人材採用に使える助成金とは?採用コストを抑えて優秀な人材を確保

中小企業の経営者にとって、人材採用にかかる費用負担は大きな課題です。
しかし、地方自治体や経済産業省・中小企業庁が提供する助成金制度を活用すれば、採用コストを抑えつつ優秀な人材を確保することが可能になります。
本記事では、「人材採用に使える助成金」とは何かについて、その具体的な制度内容・条件・活用方法・申請手続き・注意点を丁寧に解説。
助成金を上手に導入して、コストを削減しながら貴社にふさわしい人材を採用するポイントを一緒に見ていきましょう。
目次
助成金を活用した人材採用のメリットと背景
中小企業にとって、人材採用は経営の根幹を支える重要なテーマですが、費用や人的リソースの負担が大きな課題です。
助成金を活用することで採用活動にどのようなメリットがあるのかを解説。
採用費用の削減だけでなく、人材確保や企業の魅力向上につながる助成金の役割、さらにその背景にある国や自治体の施策意図についても分かりやすくお伝えします。
中小企業の採用課題と費用負担の現状
中小企業では人材不足や採用競争の激化により、求人募集に多大なコストを費やすケースが少なくありません。
求人サイトへの掲載費用、人材紹介会社への成功報酬、会社説明会の開催費用など、優秀な人材を採用しようとすればするほど費用負担が増大しがちです。
その結果、「採用したいが予算に限りがあって思うような人材確保ができない」という悩みを抱える経営者も多いでしょう。
こうした採用コストの内訳を見直すと、広告費・仲介手数料・イベント費用など外部サービスに支払う経費が大きな割合を占めています。
例えば大手求人サイトへの掲載料や人材紹介会社への成功報酬は数十万円単位になることも珍しくなく、中小企業にとっては大きな負担。
また、地方の中小企業であれば都市部への人材流出も相まって、余計にコストをかけても応募者自体が集まりにくいという悪循環も見られます。
助成金活用による採用コスト軽減と人材確保効果
そこで注目したいのが、行政による人材採用支援のための助成金です。
助成金を活用すれば、これら採用活動にかかる費用の一部について公的な補助を受けることができます。
支出の一部が補填されることで採用予算にゆとりが生まれ、より広範囲に優秀層へアプローチできるようになります。
また、「助成金を活用している=行政のお墨付きがある企業」という印象から、応募者に対して企業の信頼性や魅力をアピールする効果も期待できます。
例えば東京都足立区では、区内中小企業が求人サイト掲載や求人チラシ作成、人材紹介会社の利用に要した費用の2分の1(50%)を助成する制度があります。
上限額は求人広告や動画制作費で40万円、人材紹介会社の成功報酬で60万円まで補助され、年間1回利用可能です。こ
のように助成金によって数十万円規模の費用負担が軽減されれば、中小企業でもより積極的な採用活動が可能となります。
さらに助成金で浮いた予算を他の採用施策に充当することで、より優秀な人材を惹きつける工夫ができる点もメリット。
節約できた分をオフィス環境改善や福利厚生拡充に振り向けて「働きやすい職場作り」をPRしたり、より専門性の高い人材にアプローチするためのターゲット広告に投資したりと、助成金をテコに採用力全体を強化できるのです。
優秀な人材確保に向けた国・自治体の支援策の背景
国としても地方自治体としても、中小企業の人材確保支援は重要な政策課題です。
2014年の第二次安倍内閣以降、「地方創生」の旗印のもと地方における雇用創出や人材還流が推進されてきました。
若者の都市部流出を食い止め、地域経済を支える中小企業に人材の定着やUIJターンを促すため、様々な助成制度が整備されてきた経緯があります。
特に近年は人口減少や働き手不足が深刻化しており、放置すれば地方の中小企業は事業継続すら危ぶまれる状況です。
そのため、経済産業省・中小企業庁や各都道府県・市町村が中心となり、中小企業が人材戦略に取り組む際の費用や労力を支援する施策が充実してきました。
単なる補助金だけでなく、専門家派遣やマッチング支援、情報提供などソフト面の支援も含めて、中小企業の採用活動を総合的にバックアップする動きが強まっています
【地方自治体】中小企業向け人材採用助成金の種類と活用法
地方自治体(都道府県や市区町村)が独自に実施する助成金制度は、その地域の実情に即してきめ細かな支援が用意されている点が特徴です。
対象となる企業は当該自治体内に本社や事業所を有する中小企業であることがほとんどで、地元企業の人材確保を直接支援する目的で設計されています。
そのため、助成対象経費や条件も地域の課題に応じて様々です。 多くの自治体助成金では、採用活動に要した費用の一部(例:1/2や2/3)を補助し、一定の上限額を設定する仕組みになっています。
自治体によっては国の施策と連携し、例えば移住支援策や専門人材招へい策と組み合わせて助成内容を拡充しているケースも見られます。
また、受付期間や予算枠が限られており、「年度内で予算に達し次第終了」という先着順のものが多い点も留意すべき特徴です。
以下、地方自治体が提供する代表的な採用助成制度として、いくつかの類型と具体例を紹介します。
求人広告・人材紹介利用費の補助
中小企業が抱える採用コストの負担を軽減するために、大阪市でも求人広告や人材紹介にかかる費用を補助する助成制度が整備されています。
これにより、採用活動をより積極的に展開したい企業を公的に後押しする環境が整いつつあります。
たとえば、大阪市が実施する「中小企業等人材確保支援事業補助金」(※年度により名称が変更される場合があります)では、大阪市内に本社または事業所を持つ中小企業が、求人広告の掲載や人材紹介サービスの利用にかかった費用の一部を補助しています。
補助対象となる経費には、次のようなものが含まれます
●求人情報サイトへの掲載費用
●求人広告用の動画やパンフレットの制作費
●人材紹介会社への成功報酬(採用決定後に支払う紹介手数料)
●合同企業説明会への出展費用 など
補助率はおおむね対象経費の2分の1(1/2)で、上限額は1事業者あたり30万円〜50万円前後(年度により異なる)となっており、費用対効果の高い採用活動を支援する仕組みとなっています。
申請にあたっては、事前に申請書を提出し、交付決定を受けてから実施することが原則となっています。
求人広告の掲載を計画している場合、掲載開始前に見積書や広告案などを添えて申請する必要があります。
また、採用が決まった後には、雇用契約書や給与明細などの書類を実績報告として提出し、助成金の交付を受ける流れになります。
この制度を活用すれば、求人広告費用や人材紹介料の半額が補助されることになり、中小企業にとって大きな経済的支援になります。
例えば40万円の求人広告を出す場合、20万円の補助を受けられれば、残りの予算を別の施策に振り向けることが可能になります。
大阪市では、中小企業の人材確保を地域経済の活性化に直結する重要なテーマと位置づけており、こうした支援策を通じて中小企業の採用力を強化する取り組みが進められています。
大阪市内で人材採用に課題を感じている企業は、こうした補助制度を積極的に活用し、採用活動の幅を広げることが重要です。
移住・UIJターン人材採用への支援策
地方企業にとって、都市部の人材を地方へ呼び込むこと(UIJターン採用)は優秀な人材確保の有効な手段です。
この分野でも各自治体や国の地方創生施策により、企業・求職者双方への支援策が整っています。
まず、地方自治体が行う代表的な支援として「移住支援金」が挙げられます。
これは東京圏から地方へ移住して就職する個人に対して支給されるもので、たとえば最大100万円(単身者は最大60万円)の支援金が支給されます。
支援金は移住者本人への給付ですが、この制度に企業側が参加(自治体の求人募集サイト等に求人登録)することで、「当社に就職すれば移住支援金○○万円の対象になります」と求人条件の魅力として提示できるメリットがあります。
結果として、地方企業が都市部の人材を獲得しやすくなる環境づくりにつながっています。 企業側への直接的な助成としては、自治体によってUIターン採用者の受け入れ企業に奨励金を出すケースもあります。
地方によっては「東京圏からのUIJターン就職者を採用した企業に一人当たり○万円支給」という制度を設けている場合もあります(名称は自治体ごとに異なります)。
これにより、企業は採用者の移住コストや研修費用の一部を補填でき、経済的リスクを減らして都市圏人材の採用に踏み切れるという効果があります。
なお、国の厚生労働省でもかつて「中途採用等支援助成金(UIJターンコース)*と称して、東京23区から地方へ移住した人を中途採用した中小企業に対し最大100万円(経費の1/2)を助成する制度が創設されたことがあります。
いずれにせよ、UIJターン採用は地方の人材確保策として重点的に支援されている分野ですので、都市部出身の人材を狙いたい中小企業は各種制度を積極的に調べてみる価値があります。
高度・専門人材採用のための自治体補助(例:プロフェッショナル人材招へい支援)
一般的な求人経費の補助に加えて、高度な専門人材や即戦力人材の確保を目的に設けられた助成制度もあります。
こうした制度は、主に地方の中堅・中小企業が都市部や大企業からプロフェッショナル人材を招へいする際の負担軽減を狙ったものです。
例えば広島県では「中小企業等プロフェッショナル人材確保支援事業補助金」という制度が実施されています。
これは、新規事業展開や経営力強化のために年収600万円以上のプロ人材を県外から採用する企業に対し、人材紹介会社への手数料の一部を補助するものです。
補助率は概ね紹介手数料の50%で、補助額は1人あたり上限100万円(条件によって最大200万円まで)と高額。
さらに副業・兼業人材(都市部の専門人材に業務委託する形態)を活用する場合にも、初回利用時は手数料の80%(上限50万円)を補助するといった優遇措置が講じられています。
このような高額補助を活用すれば、通常は費用面でハードルが高いハイクラス人材のスカウトにも中小企業が挑戦しやすくなります。
また岐阜県では、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材に特化した「DX人材確保事業補助金」を実施。
ここでは、10年以上のIT実務経験を持ちDX推進を担うDX中核人材を採用した場合は上限200万円、3年以上の経験を持つ実務人材でも上限100万円の補助金が支給されます(補助率1/2)。
さらに、副業などスポットでDX人材を起用する際にも支援メニューが用意されており、地方企業のデジタル人材不足を補う狙いが明確です。
岡山県など他の地方でも「プロフェッショナル人材戦略拠点」を通じて紹介を受けた高度人材の採用に対し助成を出す制度があり、各地で高度人材の地方移籍支援が展開されています。
これらの制度を使えば、専門知識やマネジメント力を持つ人材を通常より低コストで採用できるため、自社に新たな視点やノウハウをもたらすチャンスとなるでしょう。
自治体助成金の申請手続きと注意点
地方自治体の助成金を受けるためには、定められた手順で申請を行い、必要書類を提出することが求められます。申請から交付までの一般的な流れは次の通りです。
①公募期間の確認・エントリー
自治体ごとに募集期間が設定されています(多くは年度単位で先着順)。期間内に所定の様式で申請書類を準備します。
採用計画書や見積書の提出を課す自治体もあります。
②交付申請(事前申請)
採用活動を開始する前、または採用決定前に、申請書類一式を自治体の担当窓口へ提出します。
事前の承認がないと補助対象にならないため、求人広告を出す前など早めのタイミングで申請が必要です。
③審査・交付決定
自治体にて申請内容の審査が行われ、適格と認められれば交付決定通知が届きます。
不備や要件未達の場合は却下通知となることもあります。
④採用活動の実施
承認を得た計画に沿って求人募集を行い、人材を採用します。採用後、一定期間の定着報告を求めるケースもあります(例えば6ヶ月後に在職状況を報告など)。
⑤実績報告・支給申請
採用活動が完了したら、実際に支出した費用の領収書や採用者の雇用契約書など必要書類を添えて実績報告を行います。
自治体がそれを確認し、最終的な助成金額が確定します。
⑥助成金の受領
確定通知後、指定口座へ助成金が振り込まれます。
以上が基本的な流れですが、自治体ごとに細かな手続きや必要書類は異なるため、必ず募集要項や担当窓口の案内を確認してください。
中にはオンライン申請に対応しているところもあります。
申請にあたっての注意点としては、「後から申請」は認められない点が重要。
助成対象となる採用活動より後に申請しても遅く、事前計画と申請がセットになっています。
また、助成対象外の経費にも注意が必要です。
例えば自社サイトに求人ページを掲載する費用や、社内紹介制度による採用などは対象にならない場合があります。
さらに、他の補助金と重複して受給できない経費も定められています。
同じ費用を国の補助金と自治体助成金双方からもらうことは禁止されていますので、どの経費をどの補助で賄うか整理しておきましょう。
せっかく助成を受けても、人材が定着しなければ意味がありません。
採用後のフォローや定着策にも力を入れることが、結果的に助成金を有効活用するポイントとなります。
【国・中小企業庁】経済産業省系の採用支援制度とは
採用活動の支援は地方自治体だけでなく、国のレベルでも進められています。
直接的な助成金に加えて、専門人材のマッチング支援や企業の採用力向上を目的とした各種取り組み、相談窓口の活用法など、国の制度ならではの特徴と活用ポイントをわかりやすくご紹介します。
中小企業庁による人材支援の取り組み
経済産業省・中小企業庁は、中小企業の人材確保を支援するために従来から様々な施策を展開しています。
ただし、その支援内容は必ずしも「採用費用の補助」という形ばかりではなく、情報提供や体制整備支援などソフト支援も含む点が特徴です。
中小企業庁のサイトでは「雇用・人材支援」として、人材不足に悩む中小企業向けの情報がまとめられています。
人手不足に対応した省力化投資を支援する補助金(後述の省力化補助金)や、人材活用のヒント集、専門家に相談できる窓口案内など、多角的な支援策が紹介されています。
これは経営戦略と人材戦略を一体で推進することを促す狙いがあり、単に助成金を出すだけでなく中小企業自らが採用・育成力を高めるための総合的なバックアップを行っているのです。
具体的な取り組みの一例が、各地に設置された「よろず支援拠点」や「ミラサポplus」といった相談・情報提供拠点です。
ここでは中小企業の経営課題全般について専門家のアドバイスが受けられますが、人材確保も重要なテーマの一つ。
助成金の活用方法や他社事例について相談することもできるので、自社に適した国の支援策を知りたい場合には積極的に活用すると良いでしょう。
経済産業省系の助成制度そのものは、厚労省に比べ数は多くありませんが、「地域の中小企業の採用力底上げ」を目的としたモデル事業などが実施されています。
例えば「地域中小企業・小規模事業者の人材確保支援等事業」では、地域ぐるみで中小企業の人材確保を支援する「地域の人事部」構築モデルが進められており、自治体や商工会議所等が連携して企業と人材のマッチング環境整備を行う取り組みです。
このように、経産省・中小企業庁は直接企業にお金を渡すだけでなく、地域の人材市場を活性化させるためのインフラ作りに注力しているのが特徴と言えます。
プロフェッショナル人材戦略拠点の活用(都市部人材の地方採用)
経産省の後押しで各都道府県に設置された「プロフェッショナル人材戦略拠点」は、地方企業と都市部の高度人材をマッチングするための公的なプラットフォーム。
これは地方銀行や産業振興機関内に設けられており、企業の求人ニーズと都市部人材のUIターン希望を専門コーディネーターが繋ぐ役割を担っています。
この拠点を通じて人材紹介会社を利用し採用した場合、前述の広島県のように紹介手数料の補助を受けられる助成金が用意されているケースがあります。
プロ人材拠点自体は相談やマッチング支援を行う機関ですが、それと連動して都道府県が補助金を出す仕組みになっているのです。
例えば岡山県でも、県外から管理職クラスを招へいする企業に対し採用経費の1/2(上限100~200万円)を補助する「プロフェッショナル人材確保支援補助金」を実施しており、プロ人材戦略拠点の活用が条件となっています。
このように国の支援策と地方自治体の助成金が連動している点は重要です。
プロフェッショナル人材戦略拠点を利用することで、単に人材を紹介してもらえるだけでなく経費面での公的支援もセットで受けやすくなるメリットがあります。
都市部で実績を積んだ即戦力人材を地方企業が迎え入れるのはハードルが高いように思えますが、国・自治体のネットワークと資金支援をフル活用すれば現実的な選択肢となります。
ぜひ自社所在地のプロ人材拠点にコンタクトを取り、活用できる制度を紹介してもらうとよいでしょう。
DX人材など専門人材確保支援の事例
前述の岐阜県のDX人材確保補助金は、デジタル分野の専門人材にフォーカスした支援策でした。
このように、業種・分野別の人材ニーズに応じた補助金も国の交付金を受けて自治体が実施する形で増えてきています。
DX人材の他にも、例えばスタートアップ企業向けの人材補助や、伝統産業の後継者人材の確保支援策、観光業のインバウンド対応人材の採用支援策など、多岐にわたる分野で検討・実施されています。
経済産業省はデジタル田園都市国家構想の一環として地方のデジタル人材育成・確保を推進しており、これに関連した補助事業として各地でDX人材支援の取組みが見られます。
また、中小企業庁は令和5年度より「中核人材確保支援能力向上事業」を立ち上げ、地域の支援機関が企業の経営課題に応じた人材マッチング支援を強化するモデル事業を進めています。
この中では人的資本経営**(社員のスキルや経験を経営資源と捉える考え方)の推進も掲げられており、単に人を採用するだけでなく採用した人材を活かして企業価値を高める視点での支援が重視されています。
こうした国主導のプロジェクトに参加する支援機関(地域の商工団体や金融機関など)は、補助事業者として国から委託費・補助金を受けて活動します。
最終的な恩恵は各地域の中小企業が受ける形になるため、企業側から見ると直接お金は受け取らなくても価値あるサービス提供を受けられるという形の助成とも言えます。
例えば無料または低廉な費用での合同企業説明会開催、専門コンサルタントによる採用力強化セミナー、求職者向けインターンシップ事業の実施など、多様なプログラムが各地で展開されています。
以上のように、経産省・中小企業庁系の採用支援策はハード(資金)とソフト(仕組み)の両面から中小企業をサポートするものとなっています。
自社の状況に照らし、「採用予算そのものを補助してほしい」のか「専門人材との出会いの場がほしい」のか「採用活動のやり方を教えてほしい」のか、ニーズに応じて使い分けると良いでしょう。
国の施策情報は中小企業庁の公式サイトやミラサポplusで随時更新されているので、最新情報をチェックして自社に合うものを探してみてください。
助成金を活用した採用成功のポイント
助成金を受け取ることがゴールではありません。
採用計画との連動、職場環境の整備、申請のタイミング管理、採用後の定着支援など、助成金を効果的に活かすために中小企業が押さえておきたい実践的なポイントをまとめました。
自社の採用計画と助成金を連動させる
助成金を有効に活用するためには、自社の採用計画に組み込んで考えることが重要です。例えば、「今年度は新規事業立ち上げのために経験者を1名採用したい」「来年度に向けて新卒を2名採用したい」といった計画を立てた段階で、その採用に使えそうな助成金を調べておくのです。
自治体の募集開始時期に合わせて求人活動のスケジュールを調整すれば、タイミングよく申請できます。
助成金ありきで人員計画を歪める必要はありませんが、上手に連動させることで限られたリソースを最大化できます。
例えばUIJターン採用を検討するなら移住支援金対象の求人枠を設ける、プロ人材採用補助を活用するなら年収や勤務地条件を満たすポジションを用意する、といった具合に、助成金の要件に合致する採用像を描くことも戦略の一つ。
その際、助成金の交付決定前に採用が決まってしまわないよう、応募から採用決定までのプロセス管理にも気を配りましょう。
助成金頼みではなく職場環境も整備する
助成金はあくまで採用活動を補助する一時的な資金。
優秀な人材を本当に確保するためには、企業自体の魅力向上が欠かせません。
助成金で求人広告を打ち出せても、肝心の会社の魅力が伝わらなければ人材は定着しません。
そのため、助成金で節約できた分のリソースを使ってぜひ職場環境や待遇の整備にも取り組んでください。
社内研修制度の充実、テレワーク導入支援、福利厚生の拡充、社内コミュニケーション活性化など、社員が「この会社で働き続けたい」と感じる要素を高めることです。
経産省系の支援には働き方改革や人材育成に関するメニューもありますので、必要に応じてそうした制度も組み合わせると良いでしょう。
助成金で採用した人材が戦力となり長く活躍してくれれば、企業にとって最も大きなリターンとなります。
「採用して終わり」ではなく「採用してからが始まり」という意識で、受け入れ後のフォローアップと働きやすい職場作りに力を注ぎましょう。
助成制度の情報収集とタイミング管理
採用助成金は国・地方合わせて数多く存在しますが、その情報は自分で積極的に収集する姿勢が大切です。
自治体から企業への周知もありますが見逃すこともあるため、定期的に自治体ホームページや中小企業支援サイトをチェックしましょう。
特に年度替わり(毎年4月前後)は新制度の公募情報が更新されるタイミングです。
見落とさないようアンテナを張っておくと、「ちょうど考えていた採用に使える補助金」が見つかることがあります。
また、申請のタイミング管理も重要です。
応募開始日に書類を提出できるくらいの準備を心掛け、スケジュールに余裕を持ちましょう。
人気の助成金は早期に予算消化して受付終了となる場合もあります。
もし間に合わなかった場合でも焦らず、次年度以降に再チャレンジする計画を立てたり、代替の助成策を検討したりしましょう。
一度申請書類を作成しておけば他の公募にも応用が利きます。
計画→申請→改善を継続的に行うことで、いずれ助成金の恩恵を受けるチャンスが巡ってくるはずです。
獲得人材の定着・活躍にも目を向ける
助成金を活用して採用した人材は、いわば公的なお墨付きを得て入社した貴重な戦力。
こうした人材には早期に活躍してもらい、会社の成長につなげることが理想。
助成金の要件でも、一定期間の雇用維持や定着状況の報告が求められるように、定着こそが助成事業の成果と位置付けられています。
新人研修やOJT計画をしっかり行い、配置転換やスキル開発の機会を提供するなどしてモチベーション高く働ける環境を用意しましょう。
必要であれば中小企業大学校や自治体の研修助成を利用してさらなる能力開発を支援するのも効果的。
経産省系ではリスキリング(学び直し)支援など人的資本への投資施策も推進されています。
せっかく縁あって採用できた優秀人材を埋もれさせず、会社の将来を担う中核人材へと育てていく視点を持ちましょう。
また、定着状況を把握するために定期的な面談やフォローアップを行い、早期に課題を潰す努力も欠かせません。
助成金の報告義務として定着状況を提出する際には、単なる事務手続きにとどめず自社の人材マネジメントを振り返る機会にすると良いでしょう。
助成金は人材を得る「きっかけ」に過ぎません。
その人材をどう活かすかは企業次第です。助成金を最大限に生かすには、採用後のストーリーまで描いてこそ本当の成功と言えるでしょう。
専門家や支援機関の力を借りることも検討しよう
助成金の活用や人材採用で悩んだときは専門家や支援機関に相談することをおすすめします。
中小企業向けの公的支援制度は複雑で種類も多いため、社内だけで最適解を見つけるのは難しい場合があります。
そこで、地域の中小企業支援センターや商工会議所、前述のよろず支援拠点などを積極的に頼りましょう。
これら機関には助成金申請のサポート実績が豊富なアドバイザーもいます。
例えば、「こういう人材が欲しいが予算が厳しい」と相談すれば、条件に合いそうな助成金制度を教えてくれたり、申請書の書き方のポイントを指導してくれたりします。
プロフェッショナル人材戦略拠点であれば具体的な人材像に合わせてマッチングも進めてくれるでしょう。
第三者の視点を入れることで自社の採用課題が整理され、新たな解決策が見つかることも多々あります。
助成金は上手に活用すれば非常に有益ですが、制度に振り回されて本末転倒になっては本来の採用活動が疎かになってしまいます。
そうならないためにも、外部の知見を借りつつバランスよく制度を利用することが大切です。
助成金制度を味方につけて、ぜひ貴社の採用戦略を一段高いステージへ引き上げてください。
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