助成金・補助金を活用してコスト削減!実際に助成金を活かした企業事例

企業活動における採用費や業務運用コストの削減は、経営の安定化に直結します。
この記事では、キャリアアップ助成金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金など、さまざまな助成金を活用して実際にコストを抑え、効率的な経営を実現した実在企業の事例を紹介。
中小企業経営者が自社の経営課題に対してどのように制度を使いこなしているかを、採用コストや無駄の排除、業務効率の視点からわかりやすく解説します。
目次
IT導入補助金を活用した事例
IT導入補助金は中小企業・個人事業主が会計ソフトや予約管理システムなどITツールを導入する際の費用を一部補助する制度です。
飲食店や美容室、小売店など様々な業種が対象で、業務効率化や省人化を図ることで人件費削減や顧客サービス向上を実現できます。具体例を見てみましょう。
飲食店での導入事例
ある飲食店では、モバイルオーダーシステムとPOSレジシステムを補助金で導入しました。この結果、注文から提供までの時間が短縮されて人件費削減につながり、レジ締め作業のヒューマンエラーも解消されました。
補助金を活用することで、86万円相当のシステム導入費用のうち約3分の2(約59.5万円)が補助され、企業負担は26.5万円に抑えられています。
実質負担を低くしたことで初期投資のハードルが下がり、短期間で導入効果が得られました。
美容室での導入事例
美容室では予約管理システムやPOSレジ機器、キャッシュレス決済システムをIT導入補助金で導入しました。
これにより、予約から会計までをスムーズに管理でき、業務効率が向上。
顧客側も電子マネー決済が利用可能になり利便性が高まったため、リピーター増加と顧客満足度向上につながった事例です。
導入費用は総額39.2万円で、そのうち21.8万円が補助され、実質負担は17.4万円でした。人件費削減やミス防止による業務効率化効果は大きく、投資対効果の高い施策となっています。
旅館での導入事例
旅館業界でもIT導入補助金は活用されています。ある旅館では、クラウド型ホテル管理システム(PMS)と予約サイト管理システムを複数の申請枠で導入しました。
この結果、オーバーブッキング防止や受付業務の効率化が実現し、顧客サービスの質が向上。
補助金の交付額は150万円超と大規模で、ハード・ソフトをまとめて導入しながら、従業員の作業負担軽減と働きやすい環境の整備を同時に達成しました。
予約業務の自動化による省人化効果やミス防止効果で、長期的なコスト削減と収益力向上が見込まれます。
IT導入のその他の事例
IT導入補助金は上記の例以外にも、小売店の在庫管理システム導入や、サービス業の顧客管理システム導入などにも活用可能です。
例えば、小売店が在庫・販売管理システムを導入し人手を減らした事例や、サービス業者が業務報告システムを整備して管理工数を削減した事例もあります(いずれも補助金で費用の4分の3程度が補助されます)。
業種を問わず、業務のどの部分に課題があるかを明確にし、最適なITツールを選ぶことで、業務効率化とコスト削減を同時に実現できます。
ものづくり補助金を活用した事例
ものづくり補助金は中小企業が生産性向上を目的とした革新的な設備投資を行う際に、機械装置やシステム開発費用を補助する制度です。
返済不要の資金であるため設備導入のハードルが低く、製造業を中心に幅広く利用されています。
以下は実際に補助金を活用した事例です。
生産設備・IoT導入による効率化
金属成形メーカーのサンテック東北社は、ものづくり補助金でIoT対応生産設備を導入しました。
これにより24時間稼働が可能になり、従来より少ない人員で生産量を維持できるようになりました。
具体的には、従業員の作業負担を減らして無人運転を実現し、人件費を大幅に削減するとともに成形工程のリードタイムを約30%短縮しました。
投資したセンサーと管理システムの効果で稼働率と品質が向上し、コスト削減と生産性向上の両方を達成しています。
新製品・試作品開発事例
ある製造業者は、補助金を活用して試作品開発費用を補助しました。
高付加価値製品の市場投入に向けて試作機を導入し、製品開発期間を大幅に短縮。
これにより新製品の早期上市を実現し、競合との差別化を図るとともに開発コストを国の補助で賄えました。
例えば、工具部品メーカーが特殊加工機を導入し、新型部品の試作品を社内で高速に製作できるようになったケースでは、外注費用削減と新商品開発のスピードアップに成功しています(※設備費用の2/3~3/4が補助対象となります)。
設備更新・自動化事例
中小製造業では老朽化した機械設備の更新も促進されます。
加工機械を最新ロボット装置へ更新することで、自動化ラインを構築した事例があります。これにより省人化が進み、夜間無人稼働が可能になり、長期的な人件費削減につながります。
また、省エネ効果の高い設備に切り替えることで光熱費を抑えつつ生産性を向上させています。
補助金を活用すれば、機械やロボット導入の初期投資を大きく軽減でき、最新技術への投資判断がしやすくなります。
ものづくり補助金の活用ポイント
ものづくり補助金を活用するには、応募要件に沿った生産性向上計画を明確にすることが重要です。
上記事例のように、具体的な数値目標(稼働率◯%向上、人件費△△万円削減など)を計画書に盛り込めば採択されやすくなります。
補助率は一般的に2/3(小規模事業者は3/4)で、補助上限は数百万円規模のため、設備更新やシステム導入で大きなコスト削減効果が期待できます。
キャリアアップ助成金を活用した事例
キャリアアップ助成金は、人材育成や雇用形態の改善などに取り組む事業者を支援する助成金です。
中でも「正社員化コース」は、有期雇用労働者やパート・アルバイトを正社員に登用した場合に助成金を受け取れます。
さらに、賃金規定の改定や賞与制度の導入、社会保険適用に伴う待遇改善など多様なコースがあり、人材定着や従業員満足度向上につながります。
以下は活用例です。
介護施設の正社員化
介護事業所がパート職員数名を正社員(常勤介護士)へ登用し、賃金規定も見直しました。これにより従業員の定着率が上昇し、人材獲得の採用コスト削減につながりました。
正社員化コースの助成金を受給しつつ、従業員満足度向上にも成功しています。
飲食店の賃金改定
小規模飲食店が時給規定を改定して最低賃金を引き上げ、従業員の定着を図りました。
この取り組みも賃金規定改定コースで助成対象となり、人件費の一部が助成金で補填されました。
結果として離職率が低下し、求人募集費用の節減につながっています。
IT企業の研修支援
ITベンチャー企業が社員の資格取得研修費を助成金でカバーし、高度人材の育成を推進しました。
人材開発コースによる助成で教育コストを軽減しつつ、優秀な人材の確保に結びつけています。
キャリアアップ助成金を活用すれば、人材への投資を行いやすくなるため、優秀な人材の確保・定着といった効果が期待できます。
助成金を申請するには計画書作成が必要ですが、導入コストの一部補助を受けられるため、採用費用や研修費用を削減する有効な手段となります。
小規模事業者持続化補助金を活用した事例
小規模事業者持続化補助金は、商工会や商工会議所の支援を受けながら小規模事業者が販路開拓・事業拡大を行う際の経費を補助する制度です。
販促・広告費から設備投資まで幅広く対象になり、最大50~100万円程度(一定要件で150万円超)の助成を受けられます。
以下、業種別の採択事例を紹介します。
飲食店での活用事例
●ピザ店の新商品開発
自宅で本格的な薪窯焼きピザを楽しめる新型宅配ピザを開発。メ
ニュー開発費用に補助金を活用し、新規顧客を獲得しました。
●唐揚げ専門店のイートイン拡充
店舗にイートインスペースを新設し客席を増設。
補助金で内装・什器を整備することで、テイクアウトだけでなく店内利用客も増え、売上拡大を実現しました。
●フランス料理店のテイクアウト導入
コロナ禍でテイクアウト需要に対応するため、補助金で専用容器と調理機器を導入。
新メニュー開発費と合わせて販路を多角化し、売上減少をカバーしました。
飲食業では新メニュー開発や販路拡大が多く採択されています。
ホームページ制作費用やSNS広告費も対象となり、低コストで集客力強化が可能です。
製造業・卸売業での活用事例
●食品製造業のECサイト構築
中小の食品製造会社が補助金でオンライン販売サイトを構築し、主力商品の直販体制に転換しました。
これにより市場拡大を図りつつ販路を多様化し、取引先依存を軽減しています。
●いちご農園の外国語ホームページ
農園が英語版ホームページを補助金で作成し、海外向けの通信販売を開始。海外マーケットへの販路拡大を実現しました。
●パッキング製造業の高付加価値化
新素材の加工設備を導入し、付加価値の高い部品製造に転換。
販路開拓と受注増加を狙った設備投資費用が補助対象になりました。
製造業・卸売業でも、ECサイト構築や生産設備更新、新製品開発などが多く見られます。自社商品をオンライン販売する事例や、新加工技術への転換例が多く、業務効率化・付加価値向上を伴う投資が採択されています。
建設・工事業での活用事例
●建設会社のホームページ刷新
足場工事会社が多言語対応のホームページをリニューアルし、外国人施工者や海外顧客を獲得。
ウェブサイト制作費用を補助金で賄い、新規受注を拡大しました。
●看板・PR制作による認知向上
建設業者が企業PR用の看板やパンフレット作成に補助金を活用。地域での認知度が向上し、仕事の引き合い増加につながっています。
●遠隔管理システムの販路開拓
セキュリティ工事会社が遠隔制御サービスのデモ機を制作し、販路拡大を図りました。システム開発費用の一部が補助され、新規事業の立ち上げが進みました。
建設・工事業ではウェブサイトや看板制作など販路開拓を目的とした広報活動が多く見られます。
インターネット集客や案内物制作などを支援しており、これまで取引のなかった顧客層へのアピールに役立っています。
店舗ビジネスでの活用事例
●花屋のオンライン販路開拓
花屋がECサイトを立ち上げ、ネット販売参入のための広告戦略を補助金で実施。店頭販売だけでなくインターネット販路を開拓し、知名度向上と売上増に成功しました。
●コインランドリーのキャッシュレス化
コインランドリー業者がキャッシュレス決済導入機器を補助金で購入。利用者の利便性向上と運営コスト削減を実現しました。
●酒販店の店舗リニューアル
酒屋が内外装を補助金でリニューアルし、洋酒販売コーナーを強化。新規顧客の取り込みを図りました。
店舗展開している企業では、多店舗の広告展開や設備導入が補助対象になります。
オンライン販売開始やキャッシュレス化、看板・内装改修など、多様な用途で助成金が活用されています。
助成金・補助金を活用することで、中小企業は通常の資金負担を抑えつつ必要な投資や改善を行えます。
実際の企業事例からも、設備投資やシステム導入、販促費用などに助成金を充てることで大幅なコスト削減・効率化を達成していることがわかります。
これらの制度を上手く活用すれば、少ない自己資金で経営課題を解決し、収益力を向上させることが可能です。
まとめ:新しい人材の採用に使える助成金は忘れがち!?
助成金・補助金というと設備投資やIT導入ばかりに目が向きがちですが、実は採用活動や人材育成に使える助成金も数多く存在します。
正社員登用や賃金アップ、育成研修など、採用後のフォローにも国や自治体から支援が得られるため、コストを抑えつつ戦力強化が可能です。
制度を知らなかったがために申請のチャンスを逃すケースも多くあります。
まずは自社に合った助成金がないかを調べ、計画的な活用を検討してみましょう。
うまく活用できれば、「人を採る・育てる」ことが経営負担ではなく、成長のチャンスに変わります。
人材採用の助成金については以下の記事も参考にしてください。
「人材採用に使える助成金とは?採用コストを抑えて優秀な人材を確保」
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