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DX推進には補助金や助成金の活用を!DXと関連する補助金・助成金の種類と受給手順

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、ビジネスの世界で避けては通れない道となりました。
その実現のための投資は決して安価ではありませんが、DXの取り組みをサポートするために、様々な補助金や助成金が用意されています。

本記事では、DXに特化した補助金や助成金の種類を詳しく紹介し、その受給手順についても解説します。
これらの資金援助を活用することで、企業はデジタル化の途上における負担を軽減し、よりスムーズかつ効果的にDXを推進することが可能となります。

ビジネスのデジタル化に向けた第一歩として、これらの支援策をぜひご検討ください。

目次

DXとは?

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、デジタル技術を活用してビジネスプロセス、企業文化、市場環境などを根本的に変革し、新しいビジネスモデルを生み出すことを指します。

日本経済産業省のガイドラインには、DXを次のようなものと定めています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

これには、情報技術(IT)を使って業務の効率化やサービスの向上を図ることはもちろん、デジタルデータを基にした意思決定、顧客体験の向上、新たな価値創出などが含まれます。
DXは、企業が競争力を保ち、持続可能な成長を遂げるために不可欠な戦略とされています。

DXについての詳細、必要とされている背景については以下の記事も参考にしてください。
「DXとは何?デジタル化の先にあるDXを詳しく解説」

DX推進に不可欠な要素

2022年に改定された経済産業省が発表した
「デジタルガバナンス・コード2.0」
には、以下の要素がDX推進に必要であるとまとめられています。

① IT システムとビジネスを一体的に捉え、新たな価値創造に向けた戦略を描いていくこと
② デジタルの力を、効率化・省力化を目指したITによる既存ビジネスの改善にとどまらず、新たな収益につながる既存ビジネスの付加価値向上や新規デジタルビジネスの創出に振り向けること
③ ビジネスの持続性確保のため、IT システムについて技術的負債となることを防ぎ、計画的なパフォーマンス向上を図っていくこと
④ 必要な変革を行うため、IT 部門、DX 部門、事業部門、経営企画部門など組織横断的に取り組むこと

(出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0)

新たな価値創造に向けた戦略

DXは単に既存の業務をデジタル化することだけではなく、新しいビジネスモデルやサービスを生み出し、市場での競争優位を築くことが求められます。

このためには、市場のトレンドや顧客のニーズを深く理解し、それらを踏まえた革新的なアイデアを生み出すことが重要です。
また、デジタル技術の適用によって、どのように業務効率化を実現し、顧客体験を向上させるかを検討する必要があります。

ITリテラシーを備えたDX人材の育成

DX推進において中心的な役割を果たすのが、ITリテラシーを備えた人材の育成です。
DXは、単に技術の導入に留まらず、その技術を理解し、活用できる人材が不可欠です。
従来の業務知識に加えて、新しいデジタルツールやプラットフォームを効果的に使いこなす能力が求められます。

従業員に対する継続的な教育やトレーニングを提供することで、このようなDX人材を育成したり、社内でのワークショップやセミナーを通じて、デジタル技術の最新動向や応用方法について学んだりする機会を設けることも重要です。

DX人材を育成するという観点では、キャリアアップ助成金申請の検討もいいでしょう。
厚生労働省「キャリアアップ助成金(令和5年度版)」
→ https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001083208.pdf

データに基づく効果測定

DXの過程で、データは重要な資産となり、その収集・分析は事業の効果を正確に評価するために重要です。

データを活用して業務の成果を測定することで、DXの取り組みがどの程度効果を上げているかを客観的に判断することができます。
この分析は、プロジェクトの進行状況を理解し、必要に応じて戦略を調整するための重要な基盤となります。

効果測定では、ビッグデータの活用やAIによる高度な分析技術を取り入れることも有効です。
事業の進捗、顧客満足度、市場動向などの多様な指標をリアルタイムで監視し、より迅速かつ精確な意思決定を行うことが可能になります。

DX推進体制に向けた組織づくり

DX推進の過程では、組織全体の体制と文化の変革を伴います。
このため、DXを成功させるには、組織内にDX推進に特化したチームを構築し、それぞれの役割と責任を明確にすることが重要です。

DXチームは、ITスペシャリスト、データ分析者、プロジェクトマネージャーなど、多様な専門知識を持つメンバーで構成されるべきですが、組織内でのコミュニケーションと協力がスムーズに行われるように、適切な情報共有の仕組みを整えることも大切です。
DX推進に関連する目標設定、KPIの策定、進捗管理などを適切に行うことで、組織全体としてのDX推進を効果的に進めることができます。

DX推進にかかるコスト

DX推進にはITツールの導入や、そのツールの仕組みや使い方に精通した人材の育成も必要になるため、多大なコストが費やされます。
特に気にしておきたいコストは、
●ITツールの導入費用
●DX人材採用費用・育成費用
●社内体制の構築費用
●研究・企画開発費用
です。
コストの相場も知っておくことで、どのぐらいの予算を組んでおけばいいのかが分かり、経営戦略に活かすこともできるでしょう。

ITツールの導入費用

ITツールの導入には、さまざまな費用が伴います。企業がデジタル化を進める際、基本的には自社での開発か、あるいは外部の専門業者に依頼する方法が考えられます。
自社開発では、ソフトウェア開発に必要な人材や技術の確保が必要です。
また、外部業者に依頼する場合は、開発費用やサポートコストが発生します。
市販のパッケージソフトウェアを導入する場合も、購入費用やライセンス料、さらにはカスタマイズや維持管理のための費用が必要になります。

これらのコストを効果的に管理するためには、補助金や税制優遇措置を活用することが有効です。
「DX投資促進税制」は、DXに関わる投資を行った企業に対する税制上の優遇措置が受けられる制度です。
また、後述する「IT導入補助金」や「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」のような支援策を利用することで、導入コストの負担を軽減することも期待できます。

DX人材採用費用・育成費用

デジタル変革を進めるためには、最新のデジタル技術を理解し運用できる人材が不可欠です。
これには、デジタル技術を扱えるスペシャリストの採用や、既存の社員への研修・教育が含まれます。
採用にあたっても、高度な専門知識を持つ人材を確保するための市場価格を考慮する必要があります。
内部の社員を育成する場合であっても、DX推進初歩の段階では、教育プログラムの開発や従業員教育そのものを外部講師へ依頼し、報酬が発生することが多いと見ておくべきでしょう。

社内体制の構築費用

DXに成功するためには、組織内に適切なプロジェクトチームや部門を設置し、それらを適切に運営する必要があります。
この過程で、新たな部署の設立や既存部門の再編、プロジェクトチームの構築などにかかるコストが発生します。

また、プロジェクトの効果的な進行をサポートするため、ITコンサルタントやデジタル変革の専門家を外部から招くことも一般的です。
この場合、専門家の報酬や契約に関連する費用が含まれます。

社内体制の構築には、人的資源の配置から専門知識の導入まで、多角的な費用が関わってきます。

研究・企画開発費用

デジタル変革を進めるにあたり、最新の市場動向や技術トレンドを理解するための市場調査や研究は不可欠です。
これらの活動には、専門的な調査会社への委託費用や、内部でのデータ分析に必要なリソースが含まれます。

さらに、企業のDX戦略を広く知らしめるため、または業界の最新動向を把握するために、展示会への出展やセミナーの開催も重要です。
これらのイベントには、ブース設置費用、資料作成費、スタッフの派遣費用などがかかります。
自社のDX戦略を業界に紹介し、関連分野の専門家とのネットワークを築くことが可能になります。

コストの相場

DX推進に関するコストは企業が取り組む内容に応じて大きく異なるため、相場を掴むことは難しいのが現状です。
補助金や補助率を踏まえると、以下のような範囲でコストがかかると予想されます。

費用項目 費用相場(最低額) 費用相場(最高額)
新しい商品・サービスの開発 50万円 2,000万円
ITツールの導入 10万円 900万円
新分野への展開、業種や事業の転換等 150万円 9,000万円

DX推進には補助金や助成金の活用がおすすめ

DX推進には多額のコストがかかるため、すべてを自社負担とすると、有事の際に対応できない場合があります。
そこで、DX推進を検討する場合には補助金や助成金の活用がおすすめです。

補助金と助成金の違い

補助金は、経済産業省をはじめとする多様な省庁から提供されるものです。
助成金は、厚生労働省を中心として、雇用維持や労働環境の改善に重点を置いています。

DX推進に際して、補助金と助成金の活用は大いに役立ちますが、これら二つの資金援助は目的や適用範囲が異なります。
補助金は、主に新規事業の立ち上げや技術開発などビジネスの拡張・革新に対して支給されるのに対して、助成金は、雇用創出や労働環境の改善など、従業員の福利厚生や労働条件の向上を目的としています。

資金を受け取るためのハードルにも違いがあり、
補助金は、一定の審査基準をクリアした事業者にのみ提供され、そのためには事業計画の具体性や実現可能性が求められます。
一方、助成金は公的な労働政策の一環として設計されているため、特定の要件を満たしている限り、一般的には支給が保証される傾向にあります。

また、申請期間にも違いがあります。
多くの補助金は申請期間が限定されているのに対し、助成金は年間を通じて申請が可能な場合が多いです。
ただし、どちらも申請には一定の書類作成や条件遵守が必要となります。

項目 補助金 助成金
目的 新規事業立ち上げ、技術開発などビジネスの拡張・革新 雇用創出、労働環境の改善など福利厚生や労働条件向上
審査基準 事業計画の具体性や実現可能性が重視される 特定の要件を満たすことが重視される
申請期間 限定的(特定の期間内のみ) 通年(年間を通じて申請可能)
主な適用範囲 ビジネス拡大、技術革新 雇用維持、労働環境改善
提供元 経済産業省など多様な省庁 厚生労働省を中心

補助金・助成金活用のメリット

補助金や助成金にはメリットが多くあります。
利用できる場合には積極的に検討するのがおすすめです。

メリット①:返還不要の資金である

補助金や助成金は返還不要な資金です。
これは、ビジネスを拡大したり新しいプロジェクトを始めたりする際に、資金面で大きな安心感につながるでしょう。

通常の融資や出資では、返済の義務や株式を通じた企業の経営権の変更が伴うことがありますが、補助金や助成金はそのような心配がありません。

また、この種の資金援助は、自社の資本と同じように自由に使うことができるため、事業の拡張や新しい取り組みに向けての資金計画を柔軟に立てることが可能です。
特に、初期投資が大きな障壁となっている中小企業やスタートアップにとって、これは大きなメリットとなり得ます。

メリット②:金融機関からの融資審査に通りやすくなる

補助金や助成金の活用は、金融機関からの融資審査においてもメリットがあります。
これらの資金を受け取ることができる企業は、金融機関によって信頼性が高いと見なされる傾向があります。
その理由は、補助金や助成金の採択が、企業の事業計画や将来性が公的機関によって評価されている証拠として機能するからです。

具体的には、補助金や助成金の採択を受けた企業は、金融機関からの融資を申し込む際に、その事業の信頼性や実行可能性を示す材料として利用できます。
これは、融資を受ける際の大きなアドバンテージとなり、特に新規事業や大規模な投資を計画している企業にとっては、資金調達の選択肢を広げることにつながります。

また、最近では、補助金や助成金の交付決定を受けた企業を対象に、金融機関が特別なつなぎ融資プログラムを提供するケースも増えています。
補助金や助成金の活用は、金融機関との関係においても有益な影響を及ぼす重要な要素となるかもしれません。

メリット③:信用の高さをアピールできる

補助金や助成金の採択を受けることは、企業の信用度を高める絶好の機会です。
これらの資金援助は、一般的に厳格な審査を経て採択されるため、これを受け取ること自体が、企業の技術力や事業計画の優秀さを公的に認められた証となります。

この事実をアピールすることで、顧客やビジネスパートナー、投資家などからの信頼を得ることが可能となり、新たなビジネスチャンスやパートナーシップを築く足がかりとなり得るでしょう。

メリット④:次回以降の補助金申請が通りやすくなる

補助金や助成金の活用において、一度成功した申請経験があることは、次回以降の申請においても大きなメリットとなります。
過去に補助金や助成金を受け取ったことが、その企業の信頼性や実績を示す重要な指標となるからです。
補助金や助成金の審査過程では、過去の採択実績が企業の計画遂行能力や責任感を示す証明として評価されることがあります。
そのため、一度補助金や助成金を受け取った企業は、再度申請する際に有利な立場に立つことができます。

ただし、補助金の中には、過去一定期間内に他の補助金や助成金を受け取っていないことを条件とするものも存在します。
次回の申請に際しては、各補助金の申請条件を慎重に確認するようにして下さい。

補助金・助成金活用の注意点

補助金や助成金にはメリットが多い一方で、利用の際に注意すべき点もあります。
ここでは、補助金・助成金利用の際の注意点を6つ取りあげました。

注意点①:補助金には審査がある

条件を満たしていれば確実に支給される助成金と異なり、補助金は単に申請するだけで採択される保証はありません。
補助金の審査では、事業計画の具体性、実現可能性、社会的・経済的影響などが総合的に評価されます。

申請する際には、計画の詳細を丁寧に準備し、その目的を明確に伝える必要があります。
他の資金調達方法を模索する、プロジェクトの規模を見直す、次回の申請に向けて計画を改善するなど、申請が通らなかった場合の対策も考慮することが大切です。

注意点②:補助金と助成金の併用はできない

同一の事業に対して補助金・助成金の併用ができない場合があることには注意しましょう。国や地方自治体が提供するこれらの資金援助は、DX導入など特定の目的に利用できますが、一つの事業に対して複数の補助金や助成金を同時に使用することは原則として認められていないケースが多いです。

例えば、新しいシステム開発などの一つのプロジェクトに対して、複数の補助金や助成金を受け取ることは原則できません。
ただし、申請自体は複数行うことが可能であり、最終的に採択された補助金や助成金を選択することは可能です。

また、国の補助金と地方公共団体や他の団体が提供する補助金・助成金との併用に関しては、場合によっては認められることがあります。
申請する前に、地域ごとの制度や規定を詳しく調べ、どの補助金や助成金が併用可能かを確認することが重要です。

注意点③:補助金申請の期限は短いことが多い

補助金の申請に際しては、申請期間の短さに注意することが重要です。
多くの補助金プログラムでは、申請期間が限られており、しばしば短期間での応募が求められます。
事前にしっかりと計画を立て、必要な書類や情報を準備することが必須となります。
申請期間が短いと、十分な準備時間が取れなかったり、最終的な申請内容が不十分になったりするリスクが高まります。

また、補助金プログラムによっては、説明会への参加や特定の手続きが事前に必要となることもあり、これらの要件を見落とすと、申請自体が不可能になる可能性があるため、申請プロセス全体をよく理解し、期限内に適切な手続きを完了させることが肝心です。

注意点④:会計検査の対象になる可能性がある

国や地方自治体から支給される補助金や助成金は、公的資金であるため、その使用状況について厳格な監査が行われることがあります。

このような会計検査では、補助金や助成金の使途だけでなく、企業の会計状況全般が調査の対象となることがあります。
そのため、補助金や助成金の使用に際しては、適切な管理と記録の保持が不可欠です。
具体的には、補助金や助成金が計画通りに使用されているか、またその資金が正当な目的にのみ使用されているかなどが検査されます。

注意点⑤:支払いは後払い

補助金や助成金は計画が実施され、所定の検査や確認が完了した後に支給されます。
つまり、事業の実施には自己資金や他の資金源を先に使用し、後から補助金や助成金でその一部を補填する形となります。

さらに、補助金や助成金の支給額は、事業実施の結果や報告内容に基づいて決定されます。実際の事業経費が予定より少なかったり、計画と異なる結果となったりすると、予定されていた金額よりも少ない額が支給されることがあります。
事業計画の段階での正確な予算策定と、事業実施中の適切な経費管理が非常に重要です。

注意点⑥:補助率・助成率によっては手元に資金が必要

補助金や助成金は、多くの場合、事業費用の一部をカバーするものであり、全額を賄うわけではありません。
例えば、補助率が半分や三分の二であれば、残りの資金は自己調達する必要があります。

そのため、事業を開始するにあたっては、補助金や助成金以外にも、一定量の自己資金や他の資金調達方法を用意することが必要です。
補助金や助成金が原則として後払いであることを考えると、事業の初期段階では自己資金で費用を賄う必要があるため、事前の資金計画が不可欠となります。

もし資金が不足している場合は、銀行融資などの他の資金調達方法を検討することが望ましいでしょう。

補助金・助成金申請から受け取るまでの手順・流れ

補助金・助成金を申請してから受け取るまでの手順・流れの概要をまとめました。
補助金や助成金を受けるための基本的な手順は次のようになります。
①公開募集の案内
②申請手続きの実施
③評価・選定
④採用決定
⑤交付の手続き・決定
⑥補助対象の事業実施開始
⑦途中でのチェック
⑧プロジェクト完了・報告の提出
⑨最終的な検証
⑩支給される金額の決定
⑪請求書類の提出・資金の振込み

補助金・助成金の支給条件の確認

補助金や助成金を申請する際には、まず支給条件の確認が非常に重要です。
どのような補助金や助成金が存在し、自社に適しているかを把握することが第一歩。
これらの情報は、経済産業省、中小企業庁、地方自治体などの公式サイトで入手することが可能です。

補助金の応募条件は、企業の規模や従業員数、事業内容などによって異なることがあります。
そのため、自社の状況に合致する補助金や助成金を見つけることが重要です。
また、DX化など特定の目的に特化した補助金や助成金も存在するため、自社のニーズに合ったものを選定するといいでしょう。

補助金・助成金の選択と申請

選択が終わったら、次のステップは必要書類の準備です。
一般的に必要とされる書類には、申請書、事業計画書、決算関連書類、印鑑証明書、納税証明書などが含まれますが、これらは申請する補助金や助成金の種類によって異なることがあります。
書類作成には時間がかかることもあるため、余裕を持って取り組むようにしましょう。

補助金・助成金対象となる事業の開始

計画書に記述されたプロジェクトや活動だけが補助金や助成金の支給対象となります。
計画書にない活動には、これらの資金は適用されません。
したがって、事業計画の段階では、ただのアイデアではなく、業界の最新動向やDXのトレンド、IT技術の進展などを踏まえた綿密な戦略立案が必要です。

実施報告書の提出

DXプロジェクトが完了した後、その成果を補助金や助成金の担当機関に報告することが求められます。
この報告は、プロジェクトの成果を詳細に記述した実施報告書として提出します。
報告書では、計画した目標と実際の成果を比較し、どれだけの効果があったかを定量的に示すことが重要です。
できれば、従業員のスキル向上やモチベーションの改善、労働環境の改革など、定性的な成果についても言及することが望ましいです。
書式が決められている場合がほとんどですが、これらの情報を含められれば、プロジェクトの全体的な影響を総合的に評価することが可能となります。

実施報告書が適切に承認されると、補助金や助成金の支給が行われます。

DX推進のための補助金・助成金の種類

最後にDX推進のために利用できる可能性のある補助金・助成金をまとめました。
詳細な支給額・申請条件は、それぞれの項目のリンク先にて確認してください。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

中小規模のビジネスに対し、新しいサービスの開発や試作品の製作、製造工程の最適化のための設備の導入を援助するための助成金プログラムです。

条件(一部抜粋)

1.以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定していること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加(一定要件を満たす場合は、年率平均1%以上の増加)。
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。
2.応募申請時点で、補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有していること。
3.その他、除外事由にあたらないこと。

内容(一部抜粋)

通常枠・デジタル枠の例
・従業員5人以下:100万円~750万円
・従業員6人~20人:100万円~1,000万円
・従業員21人以上:100万円~1,250万円
グローバル市場開拓枠
・100万円~3,000万円

詳細は、「ものづくり補助金総合サイト」の公募要領をご確認ください。
サイトはこちら → https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html

IT導入補助金

中小企業や小規模事業者の生産性向上を目的とするIT導入補助金は、業務の効率化やデジタルトランスフォーメーションを促進するために、特定のITツール(例:ソフトウェア、オンラインサービス)の使用を支援するものです。

条件(一部抜粋)

1.交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること。
2.gBizIDプライム(法人代表者や個人事業主のアカウント)を取得していること。
3.独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するSECURITY ACTIONの『★』または『★★』の宣言を行っていること。
4.中小企業庁が実施するデジタル化支援ポータルサイト「みらデジ」における「みらデジ経営チェック」を交付申請前に行った事業者であること。
5.B類型に申請しようとする者は、以下の要件をすべて満たす3年の事業計画を策定し、従業員に表明していること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加する計画となっていること。(一定の要件に該当する場合は、1%以上の増加でも可)
・計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。

内容(一部抜粋)

通常枠A類型(補助率1/2以内)
・5万円以上150万円未満
通常枠B類型(補助率1/2以内)
・150万円以上450万円以下
セキュリティ対策推進枠(サービス利用料の1/2以内)
・5万円以上100万円以下
デジタル化基盤導入枠デジタル化基盤導入類型の例
・ソフトウェア等(補助率3/4以内):50万円以下
・ソフトウェア等(補助率2/3以内):50万円超350万円以下
・ハードウェア(PC・タブレット等)(補助率1/2以内):10万円以下
デジタル化基盤導入枠商流一括インボイス対応類型
・350万円以下
デジタル化基盤導入枠複数社連続IT導入類型の例
・基盤導入経費:3,000万円以下

詳細は、「IT導入補助金」の公募要領をご確認ください。
サイトはこちら → https://it-shien.smrj.go.jp/about/

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響に伴う経済環境の変化に対応し、企業の事業モデルを刷新するためのものです。デジタル変革を通じて事業の再編や新規事業の立ち上げを行う際、この制度は様々な費用の支援を提供します。具体的には、機器やシステムの導入、技術投資、専門家への支払い、クラウドサービス、外部委託、知的財産や広告、研修費用などが含まれます。
今後、コロナが落ち着いたと判断される場合には補助内容の縮小が予想されるので注意が必要です。

条件(一部抜粋)

1.事業再構築指針に示されている「事業再構築」の定義に該当する事業であること。
2.事業計画について、認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。
3.補助事業終了後3~5 年で付加価値額の年率平均4.0%以上増加または従業員一人当たり付加価値額の年率平均4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること(枠組みにより異なる)。

内容(一部抜粋)

成長枠
・従業員20人以下:100万円~2,000万円
・従業員21人~50人:100万円~4,000万円
・従業員51人~100人:100万円~5,000万円
・従業員数101人以上:100万円~7,000万円
産業構造転換枠
・従業員数20人以下:100万円~2,000万円
・従業員数21~50人:100万円~4,000万円
・従業員数51~100人:100万円~5,000万円
・従業員数101人以上:100万円~7,000万円

詳細は、「事業再構築補助金」の公募要領をご確認ください。
サイトはこちら → https://jigyou-saikouchiku.go.jp/saikouchiku.html

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、働き方の革新や新たなインボイスシステムの導入などの変化に直面している事業者を支援するものです。
このプログラムは、販売チャネルの開発や業務の効率化を目指す小規模なビジネスの努力を、必要な費用の一部を援助することで後押しします。

条件(一部抜粋)

1.策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓等のための取組であること。あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
2.商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること。
3.以下に該当する事業を行うものではないこと。
・同一内容の事業について、国が助成する他の制度(補助金、委託費等)と重複する事業。
・本事業の終了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業。
・事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの(マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業等)

内容(一部抜粋)

通常枠
・上限50万円
後継者支援枠
・上限200万円
創業枠
・上限200万円

地域の商工会議所の管轄下で運営される事業者は、
「商工会議所地域小規模事業者持続化補助金」の公式サイト(https://r3.jizokukahojokin.info/)を通じて申請が可能です。

また、商工会の管轄下で事業を行う事業者は、
「全国商工会連合会持続化補助金」の公式サイト(https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/jizokuka.html)から応募することができます。

副業・兼業支援補助金

副業・兼業支援補助金は、従業員が他の職に就くための支援や、他社からの兼業者を迎え入れる準備に関わる費用をカバーするものです。

補助対象となるのは、専門家のコンサルティング料やクラウドサービスの使用料などです。

DXに関連しては、業務効率化のシステムを新設または改善することで、副業や兼業の推進に役立つ場合、申請が認められることがあります。

条件(一部抜粋)

類型A 副業・兼業送り出し型
① 従業員の就業に関する社内ルール(就業規則等の社内ルールとして明文化されたものに限る。以下同じ。)の改定を伴うものであること
② 社内ルールの改定によって、従業員の副業・兼業を認める範囲が広がることが見込まれること
類型B 副業・兼業受け入れ型
他の企業等において雇用契約又は業務委託契約に基づき就業している個人と新たに雇用契約又は業務委託契約を締結した上で、同契約に基づき、当該個人が当該他の企業等での就業を継続している状態のまま、自社の業務に就業させるものであって、以下のいずれの要件も満たすものであること
① 自社の業務に就業させる期間が、少なくとも3か月以上であること(ただし、第4次公募においては、少なくとも2か月以上であること)
② 受け入れる人材が有するスキルや経験などを活用することが、受け入れ企業の経営課題の解決につながると見込まれること

内容(一部抜粋)

類型A 副業・兼業送り出し型
・補助率2分の1以内
・補助上限額1事業者あたり100万円
類型B 副業・兼業受け入れ型
・補助率2分の1以内
・副業・兼業の人材1人あたり50万円まで
・1事業者あたり250万円(5人まで)

詳細は、「副業・兼業支援補助金」の公募要領をご確認ください。
サイトはこちら → https://www.fukugyo-kengyo-hojo.jp/

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

中小企業の経営者に対して、厚生労働省はテレワークの推進を支える「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」を整備しています。
この助成金は、リモートワークの開始と維持を助けることを目的としています。

支援の対象には、雇用契約の更新や変更、専門家による助言、リモートワーク用の通信機器の準備と管理、従業員と人事担当者へのトレーニングが含まれます。
また、2023年4月1日より、リモートワークに必要な端末(パソコン、タブレット、スマートフォン)の貸出しやリース代金も補助の範囲に入りました。

条件(一部抜粋)

①機器導入助成
・新たに、テレワークに関する制度を規定した就業規則または労働協約を整備すること。
・テレワーク実施計画認定日以降、機器等導入助成の支給申請日までに、助成対象と
なる取組を1つ以上行うこと。
②目標達成助成
・評価期間後1年間の離職率が、計画提出前1年間の離職率以下であること。
・評価期間後1年間の離職率が30%以下であること。

内容(一部抜粋)

①機器導入助成
支給対象経費の30%
※以下のいずれか低い方の金額が上限額
・100万円 又は
・20万円×対象労働者数
②目標達成助成
支給対象経費の20%〈賃金要件を満たせば35%〉
※以下のいずれか低い方の金額が上限額
・100万円 又は
・20万円×対象労働者数

詳細は、「厚生労働省 人材確保等支援助成金(テレワークコース)」の公募要領をご確認ください。
→ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/telework_zyosei_R3.html

サイバーセキュリティ対策促進助成金

サイバーセキュリティ対策促進助成金は、中小規模のビジネスがサイバーセキュリティの強化に取り組む際、関連する機器やシステム導入の一部費用に対して援助を提供するプログラム

条件(一部抜粋)

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施している
SECURITY ACTIONの2段階目(★★二つ星)を宣言している都内の中小企業者・中小企業団体

内容(一部抜粋)

助成率 助成対象経費の1/2以内
助成額 1,500万円(下限額 10万円

詳細は、「厚生労働省 人材確保等支援助成金(テレワークコース)」の公募要領をご確認ください。
→ https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/cyber.html

まとめ:DX推進には補助金や助成金の活用を

DX推進には設備やシステム導入、人材育成や採用などと高額な費用がかかります。
補助金や助成金で利用できそうなものは申請の検討をするといいでしょう。

ただし、申請にも多くの手続きが必要になることがほとんど。
申請のための情報を調べたり、書類を作成したりする時間が取れない場合には、補助金・助成金申請を代行してくれるエージェントに相談するのも効果的です。

Next HUB株式会社はDXを軸とした人材の育成から就職後の研修・キャリアコンサルタントまでをセットで提供しています。
助成金申請の手続きも行っており、人材育成や経済・経営、補助金や助成金に関わる様々な情報も配信中です。

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