経営の鉄則:ランチェスター戦略でオンリーワンを目指す
「ランチェスター戦略で生き残る」
「メディアに便乗したランチェスター戦略」
「ランチェスター戦略経営の実行」
独立や起業をした最初は軌道に乗せることを第一に考えているはずです。
どのような戦略を立てて売上・利益を伸ばしていくかによってその規模は大きくも縮小もします。
最初から市場のシェアを独占できるような企業は稀です。
企業や独立の当初から豊富な人脈や見込み顧客を抱えていれば別の話かもしれませんが、商品の仕入れから販売、お客様の獲得までもすべてを一手に引き受けるとなると、その仕組み作りも必要です。
成功している企業のモデリングは大事ですが、いきなり大企業の真似をしても上手くいかないことの方が多いです。
目次
ランチェスター戦略で生き残る
中小企業がいきなり大企業の販売方式、経営戦略を真似するのはリスクがあります。
大企業の戦い方と中小企業の戦い方は方法が異なります。
持っている資源、扱う商品の仕入れ先なども違えば戦略が変わるのは自然なことです。
それぞれの状況に適した方法を探していく必要があるのです。
ランチェスター戦略とは
ランチェスター戦略は、ランチェスター(イギリス人)が第一次世界大戦時に飛行機の損害の状況を分析し、法則に落とし込んだことに由来します。
ランチェスターは弱者の戦略と強者の戦略は根本的に違うと分析しており、一般的に、マーケティングで言われるランチェスター戦略は「弱者の戦略」のことを指すことが多いです。
強者の戦略
強者は基本的には、どんどん攻めることが方針です。
大きな市場で、見込み顧客と思われるところに、どんどん広告を出し、宣伝することが有効です。
考えられる宣伝材料は全て使い、立地に縛られずに様々なエリアに市場を拡大していくことが望ましいのです。
そして、中小企業が手の届かないような自分達だけの領域で顧客にクロージングをかけるべきと言っています。
軍事的に例えると、広域戦・確率戦・遠隔戦・総合戦・誘導戦をするべきということです。
弱者の戦略
弱者は基本的には他社とは違うものを売りにすることが必要であると述べています。
他にはないものを、他とは違った方法で販売していくことが推奨されます。
つまり、ニッチ市場を狙っていくということです。
ニッチ市場は隙間市場とも言われ、ライバルがいないか、少ない市場という意味です。
そして、見込み顧客へは広告などによるプロモーションだけでなく、直接の対面によるスキンシップ型の営業を推奨しています。
ターゲットを決めたら、その顧客とのやりとりに集中します。
そして、強者に手の内を読まれないようにすることが重要です。
軍事的に例えると、局地戦・一騎打ち・接近戦・一点集中・陽動作戦をするべきだと言われています。
自社の強みを徹底的に分析する
ランチェスター戦略で中小企業が戦うためには、まずは差別化を考えなくてはいけません。
自社の強みが何であるかを自分たちが把握できていなければ、発信も、商品を売ることもできません。
自分たちにあって、他にないもの。
自分たちにできて、他にはできないもの。
これらを本気で考えることからランチェスター戦略はスタートします。
すべての分野において一位を狙いにいくのではなく、特定の分野で一位を狙っていきます。
同じ商品を売っていても、「価格が一番安い」・「性能が一番良い」・「一番安心できる」など、様々な「一番」があります。
どの一番を狙っていくかによって方針が変わります。
ニッチ市場で生き残っていくときには、どこで一番になるのかが大切です。
中小企業が目指すべきオンリーワン
中小企業が表立ってナンバーワンを目指すことは難しいですし、仮にナンバーワンになってしまうと、ランチェスター戦略の陽動作戦の原理から外れてしまいます。
中小企業は大企業に手の内を知られないようにしたいのです。
したがって、目に見えるところで、大きな変革を起こすことよりも、ニッチ市場で少しずつ自分たちの味方を増やしていく考え方が有効になります。
特定の分野で支持されるようになれば、そこでのナンバーワンになれます。
これこそが、中小企業が求めるべきオンリーワンなのです。
メディアに便乗したランチェスター戦略
ニッチ市場を開拓する際には、もともとニーズがあるところを深堀する方法と、新しくニーズを作り出してしまう方法があります。
美容業界を例にとって、メディアに便乗したランチェスター戦略の成功事例を紹介します。
人気のドラマの活用
ドラマが流行すると、そのドラマの主演者、登場人物のファッションにも注目が集まることがあります。
これを上手く活用してニッチ市場を開拓した美容室がありました。
ドラマが流行になったときに、「ドラマに出演している俳優のヘアスタイル」などの紹介をしながらプロモーション活動を行ったのです。
現在でも、髪色、スタイルなどで有名人をモデリングする文化は日本には残っています。
テレビ出演している人たちが流行をつくろうと思ってそのようなスタイルにしたわけではありませんが、広告として活用することで市場のニーズを掘り起こすことができるかもしれません。
人手不足解消の契機になることも
美容業界は、店舗数は全国的にもかなり多い一方で、働いている人たちの数は一店舗当たりの平均にしてしまうと、人手不足と言わざるを得ません。
メディアを上手く活用することによって獲得できるのは、お客様だけではなく、働き手の候補を集めることにもつながります。
イメージ戦略とも言われますが、プロモーションをしていくにつれて、その企業のイメージが市場には刷り込まれていきます。
そのイメージは労働市場でも同じように刷り込まれていくのです。
SNSではニッチ市場を拡大することもできる
SNSを活用すれば、ニッチだった市場を拡大することもできます。
インターネット上であっても、エリアを絞って広告を出すことができるようになった今日では、不要なコストをかけることなく、必要最低限で広告運用ができます。
実店舗型の経営では、その市場でのエリア拡大には限界があるかもしれませんが、移動式のサービス提供も検討すれば、さらに拡大が見込まれます。
最初はニッチでスタートさせた事業を少しずつ大きくしていくことによって、弱者の戦略から強者の戦略へと変えることも視野に入れてよいかもしれません。
ランチェスター戦略経営の実行
ランチェスター戦略を実行する場合、融資が必要になるケースもあります。
ランチェスター戦略に限った話ではありませんが、経営戦略を大きく変える場合には、事業計画の練り直しも必要でしょう。
大きな経営方針の転換期には、経営のコンサルを活用する方法や外部から経営責任者を迎え入れる場合もあります。
外部から経営のプロを招く
経営者を外部から招聘(しょうへい)して経営戦略を練り直す企業もあります。
経営を創業者の一族が継いでいくものと考えられていた昔とは違い、今では経営の手腕がある人が、経営者の一族とは関係なく、会社を引き継いで大きくしていくような時代です。
外国から経営者を招聘することさえもあり得ます。
今までの伝統や「しがらみ」に囚われずに大きく転換できるという点ではメリットも大きいですが、他の従業員や特に株主からの理解を得られることがないと、衝突して経営が上手くいかなくなってしまうことも多いです。
経営者として優秀であった半面、プライドの高い経営者もいますから、バランスを大切にしたいところです。
欧米では社内からのトップが主流
日本の企業はトップの選出は社内から行うことが95%以上だそうです。
一方で欧米でも、7割近くは内部昇格となっており、日本よりも割合は低いものの、内部昇格によってトップを選出することの方が多いです。
自社の状態をよく知っている人が経営を行った方が、効率が良いという考え方もあります。
これまでの価値観にとらわれない生え抜きのトップが自社にいれば、わざわざ外部から優秀な経営者を招く必要はないでしょう。
経営コンサルを活用しながら判断は自社で
新しい考え方や方向性を探る上では、身内だけとの話し合いよりも、まったく別の第三者的な経営者の考え方を参考にする必要があるかもしれません。
外部招聘するまではいかなくても、経営コンサルを委託するというような位置づけでアドバイスをもらうということは有効な手法です。
費用も外部招聘するよりも安く抑えられるうえに、経営の決定権を渡すこともしませんので、アドバイスや数々の事例を聞きながら、持ち帰り検討し、必要であれば実行に移す慎重な判断もできます。
生え抜きのトップに欠けているのは経営の経験です。
現場で優秀な仕事をし、管理職でも優秀に評価されてきたかもしれませんが、今までの価値観と経営は全く次元が違うものです。
従業員として働く仕事にはある程度の正解はありますが、経営の世界には絶対的な正解はありません。
完璧を求めて躊躇している間に業績が悪化してしまうこともあります。
経営を経験した人たちの考えを取り入れることで、失敗しない経営に関する考え方を学ぶことも選択肢として残しておけるとよいでしょう。
まとめ:中小企業が市場でシェアを獲得するために
中小企業でシェアを確保するためには、大企業の手の届かないようなニッチな市場を狙っていくことが得策です。
大企業は、市場に出てくる商品はすぐに模倣されてしまうことを知っています。
その模倣力を武器にしていると言っても過言ではないのが大企業です。
ですから、なるべく陽動戦略に持ち込めるように、自分たちの得意とする分野で戦うのが王道となります。
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