきましょう。

手順⑤:導入前後で効果測定

実際に導入したツールを用いての効果測定を行います。
効果測定は期間をある程度の長さで設けることが重要です。

どうしても自社にマッチしていないと思われる場合でも、一定期間の試行錯誤が大切です。
導入前に決めた、何が成し遂げられれば成功と言えるのか、成功定義と比較してPDCAサイクルを回します。

まとめ:ワークフローシステムから広げるDX

ワークフローシステムは、単純なIT化と同じように考えられるかもしれません。
しかし、業務フローを自動化したり、数値を一か所に集め管理したり活用することはDXに通ずるところがあります。

本格的なDXを目指す前に、ワークフローシステムなど身近な業務モデルの変革から始めることが推奨されます。

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