あなたの会社はどっち?組織の保守と革新を調査
「企業風土を調査する」
「環境の変化から考える革新の必要性」
「小規模店舗のちょっとした革新」
会社によって、その企業風土は異なります。
自社の伝統とも言える考え方、習慣というものが一つはあるのではないでしょうか。
企業風土によって、今後のビジネスの展開も変わってくる場合があります。
革新を急ぐ企業では、仕事の仕方、サービスの提供形態が1年前とは全然違うということもよくある話です。
日本の企業は古くからある伝統を大切にする風習を持っているところが多いと思われます。
今回は、そんな日本の企業が「保守的だと思うか」、「革新的だと思うか」という実態調査結果も紹介しているので、ご自分の職場環境をイメージして照らし合わせてみてください。
目次
企業風土を調査する
日本企業はやはり保守的な企業が多いという回答割合が大きい結果になりました。
企業の年数ごとに調査結果をまとめたものによると、
創業から100年以上が経過している企業では、およそ半数弱が「保守的であると思う」と回答しています。
日経BPコンサルティングによる企業風土調査データによると、
- 創業から70年以上100年未満で32.9%
- 創業kら40年以上70年未満で34.0%
- 創業から20年以上40年未満で26.5%
- 創業から10年以上20年未満で23.2%
- 創業から5年以上10年未満で20.0%
- 創業から5年未満で21.7%
という結果になっていました。
長く続いた企業は保守の傾向
調査報告書の数値によると、長く続いた企業ほど、保守的であると感じている社員が多いことが分かります。
長年蓄積された方法が会社の経験値となっているのであれば、それを活かさない手はありません。
一方で、経営サイドが新しい考え方について行くことができていないという消極的な理由も考えられます。
保守的であることが悪いことではありませんが、その理由は大切です。
良いやり方を積極的に選択した結果、保守的になっている場合と、惰性で保守的になってしまっている場合があり、どちらのタイプかは知る必要がありそうです。
若手企業は革新の傾向
創業からまだ年数があまり経過していない若手企業では逆の傾向が見られます。
創業から長い年数を経た企業とは違い、会社の中に蓄えられた経験よりも個人の経験値の方が高い場合もあります。
どの方法が最もよい選択となるのかを積極的に試している期間と言えるでしょう。
良いやり方・仕組みが見つかり、そのやり方を継続すれば、徐々に保守的になっていく可能性もあり得ます。
大事なことは、闇雲に保守するのでも、革新に向けて動くのでもなく、会社の目的を達成するためにその方法を選べているかということです。
若い企業でも、老舗企業でも、信念をもちつつ、柔軟な環境の変化に耐えられるような仕組みを考えていくべきということです。
安定を求めるのは企業だけではない
安定を求めるのは企業・組織だけではありません。
個人でも同じことが言えます。
脳は、新しいことを習慣にしようとするときに恐怖を感じるようにできています。
新しいことに挑戦しようとするときに、期待を大きく抱ける人もいれば、不安が大きくなってしまう人もいます。
これは、ホルモンが関係していて、不安が先行してしまう人はセロトニンという物質の分泌量が不足していることに原因があると言われています。
ご存知の方も多いかもしれませんが、セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれています。
日本人は、遺伝的にも、セロトニンの分泌量が少ない民族であるため、不安を感じる人が多いのです。
新しいことに挑戦しようとしたときに期待を大きく抱ける人は、ドーパミンが多く分泌されています。
自己啓発本で習慣について言及している本は多くありますが、それは、セロトニンとドーパミン理論に基づく検証の結果が根拠にあります。
何か新しいことをやろうとするときに、「怖い」と感じるのは普通のことです。
個人の性格が問題というわけではありませんし、才能の多寡でもありません。
挑戦と革新の気持ちは大切にしながら、どのような選択がベストなのかを考えていくことが望ましいです。
環境の変化から考える革新の必要性
環境が変わって革新を迫られる場合もあります。
新型コロナウィルスの流行によってリモートワークを余儀なく導入したという会社も多いはずです。
一方で、この感染症の流行以前からリモートワークを推奨していた企業もあります。
技術の進歩によって、オフィスだけを仕事場にする必要はないという考えを持っていたのです。
ここにも、企業風土が表れます。
少し新しいことを試運転としてスタートさせた会社もあれば、それができなかった、やらなかった会社もあるはずです。
結果的にやってみたら、そこまで不都合はなかったという声も多かったです。
業種によっては難しい場合もありますが、「お試し」の感覚でやってみることが未来の業務体系を変えていくきっかけになるかもしれません。
会社の成長ステージの移行
どんなビジネスにもステージがあります。
その市場でのシェアをどの程度占められるのかを調べることも大切です。
自分たちのビジネスがプロダクトライフサイクルのどの段階のものなのかを把握し、それぞれに合わせた方法を考えることも必要ですし、会社の成長ステージも無視できません。
会社の成長ステージの移り変わりは概ね次のように区分されます。
①ビジネス立ち上げ期
会社を設立した段階になります。
社員の数も少ないのが普通です。
上層部の意思決定がそのまま結果に反映されます。
利益が上がるか上がらないか、会社が存続できるかできないかの全ての結果を経営サイドが握っていると言えます。
②成長期
売上や利益を順調に伸ばしていくことができるようになった段階です。
安定した売上を確保するために、方法の再現性を求める必要があります。
次世代のリーダーの育成も考え始めなくてはいけませんし、さらなる組織の拡大に向けて動き出すのもこのタイミングです。
③成熟期
売上・利益が低迷してくる段階です。
この段階になると、今までの方法が通用しないと感じるようにもなります。
改善や変革を迫られてくるステージですが、保守的な企業風土がこれを邪魔することもあります。
よい仕組みは残しつつも、さらなる発展のための方法を試す必要があります。
価値観をリセットし、ゼロベースで物事を考えていくことも大切かもしれません。
求められるリーダーの資質
成熟期に行き詰まらないようにするためにも、リーダーには次のような資質が必要です。
- 会社のビジョンが明確になっている
- 少し先の未来を予想することができる
- 仕事への熱意があり、部下へ伝播させることができる
- 古いやり方も新しいやり方も客観的な視点で分析できる
方向性を間違えることなく、最善の選択をするためには、先行きの不透明な未来を予想することが必要です。
成功の公式のようなものがあれば簡単ですが、残念ながら存在しません。
様々な統計、過去の経験を総動員して、ベストな選択をする力が求められています。
革新性とは「はみ出す」こと
革新と言うと、大きく物事を変化させる必要があるように感じるかもしれませんが、そうではありません。
革新性とは、少し「はみ出す」ことです。少しはみ出して、他とずれていることが革新です。
今日では、多くの良い商品を作り出しても、競合他社に簡単に真似されてしまいます。
設備投資できる資金の潤沢度に差はあっても、どの企業も専門にしている技術力には大きな差はないのが現状です。
技術で革新を目指すのは難しくなる一方で、販売方法を変えて成功を収めた企業が多くあります。
商品は真似されたとしても、販売の仕方、販売網を完全に真似することは難しいです。
少しだけ売り方を変えてみるというのも革新です。
他と少しずらすことを意識した革新を考えれば革新のハードルも下がるのではないでしょうか。
小規模店舗のちょっとした革新
小規模店舗の商品になると、その商品を大きく変えていくことは難しいです。
商店街の家電販売店をイメージしてください。
その商店街の近くには大型スーパーがあります。
お客さんの多くが大型店舗に行ってしまう中でお客さんを集客するためには何が必要なのかを考えなくてはいけません。
商品品質で競争することは難しくなります。
客足も、品質も、価格でも勝算がないとしたときに、やはり売り方を変えていくことが重要になります。
実際に商店街の家電販売店がとった行動の事例を紹介します。
オンリーワンサービスの発見
先ほどの商店街の家電販売店は、大型店舗との価格競争をあきらめ、価格を上げました。
驚かれるかもしれませんが、その代わりに、困ったときにすぐに修理ができるサポートを全面的に打ち出しました。
自分たちにできて、大型店舗にできないところを考え抜いたのです。
実際に、地元の人たちはそのサービスに魅力を感じ、支持される客層を増やすことに成功しました。
他の競合と何が違うのかを分析し、そこを追求していくことは革新への入り口になります。
革新の本質は商品よりも販売網
商品開発において革新を起こすことは容易ではありません。
さらに、その革新的なサービスが顧客にとって魅力的に映るかどうかはまた別の問題です。
一つの問題をクリアしてもすぐに別問題が浮上するが商品への革新でしょう。
革新は商品そのものに起こすというよりも商品を販売する方法、ターゲット層、在庫の仕入れ先などから手を付けていく方が画期的である場合が多いです。
それは、他の第三者の目の届きにくいところで革新を起こした方がそのノハウが長く続くからに他なりません。
特に、販売の仕方や販売の方法、販売網については、経営の神様とも称されていた松下幸之助氏も着目していました。
完全保守は衰退への第一歩
先の家電販売店の例で、もしも、商店街の店主が今まで通りのことをしていたらどうなっていたでしょうか。
このような事態に見舞われる商店街の人は多く、自主廃業の選択をしてしまう人たちもいます。
一方で年商にして億単位で稼いでいる人たちもいます。
同じことを同じようにやっていた方が良い場合もありますが、今回の例では、難しかったのではないでしょうか。
少しだけ視点を変えてみることによって新しい景色を見ながら打開策を考えていくことも重要なときがあります。
まとめ:保守と革新のバランスが大事
革新がいいというわけではありません。
保守にも保守のよいところがありますし、実際のところ、長く続いた企業で働く従業員の多くは会社のことを保守的なほうだと思うと言っています。
保守的だからこそ成功してきたとも考えられます。
上手くいっているときと上手くいっていないときの原因をはっきりさせ、正しい選択をすることが必要です。
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