人手不足は災いのもと!従業員と顧客を引き寄せる経営
「人手不足経営は悪循環の開始」
「独立起業家が経営で意識するべきこと」
「経営の本質に迫る」
昨今話題になっている人手不足倒産。
仕事に就くことが難しい人が増えていると言われる側面もあり、一見矛盾しているようにも思われますが、そこには明確な理由がありました。
人手不足は人手だけの問題ではなく、会社の経営の本質に関わる問題である可能性もあります。
表面に現れている問題だけを見ていると、本当に解決しなくてはいけない問題を見落としてしまうかもしれません。
人手不足から始まる悪循環から、経営の本質についても考えていきます。
目次
人手不足経営は悪循環の開始
どの会社でも優秀な人を採用したいという思いは強いでしょう。
「初心者歓迎」の名目で応募者を募っている企業もありますが、本心では、誰でもいいから来てほしいとは思っていません。
ともに会社を支えるスタッフになる以上、有能な人に来てほしいと思っているのが真実です。
しかし、中には、「初心者歓迎」と謳っていながらも、経験者どころか、初心者からの候補すら集まらない場合もあります。
人手不足経営が引き起こす問題
人手不足が極端に生じている業界は、「介護業界」「飲食店などのサービス業界」「医療業界」「運送業界」「建設業界」です。
人手不足の原因は、少子高齢化、新型コロナウィルスによってもたらされた社会情勢の変化、働き方における仕組み上のニューノーマルへの対応ができていない経営体質など様々ですが、引き起こされる問題は共通します。
◆事業規模を縮小し、抱えている顧客を手放す
提供できるサービスが人手不足によって引き起こされている場合には、事業規模を小さくすることは必然です。
サービス・商品を提供できないのに、お客様が来ることはありません。
人的リソースを確保したからといっても、それに応じてお客様が集まるわけではありませんが、人的リソースがなければお客様を手放すことになることは間違いありません。
結果的に、会社や事業規模が縮小することになります。
◆従業員が育たない
人手不足が生じ、本当に誰でもいいから来てほしいと窮地に陥ってから従業員を雇用したとします。
そのような状況で採用した人に、丁寧な研修を施すのは無理があります。
そして、仕事の内容を丁寧に教えてくれる人がいなければ、従業員の不満もたまります。最後には従業員が退職をするという流れが出来上がるのです。
せっかく採用しても、従業員が辞めてしまえば、人は確保できないうえにコストはかかる最悪の事態で、会社にとって何一つ得がありません。
無理な採用は従業員が育たない状態をつくってしまいかねないのです。
◆会社との相性が合わない従業員
無理な採用をすると、特に興味がなくても仕事欲しさにとりあえず就職をしようと考える人も応募してきます。
ある程度の興味をもっていてくれればよいかもしれませんが、まったく興味のない仕事は長続きしないものです。
会社と従業員の相性も大切にしていきたいです。
従業員が遠ざかれば顧客も遠ざかる
従業員が離れていった会社には顧客も寄ってきません。
人を集めない会社には、人を集めない会社の空気が流れてしまいます。
根性論に近いように感じるかもしれませんが、人は活気のあるところに集まります。
小さなお店で、人が少ないところよりも、大きなお店で人が多く集まっているところに人は自然と集まってきます。
しかし、どちらのお店も提供している商品・サービスにはそこまで大きな差はありません。
人が集まりたくなるような雰囲気の演出を外に発信していくことも重要です。
人手不足になっているのは、自分たちが放っている雰囲気が原因である可能性も考えるべきなのです。
採用側の問題と応募者側の問題を分ける
人が集まらないことの根本的な原因は会社や社会情勢の問題である部分もあれば、応募者側の問題である場合もあります。
採用側の問題は、
・お店の情報発信不足
・そこで働きたいと思える雰囲気を感じない
・従業員どうしが不仲である
・時給が業務量に見合っていない
などです。
これらに当てはまっている箇所があるのであれば、企業側がすぐに行動に移すことで解決できるかもしれません。
しかし、中には会社には問題がない場合もあります。
例えば、
・会社には問題なく、責任感のない従業員がすぐに辞める
・時給や業務に関する要望が高すぎる
・冷やかしの採用を希望する応募者がいる
などがあります。
これらの問題に正面から解決を図ろうとすれば、余計な体力の消耗につながります。
内的要因か外的要因かを分析していくことが効率の良い問題解決の第一段階です。
独立起業家が経営で意識するべきこと
会社に長く勤めて、実績も個人で出てくると、独立を考える人がいます。
その分野で必要とされるスキルも高く、自分で売上をつくれると確信をもった人が多い印象です。
しかし、会社の中で業務として仕事をしていたときと、実際に独立して事業を起こす際に必要になる経営のスキルは別物です。
会社から独立した人がやってしまいがちな経営者が陥りやすいことを見ていきます。
トップダウン型は時代遅れ
自分で会社を作るとなれば、プライドも出てきます。
自分が会社の社長となるわけですから、雇われる側から雇う側へとポジションも変わります。
それゆえ、誰かと一緒に仕事をするときには上下関係を絶えず意識するオーナーもいます。自分の立場が上であるから、あらゆる決定においても自分の価値基準が正しいはずという思い込みで失敗する独立起業家は残念ながらたくさんいます。
トップダウン型の経営はもはや時代遅れで、分野ごとに優秀な人の意見・考え方を取り入れるようにしていくことが求められています。
「商売」するという意識
従業員に関する上下関係の意識が高すぎると、お客様やクライアントに対しても上下関係を出してしまう人もいます。
本来、対等な関係を築かなくてはいけないはずの相手にも上下関係を持ち込んでしまうと、上手くいきません。
独立する前は会社が抱えていた固定客を従業員として割り当てられていたにすぎませんが、自分で独立するとなれば自分で固定客を取りにいく姿勢が必要です。
顧客があって初めて商売が成立するという意識が欠けていると成功するのは難しくなります。
高い技術はお客様がいてこその技術です。
「三方よし」の観点を忘れない
ビジネス・商売をするときには三つの観点を忘れないということが大切であると言われます。
それが「三方よし」という考え方です。
・売り手よし
・買い手よし
・世間よし
の三つになります。
商売をするときには自分たちの生活をかけていますから、自分たち中心にいろいろなことを考えがちです。
「売り手よし」はできていても、相手のことを考えていない場合は失敗します。
買い手であるお客様が何を望むのか、そのニーズに的確に応えることが「商売繁盛」となるかどうかにかかってきます。
最後に世間のことも気にする必要があります。
周囲から見て自分たちがどのように見られているのかを意識することは将来のお客様の目を気にしているのと同じことだからです。
この三者すべてが「よい」と思えるビジネスモデルの構築が成功への秘訣と言えます。
経営の本質に迫る
経営は言葉をつくしてもつくしきれない複雑なものです。
いろいろな会社の社長が独自の経営哲学を持っています。
今回は、そのような経営哲学の中からいくつかをピックアップし、その内容を紹介していきます。
仕事は責任で、経営は信念でするもの
経営者自らが最前線で仕事をするべきという方もいますが、事業規模が拡大すればするほど、現場で自分が業務をすることも、現場で指揮を執ることも難しくなります。
経営者の仕事は仕組みづくりと、そこに馳せる思いを会社の隅々まで浸透させることです。
少しぐらいの反発で経営理念を曲げるようなことではいけません。
業務を割り振られた従業員は責任をもって仕事を行うべきですが、経営者の仕事は責任を持つことではなく、信念を持つこととも言われます。
従業員には責任と感謝・称賛を与える
従業員を「駒」のようにしか考えない経営者もいます。
しかし、真に成功している経営者は、「人」の動かし方を理解しています。
従業員には仕事を与えると同時に責任も与えます。
その仕事に関する評価は、その従業員のものになるように称賛も与えます。
立場上は経営者が従業員よりも高いというのは暗黙の了解ですが、経営者は自分ができない仕事を従業員に任せている認識を持つべきです。
一人ですべてが完結するビジネスはごく稀です。
必ずそこには、後にも先にも何らかの協力があります。
それは立場や役職を超えたものであり、人として大切なものでもあります。
「人」を動かすことが上手な経営者は感謝や称賛をもって人が動くことをよく理解しているのです。
徹底的な成果主義
「頑張ってくれたからいい」というような楽観的な考えを経営者はしません。
ビジネスは数字がすべてです。
数字を超えた先に数字ではない重要なものも見えてきますが、「数字にこだわれない状態」から「数字を見なくていい」とするのは経営者としては失敗する可能性の方が高くなります。
徹底的に成果にこだわることが経営方針を決める上で重要になります。
「仕事はプロセスではなく、結果で評価する」が敏腕経営者の統一の見解です。
まとめ:経営の本質は「徹底的にやる」
会社経営には信念が必要です。
多少の逆風で揺れるような信念では経営はできません。
経営者の理念に共感してくれる従業員やお客様だけではないにしても、経営者がその信念を揺らしてしまっては、サービスの質や、そのビジネスの存在も揺れてしまいます。
確固たる信念で支えるというエネルギーが経営には必要です。
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