熾烈な競争を生き残るには?美容師に学ぶフリーランスの道
「美容室店舗の特徴とメリット・デメリット」
「労働者としての美容師が求める求人条件」
「キャリア形成から考える美容師の目標」
どの業界であっても競合他社は存在します。
ブルーオーシャンと呼ばれる業界もありますが、実業であれば、ある程度の競争は避けて通れません。
特に美容業界の競争は年々激化しており、その競争は激しさを増します。
顧客獲得に加えて求人難にも陥っている業界でもあり、人手不足倒産する美容室まであるほどの厳しさです。
しかし、これは美容業界に限った話ではありません。
人手不足や市場での優位性を考えるのはどの企業も同じことです。
今回は美容業界を例に、激化する競争を生き残る上での方法を考えていきます。
目次
美容室店舗の特徴
同じ業界だからと言って、自社以外の全ての会社が競争相手になるとは限りません。
美容業界であれば、どの年齢層にターゲットを絞って運営していくのかによって、求められる技術にも違いが出てきます。
幅広くサービスを提供して、万人受けを狙っていくことも方法の一つですが、分野を絞れば絞るほど、その層の顧客には響きやすくなるかもしれません。
いわゆるニッチ商法と呼ばれているものです。
美容室にも様々な種類があり、その種類に応じて来店する客層も変わっていきます。
将来の独立やフリーランスとして活躍したいと考える方は、美容室の店舗の種類から調べておくことがいいでしょう。
大規模型美容院の特徴
従業員数が10人以上となっている美容室は法人化されているケースが多いです。
組織になって、チームの強みを活かす経営をしていきます。
経営者は美容師のマネジメント力など、身に付けるべきスキルは美容師のスキルだけではなくなります。
会社としての業績もよくなれば、チェーン店として全国に店舗を広げていくこともできます。
サービスに関する技術力は高くても、価格はそれほど高くなく、顧客からの好評もあり、市場での競争力がある状態を比較的維持しやすいです。
中規模型美容院の特徴
中規模型の店舗の美容師は5名~10名弱と言われています。
今後の事業展開として、規模を縮小していくのか、拡大させていくのかの分岐点にもなります。
売り上げ規模に対して単純に店舗数を増やして雇用も増やせば経営もひっ迫する少し難しいラインです。
顧客数によってはスタッフ間でも仕事の多寡に偏りが出ることもあり、給与体系に歩合制を採用している美容室もあります。
歩合制を採用している場合には、単純にお客様からの指名の数が多い分だけ収入も増加しますが、指名が取れないスタッフもでてきます。
従業員としては、歩合制はリスクが高く、求人でも人が集まらないケースも多いようです。
経営側は人件費のコントロールがしやすいのですが、美容師が離れていくリスクもあります。
個人経営の場合もありますし、法人化している場合もあります。
小規模型美容院の特徴
個人経営の美容サロンになります。
人件費も賃料も中型店舗や大規模店舗に比べれば比較的安く済みますが、固定客がどの程度いるのかが問題になります。
固定客が要る場合には安定した収益が見込めますが、固定客がいないとなった場合には安定した収益は見込めません。
宣伝・広告費を大きくかけることができないため、口コミや紹介による集客がメインとなります。
従業員を雇っているところもあれば、雇っていないところもあり、家族経営としている美容サロンも小規模美容院に属することが多いです。
労働者としての美容師が求める求人条件
美容師も労働者ですから、求人条件は気にします。
一般的な就職活動をする人たちが気にするところと条件はほとんど同じですが、美容業界は個人経営のところも多く、社会保険などの仕組みを理解していない経営者も一定数います。
労働者が求める就労条件を見ていきます。
週休2日・一日8時間労働
一般的な求人条件として外せない方もいるかもしれませんが、週休2日制の会社ばかりではありません。
まして、美容業界は常に人手不足になっている美容室も多く、週休2日という条件で募集をしていた場合でも、実質は週休1日になってしまうこともあり得ます。
一日の労働時間についても原則8時間ではありながらも、始業前の準備や終業後の後片付けやミーティングなど、これに技術研修などを同じ日に行うとなると、10時間では収まらないケースも出てきます。
一日中立ったままの仕事であり、過酷な労働環境・労働条件であることも重なって、離職率も比較的高い業界なのです。
時給と歩合
時給と歩合制の確認も必要です。
給与を時給計算で支払ってくれる場合には、安定した収入の目途が立ちますが、歩合制の場合には安定するかどうかは分かりません。
同じ美容室で勤務していても、指名を多く集められる美容師とあまり指名を取ることができない美容師とで極端に分かれているケースも珍しくありません。
美容師がお客様の指名をとれるかどうかは、美容師としての技術だけでなく、コミュニケーションスキルをはじめとする対人スキルが大きく影響します。
結果が求められるシビアな給与体系ですが、指名を多く集めることができれば、独立の方向性も見えてくるかもしれません。
ただ、美容師から人気を集めているのは時給タイプの労働のようです。
各種保険制度
もっとも注意しなくてはいけないのが各種保険制度です。
保険で確認しておきたいのは以下の4つです。
- 雇用保険
- 健康保険
- 労災保険
- 厚生年金
雇用保険は失職したときに、前職の給与から計算して失業時に給付を受けられる保険です。
健康保険は医療費の自費負担が3割になる保険で、国民全員に加入の義務が生じます。
会社で入っていないときには自分で国民健康保険に加入する必要があります。
労災保険は勤務中に起きた災害時に手当を受け取れるようにする保険です。
厚生年金は老後に給付される資金の蓄えとなるものです。
個人事業主が多い美容サロンですが、加入の義務があるものもあります。
福利厚生、保険の加入状況などもあわせて確認するようにしてください。
美容業界に限らず、雇用する側は、労働者に明確に説明ができる状態をつくらなくてはいけません。
キャリア形成から考える美容師の目標
美容師という職業で、接客に関わっていくのは楽しいことだと思います。
他の仕事であっても、現場最前線で仕事をしている方が生きがいを感じるという人もいるでしょう。
しかし、収入の面を考えると、生きがいだけを求めていくのが難しくなる場合もあります。
現場だけで仕事をするのではなく、裏方(経営側)に回りながら、現場にも出るという最低限両方できなくてはいけないときが訪れます。
キャリア形成を考えた時には、勤めていたサロンで経営側に回れる可能性もありますし、自分でサロンをつくってしまうという考え方もできます。
キャリアアップとキャリアチェンジ
美容師の仕事は大変です。
特に、40歳以上の体には負担と感じる方も多く、「美容業界では40歳が定年」とささやかれることもあります。
今まで現場で勤めていた美容師の方も、自分のキャリアについて冷静に考えるようになります。
同じサロンの経営サイドに回ることができる場合にはそのまま同じサロンに在籍してキャリアアップを目標としますが、それが期待できない場合には、同じ業種のネイルやメイクなどへ転職するキャリアチェンジも多いようです。
40歳という年齢を考えると転職の際には同じ業種の中で転職先を探した方が無難な場合が多いです。
美容師を志した時から、現場だけでの仕事に視野を狭くせずに、今後自分がどのようなキャリアを形成していきたいのかを考えておけるとよいのかもしれません。
店舗を持たないフリーランスという選択
独立をする場合に自分の店舗をもつのはリスクが高いです。
地代家賃という大きな固定費の支払いを回避するためには、大手のサロンの一角を自分の美容室用として借りられる場合があります。
自分の店舗を持つのではなく、すでにある美容室の一部のスペースを借り、そこでフリーランスとして今まで通りの経験を活かすことができます。
スペースを借りるときの費用は固定費になる場合もありますし、売上の何パーセントと割合で決められている場合もあります。
スペースを貸し出す側も、一人を雇うよりもコストがかからないというメリット、借りる側にも大きな固定費を回避することができる上に、勤務時間、曜日を自由に決めることができるというメリットがあります。
同じ業種と隣り合わせになっているので、技術や接客面で他と比べても劣らないという場合にはお勧めですが、一般的にサロン内に個人スペースを借りる場合には、貸し出している側にお客さんを取られてしまうリスクも生じます。
リスク管理をしたキャリア形成が大切
自分のキャリアを考えると将来が不安と思う人たちはたくさんいます。
これから同じ会社でもキャリア形成が出来ないのではないかと思い、転職に踏み切る人もいます。
ただ、転職をすればキャリアアップが期待できるとは限りません。
会社によっては、能力評価ではなく、勤続年数に応じて役職が上がる場合もあります。
自分のキャリアを考える際に、個人の能力・資質を高めることはもちろんのこと、正当な評価を受けられる環境を選びながらもリスク管理はしておくべきでしょう。
まとめ:キャリアアップと独立
仕事を続けるとキャリアアップを考えるようになり、自分なりの仕事の流儀も出てくるかもしれません。
競争も激しくなる市場で、どのように生き残っていくかを考えなくてはならない時が迫っています。
美容業界だけでなく、個人としても会社としても未来を見据えた目標設定をしていかなくてはいけないようです。
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